2012年11月18日(日)



ゼンショー、マルヤへのTOB成立

 牛丼店「すき家」などを展開するゼンショーホールディングス(HD)は2日、首都圏に約50店を持つ東証2部上場の食品スーパー、
マルヤに対するTOB(株式公開買い付け)が1日終了したと発表した。ゼンショーHDは応募のあった
1823万5097株を27億3500万円で全て買い付けて発行済み株式数の78.65%を取得し、8日付でマルヤを連結子会社にする予定。
 外食市場が縮小傾向にあるなか、ゼンショーHDはマルヤを通じて消費者の内食・中食需要も取り込む。
マルヤは2012年2月期の売上高が約236億円で、ゼンショーHDの傘下入り後も上場を維持する方針。
(日本経済新聞 2012/11/2 19:57)
ttp://www.nikkei.com/article/DGXNASGF0204V_S2A101C1000000/

 


 



2012年11月02日
株式会社ゼンショーホールディングス
株式会社マルヤ株券に対する公開買付けの結果及び子会社の異動に関するお知らせ
ttp://www.zensho.co.jp/jp/news/ir/pdf/
%E5%AD%90%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E3%81%AE%E7%95%B0%E5%8B%95%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%8A%E7%9F%A5%E3%82%89%E3%81%9B.pdf


 

 

2012年11月2日
株式会社マルヤ
親会社、主要株主である筆頭株主及び主要株主の異動に関するお知らせ
ttp://www.maruya-group.co.jp/pdf/stockholder/2012.11.02-2.pdf

 



2012年11月2日
株式会社マルヤ
株式会社ゼンショーホールディングスによる当社株券に対する公開買付けの結果に関するお知らせ
ttp://www.maruya-group.co.jp/pdf/stockholder/2012.11.02-1.pdf


 

 



【コメント】
コメントが遅くなりましたが、ゼンショーによるマルヤの株式公開買付は成功しました。
応募のあった株式は全て買い付けてゼンショーが筆頭株主にになりました。
従来まで筆頭株主であったリサ・コーポレート・ソリューション・ファンド投資事業有限責任組合は全ての株式を売却したようです。

 

「親会社、主要株主である筆頭株主及び主要株主の異動に関するお知らせ」
当該株主の所有株式数(議決権の数)及び総株主の議決権の数に対する割合
(3/4ページ)


株式会社マルヤについては今までに3回ほどコメントしています。

 


2012年10月5日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201210/20121005.html

 

2012年10月10日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201210/20121010.html

 

2012年10月13日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201210/20121013.html

 

 



株式会社マルヤとはどんな会社なのか、今日は株式会社マルヤの有価証券報告書を見ながら考えてみましょう。

 


株式会社マルヤ
有価証券報告書 第50期(2011年2月21日 至 2012年2月20日)
ttp://www.maruya-group.co.jp/pdf/securities_reports/fr50.4-4.pdf

 

 

財務諸表等
継続企業の前提に関する注記
(39/76ページ)

過去5年間、具体的にはこうなっています↓。

 

企業の概況
主要な経営指標等の推移
(2/76ページ)

 

 


さて、マルヤのサイトには月次報告として「荒利率の推移」」が載っています(荒利率の推移は月次ではなく年度毎ですが)。


■荒利率の推移
ttp://www.maruya-group.co.jp/pdf/monthly/arari_pdf.pdf


「見事な右肩上がりになっていますが、この要因は・・・」


毎年毎年赤字を計上し続けているのに、売上総利益率だけは年々上昇して行っています。
スーパーであれば商品の仕入れと販売、店舗でのオペレーションが経営の根幹です(新規出店であれば地域の立地条件はもちろんですが)。
商品の仕入れと販売、店舗でのオペレーションの結果を表しているのが売上総利益です。
売上総利益率は年々上昇して行っているのに営業利益以下は毎年毎年赤字、通常はこのようなことは絶対あり得ないはずです。

なぜこのような結果になっているのでしょうか。
有価証券報告書を見て要因分析をしてみましょう。

 

有価証券報告書の注記事項を見てみると、最初に目に止まるのは次の部分です。

 

財務諸表等
注記事項
損益計算書関係
(44/76ページ)

 

 



棚卸資産評価損が売上原価に含まれるわけですが、棚卸資産評価損が少なければ少ないほど売上総利益は大きくなります。
マルヤでは棚卸資産を年々高い精度で管理している、
すなわち、正確に販売数量を見積もることによって商品の仕入れを適切に行い売れ残りが極力出ないようにして
棚卸資産評価損を計上しないですむようにしている、とも考えられます。
ただ、当事業年度に計上した棚卸資産評価損はたったの2,157千円です。
売上高の大きさからいって売上総利益を大きくするほどのインパクトとは思えません。
棚卸資産評価損の減少が売上総利益率上昇の要因なら、
年々売上総利益率が上昇しているということは、棚卸資産評価損は年々減少していないといけないわけですが、
前事業年度は棚卸資産評価損を1円も計上していません。
前事業年度の棚卸資産評価損が0円なら棚卸資産評価損を0円より大きい額計上している当事業年度は、
売上総利益率は減少していないといけないでしょう。
棚卸資産評価損は売上総利益率上昇の要因ではありません。
それにもっと本質的なことを言えば、スーパーでは、生鮮食料品を扱っている関係上、棚卸資産評価損というより商品廃棄損を計上します。
商品廃棄損も棚卸資産評価損の一種といえば一種なのですが、
棚卸資産評価損の場合はまだ商品は目の前にあって販売可能なのですが販売価格が下がっているから評価損を計上する、
という考え方であるのに対し、
商品廃棄損は文字通り商品を完全に廃棄します。
スーパーであれば専門の廃棄物収拾業者が毎日回収するわけです。
生鮮食料品を扱っているのに廃棄物が出ない日はありません。
スーパーではある意味毎日商品廃棄損を計上します。
ですから、スーパーで事業年度末に棚卸資産評価損を計上するということはそもそもないのです。
そういうわけで、マルヤの売上総利益率が年々上昇している要因は棚卸資産評価損ではありません。
(売上原価の内訳として商品廃棄損も開示して欲しいところですが、
どのスーパーもどのコンビニも商品は一定量は廃棄することを前提に仕入れ販売を行っていますから、
まあ何と言いますか、そんなに捨てているのかよと思われたくないからあまり開示したくないというのは分かります。
スーパーやコンビニによって大きな差はあるでしょうが大体売上原価の1〜2割以上は実は商品廃棄損だと思います。)


棚卸資産評価損が売上総利益率上昇の要因ではないとしたら、一体何が売上総利益率上昇の要因なのでしょうか。
さらに有価証券報告書を見てみましょう。

 

 


同じページの下の方になりますが、売上原価減少(売上総利益増加)につながりそうなことが書いてありました。

 

財務諸表等
注記事項
損益計算書関係
(44/76ページ)


事業用資産に関して減損損失を計上したと書いてあります。
減損処理を行った事業用資産(建物等)とはここでは店舗のことでしょう。
減損損失は前事業年度も計上していて、当事業年度の金額は146,662千円、前事業年度の金額は120,493千円となっています。
売上高の大きさからいってもどちらも非常に大きな金額です。


まず会計処理の話をすれば、事業用資産の減損処理を行うこと自体は何ら間違った会計処理ではありません。
各店舗の将来の収益性を見通し、大きな売上高が見込めないようであれば早目に減損処理を行い損失として計上していく、
このことは保守主義の原則の観点からは望ましい会計処理です。

それはそうなのですが、減損処理というのはできる限り正確な見通しに基づき全資産を対象に厳格に行うべき会計処理であって、
その時その時で都合よく対象資産を選択し任意に行ってよいものでは決してありません。
会計基準の話をすれば、減損会計基準というのは「会社の減損会計対象の全資産を対象に毎期必ず適用しなければならない」ものであって、
「当期は減損会計を適用しない」ということも認められませんし、
「今年はこの資産に対してだけ減損会計を適用する」ということも認められません。
「全資産を対象に毎期必ず適用」です(会計監査上ももちろんそうです。当たり前ですが)。
そうであるならば、例えば前事業年度は120,493千円減損損失を計上していますが、当事業年度も再びまた146,662千円計上しています。
前事業年度に減損処理を適切に行ったのだとすれば、前事業年度の減損損失額は、120,493千円ではなく、
正しくは267,155千円になっていたはずです。
なぜ当事業年度も再びまた146,662千円計上しているのか、前事業年度の減損処理は適切に行われなかったのではないか、という話になります。

 

 



何が言いたいかと言うと、マルヤは減損会計を経理操作に利用している疑いがある、ということです。
私の所見では、マルヤの前事業年度の減損損失額は120,493千円ではなく、そして当事業年度の減損損失額も146,662千円ではなく、
これらの数字は全て実はただの各事業年度の「減価償却費」の一部なのです。
各事業年度の店舗の減価償却費を減損処理名目で一部減額しているのだと思います。
店舗の減価償却費を減損損失として計上するとどうなるか、
売上原価の一費用項目である製造間接費が減少します(減少した分は特別損失に計上されます)。
すると、売上高は変わらず売上総利益のみが同額分増加しますから売上総利益率も上昇するのです。
これが売上総利益率が毎年上昇している理由です。

この経理操作の影響を除くとどうなるか。
減損損失を減価償却費へと足し戻してみましょう。


前事業年度の売上総利益率は20.9%{=(5,591,991−120,493)÷26,209,320×100}、
当事業年度の売上総利益率は22.1%{=(5,366,660−146,662)÷23,658,768×100}、


となります。
このことを反映させた「荒利益の推移」はこうです。

「訂正:荒利率の推移」




正しくはこうです。
ただ、これでもまだ売上総利益率は上昇していますから、他にも経理操作がいくつかあるのでしょう。
営業利益が毎年赤字続きなのに売上総利益率のみ上昇することはあり得ません。

 

 



言うまでもないことですが、減損会計では減価償却費の一部もしくは全部を減損処理とみなすことはもちろん認められません。
会計理論上もそして実務の上でも、有形固定資産の実際の減損処理の流れ(手続き)は、


決算整理仕訳としてまず減価償却を行う

減価償却後の有形固定資産の(残存)価額と減損会計上の(将来の見積りではあるが)正しい価額とを比較する

減損会計上の正しい簿価の方が小さかったらその差額分を減損損失として計上する(帳簿価額は減損処理後の価額)


となるはずです。
たとえ期中に業績悪化等の様々な要因により有形固定資産の減損損処理を行うことを決めたのだとしても、
実際に減損処理という会計処理を行うのは「減価償却後」になるはずです。
減価償却は毎期行っていくが、それでも今の収益状態だとその減価償却のペースでは回収が追いつかない、
だから回収可能な価額まで減損処理という手続きで簿価を切り下げるわけです。
そうであるならば、「当期の減価償却費を減損損失と見なす(減損損失として計上する)」というのは、
単なる経理操作というにとどまらず、会計理論上も完全に間違いであると言わざるを得ません。
減価償却前に減損処理を行うこと(マルヤの会計処理もそういうことになりますよね)は会計理論上完全に間違いです。
減損処理を一旦行うと、その後の会計上の毎期の減価償却の金額も変わります(残存価額自体が変わるから)。
当期の減価償却費分のみを減損処理を行うというようなことはできません。

 

 


仕訳で書くならこうでしょうか。

 


正しくはこう↓。

 

決算整理仕訳

(減価償却費) 120,493千円 / (事業用資産) 120,493千円


減価償却費を売上原価に振り替える

(製造間接費) 120,493千円 / (減価償却費) 120,493千円

 

 

しかしマルヤはこう切っている↓。

 

いきなり減損処理をしている

(減損損失) 120,493千円 / (事業用資産) 120,493千円

 

 


もしくは経理操作という意味ではマルヤはこう操作をしたかもしれません↓。

 

決算整理仕訳

(減価償却費) 120,493千円 / (事業用資産) 120,493千円


減価償却費を減損損失に振り替えた

(減損損失) 120,493千円 / (減価償却費) 120,493千円

 

 


マルヤの会計処理は上記のどちらであるにしても会計理論上は間違いですが。


減価償却費を減損損失に振り替えるというだけですとその事業用資産の残存価額自体は変わっていないわけですから、
それは減損処理でも何でもありません(振り替えるというだけなら結局減損処理は行っていないわけです)。
それはただの損益計算書の虚偽記載です。

 

 


他にもマルヤの有価証券報告書はつっこみどころだらけです。
いろいろとコメントを書こうと思ったのですが、ここまでくるとバカバカしさを感じるようになってきました。
スキャンだけはしたので虚偽の一部のみになりますが紹介だけしておきます。

 

 



財務諸表等
注記事項
税効果会計関係
(55/76ページ)





税効果会計には評価性引当金などありません。
また、建設協力金は貸付金の一種だったと思いますが、これに関して繰延税金負債というと?
貸付金が返ってこないと見積もられたので貸倒引当金を計上したがまだ損金算入されていないとなると繰延税金資産が計上される
ことはあると思うが。
繰延税金負債となると、貸した金よりたくさん返ってくると会計上見積もられた、ということかな。
考えるだけ無駄か。

それと減損損失に関して繰延税金資産が計上されることはあると思うが
(私個人としては減損損失に関して繰延税金資産を計上するのは会計方針を考えるとある意味矛盾ではないかと思うが)、
金額がおかしい。
当期の減損損失額は120,493千円だったはずだが、減損損失に関する繰延税金資産の金額が160,000千円以上増加している。
大まかに言えば、減損損失額が100なら減損損失に関する繰延税金資産の金額は40になるはず。
また、前事業年度には損金算入が認められなかったが当事業年度には損金算入が認められた分があるはずなので、
その分は減損損失に関する繰延税金資産の金額が減少するはず。
減損損失に関する繰延税金資産の金額の前事業年度から当事業年度への増加額は
120,000×0.4−α=48,000−α
になるはず(αは前事業年度には損金算入が認められなかったが当事業年度には損金算入が認められた分)。
減損損失に関する繰延税金資産の金額が160,000千円以上増加することなどあり得ません。


 

 


附属明細表
有形固定資産等明細表
(63/76ページ)


「無形固定資産」の中に「借地権」というのがありますが、貸借対照表には「借地権」という勘定科目は載ってこないかと思います。
賃貸用の土地や建物を取得したとしたら「賃貸する権利」というものも含めて「賃貸等不動産」勘定として
有形固定資産の欄に計上されます(本来の会社の事業の用に使用する有形固定資産とは区分して有形固定資産の欄に計上)。
賃貸用の土地や建物は取得・保有せず、「その土地や建物を賃貸する権利」のみを法的に持っている(「権利のみ」を取得した)場合は、
有償で取得したのなら「借地権」というような勘定科目が無形固定資産に載ってくることにはなると思います。
何年で減価償却するのは分かりませんが。
借りる方は短期間しか借りない場合もあるかもしれませんが貸す方は様々な人に対して長期間に渡って貸すでしょうから、
その「借地権」が効力を発揮する期間は長いので減価償却期間は比較的長いのだろうか、とも思うのですがこれ以上は分かりません。
ただ、基本的には、「借地権」の保有者=「賃貸用の土地や建物」の保有者であることがほとんどでしょう。
「賃貸用の土地や建物」の保有者と「借地権」の保有者が異なることは極めて稀です。

 

 


主な資産及び負債の内容
資産の部
A売掛金
相手先別内訳
(66/76ページ)


「相手先」というのは社名(法人名)なのですが。
売掛金を商品券で決済する予定である、とでも言うのでしょうか。
売掛金の決済で受け取った商品券は投資有価証券になるのだろうか、それとも、
すぐに金券ショップに行って売却するから売買目的有価証券として処理するのかなと思って会計処理ガイドブックを見てみますと、
商品券の会計処理として
「自社以外(例えばクレジットカード会社やメーカー)で発行され、小売店で売上時に現金の代わりに商品代金として受領する
商品券(例えば百貨店共通商品券やビール券、図書券)がある」
とあります。
これかもしれません。
マルヤは小売業ですから売り上げは基本的に全て現金取引でしょう。
小売業では基本的には売掛金が出てくることはないわけですが、ビール券のような商品券で販売を行うことはあるでしょう。
その場合は小売業でも売掛金に相当するものとして「未収商品券(未収金)」が計上されることになると思います。

 

 



また、消費税等について注意書きがあって、売掛金の金額には消費税等が含まれている、と書かれています。
売掛金が出てくる場合でも商品券が出てくる場合でも、売り上げそのものには消費税は含まれています(商取引としては必ず税込)。
ただし、損益計算書の売上高や貸借対照表の売掛金の価額には消費税は含まれません。
それから、商品券(例えば百貨店共通商品券やビール券、図書券)を発行したということはその前に誰かがその商品券を購入した、
ということですから、商品券を発行する側からすると売り上げの前に現金を手に入れたかのようなイメージになります。
また、商品券を発行する側には現金が先に入ってきますから、
小売店側からすると、「未収商品券(未収金)」の回収(発行したメーカー等へ請求)は比較的短期間のうちに可能だと思いますし、
「未収商品券(未収金)」の回収が不能になる(売掛金の貸し倒れと同じ)という事態はまず起きません。
「未収商品券(未収金)」の回収が短期間のうちに必ず可能なのは、商品券発行企業(例えばビール会社)が大企業だからではありません。
商品券を発行する側に現金が先に入ってくるからです。

 

 

なお、マルヤは自社でも商品券(株主ご優待券)を発行しています。
これは現金で発行・販売しているものではありませんので、マルヤは特に会計処理はしていないと思います。
レジの時にお客さんが商品券(株主ご優待券)を使用した時に単にその分値引きしているだけ(売上高の減少のみ)だと思います。
厳密に言えば、商品券(株主ご優待券)発行と同時に、商品券(株主ご優待券)が将来使用される金額を合理的に見積り、
「商品券(株主ご優待券)引当金」を計上しなければなりません。
「商品券(株主ご優待券)引当金繰入」は販売費及び一般管理費です。


株主ご優待券
ttp://www.maruya-group.co.jp/ir/ir_info.html

>株主優待制度の内容 株主ご優待券(券面額100円)割引券を贈呈。

 

 



主な資産及び負債の内容
資産の部
C貯蔵品 D敷金及び保証金
(67/76ページ)





貯蔵品として、「包装資材」と「蛍光灯他」と「制服」とあります。
金額を見てもこの金額で正しいのかどうかは分かりません。
当期以前に購入したもので3月末時点では価額で言えばこれだけのものが今後使う時のために倉庫で保管している、
と言われれば正しい気もします。
ただ、貯蔵品勘定で間違いとは言い切れませんが、
「包装資材」や「蛍光灯他」や「制服」は購入した期に消耗品費として費用計上していることが多いかもしれません。

 


敷金及び保証金の方は区分の意味がよく分かりません。
「仕入取引差入保証金」とは仕入取引先に会社として保証金を差し入れたということでしょうか。
本部及び配送センターそして各店舗というのは、これらの建物等が全て賃貸だからその敷金ということでしょうか。
「その他」が大き過ぎてあまり参考になりませんが。

 

 



主な資産及び負債の内容
資産の部
E建設協力金
(68/76ページ)





これも建設協力金の区分の意味がよく分かりません。
これらの店舗を建設するために過去に貸し付けた・現在店舗建設中のため建設資金として貸し付けている貸付金の残高、
という意味なのでしょうか。
全く分かりません。
また、その他が大き過ぎてあまり参考になりません。

 


 


関係会社の状況
(5/76ページ)


さいたま春日部市場株式会社はマルヤが18.41%を保有しており、また、
さいたま春日部市場株式会社の方もマルヤの議決権の0.10%を保有しています(株式の持ち合いをしています)。
マルヤは役員も派遣しており、さいたま春日部市場株式会社はマルヤの持分法適用関連会社のようです。


リサ・コーポレート・ソリューション・ファンド投資事業有限責任組合はマルヤの22.10%を保有しています。
リサ・コーポレート・ソリューション・ファンド投資事業有限責任組合はマルヤの筆頭株主です

注意書きとして、
>出資金欄には出資約束金額の総額を記載しております。
とありますが、
将来出資することを約束しているだけでは議決権(株式)の保有にはならないと思います。
議決権関係が正しいのなら、約束という言葉が間違っているのでしょう。
何か将来出資することを約束しているような金額を注記・開示するのは自由だと思いますが。

 


 



設備の状況
主要な設備の状況
(16/76ページ)




これが正しいとすると、マルヤはゴルフ練習場を経営している会社へ土地の賃貸も行っていることになりますが。
またマルヤは体育館や寮も持っているようです。
面積から判断すると、寮は自社保有物件(会社による借り上げではない)のようですが、体育館というのは賃貸しているのでしょうか。
社員寮はともかく、地方の中堅スーパーが体育館を賃貸しているというのもにわかには信じられませんが。
賃借という言葉が記載されていますが、記載が正しいなら、
ゴルフ場はマルヤが貸している、体育館はマルヤが借りている、ということになります。


それと気になったのは、茨城県総和店(古河市)と栃木県小山店(小山市)は賃貸による店舗なのですが、
なぜか建設協力金が記載されています。
自社保有店舗に多額の建設協力金が記載されるのなら分かりますが、賃貸物件に対してなぜ多額の建設協力金が記載されるのでしょうか。
建設のための貸付金であれば、時間の経過と共に徐々に回収されていく(そして店舗も減価償却も進んでいく)はずなのに、
建物及び構築物の価額は非常に小さいのに建設協力金の価額は非常に大きいの(大きいまま)です。
建設協力金の中身とは本当は一体何なのでしょうか。


 

 


設備の新設、除却等の計画
重要な設備の新設等
重要な設備の除却等
(17/76ページ)

 

店舗POSシステムを更新する計画があるとのことですが、対象は沼南店他45店舗のみのようです。
店舗POSシステムを更新するするのなら一度に全店舗を対象に更新しないといけないような気がしますが。
またその費用も1億1000万円とのことですが、店舗POSシステムを更新するとなると全く予算が足りないと思います。
さらに、店舗POSシステムの導入というのは個別のシステム開発になってくると思います。
リースというのは汎用品を賃貸するものです。
店舗POSシステムのリースというのはないかと思います。

 


 



注記事項
金融商品関係
金融商品の時価等に関する事項
(48/76ページ)



 

敷金及び保証金についてですが、貸倒引当金を計上しているのに、さらに時価評価しているとのことです。
2つおかしいなと思う点があります。
まず、敷金及び保証金は将来いくら返ってくるかは正確には見積もることができないのです。
ですから、敷金及び保証金にはそもそも時価などないのです。
2つ目に、仮に敷金及び保証金が将来いくら返ってくるかを正確に見積もることができたとします。
すると返ってこなくなる分を貸倒引当金として計上するわけですが、会計処理としてはそれで終わりではないでしょうか。
貸倒引当金控除後の価額が時価ということだと思います。
言い方を変えれば、返ってくる金額を合理的に見積り返ってくる金額(=時価)まで貸倒引当金を計上するわけです。
貸倒引当金控除後の価額=時価であり、万が一、貸倒引当金控除後の価額よりもさらに時価が小さい場合は、
それは貸倒引当金の引き当て不足ということだと思います。

 


 



注記事項
金融商品関係
金融商品の時価等に関する事項
時価を把握することが極めて困難と認められる金融商品
(49/76ページ)



 

投資有価証券と関係会社株式を保有しているがそれらは非上場株式であるため、
市場価格がなく時価を把握することが極めて困難と認められることから時価評価はしていない、と書いてあります。
そのことは問題ありません。


問題は「敷金及び保証金」の方です。
全敷金及び保証金のうち、120,702千円分については、返還時期の見積りが困難なため、
時価を把握することが極めて困難と認められることから時価評価はしていない、と書いてあります。
おそらくこの分に関しては貸倒引当金も計上していないと思います(敷金及び保証金に貸倒引当金がなじむかどうかは置いておくとして)。
しかしそれを言うなら、他の1,769,766千円分については、
返還時期の見積りが容易なため時価を把握することが可能であった、ということになります。
「敷金及び保証金」の性格を考えると、返還時期自体はともかく、返還される金額を見積もることが極めて困難だと思います。
退去・取引終了するその時が来るまで返還される金額は分からないと思います。
時価を把握することができた「敷金及び保証金」と時価を把握することが極めて困難な「敷金及び保証金」の違いは何でしょうか。
「敷金及び保証金」は全て時価を把握することが極めて困難ではないでしょうか。