2011年12月10日(土)
2011年12月10日(土)日本経済新聞
三井住友銀 カンボジア拠点邦銀で45年ぶり 日系企業進出にらむ
(記事)
2011年12月10日(土)日本経済新聞
野村が劣後債1700億円 元利返済免除の特約付き
(記事)
2011年12月10日(土)日本経済新聞
近鉄、個人向け社債200億円
(記事)
アジア最大のローコストキャリア(LCC)のエアアジアグループ(マレーシア)で、長距離国際線専門のエアアジアXが、
11月30日、関西国際空港に就航した。日本への就航は1年前の羽田に続くものだ。
エアアジアといえば、ユニットコスト(1座席を1キロメートル運ぶコスト)3円と、
ANAの4分の1のコストで航空機を飛ばしている。来日したエアアジアXのアズラン・オスマンラニCEO(最高経営責任者)に、
日本市場開拓の狙いと低価格の秘訣を聞いた。
――エアアジアにとって日本市場の位置づけは。
日本は言語や文化が独特で、参入するにはそうとうのリサーチが必要だった。地理的にも東南アジア市場の外側にあり、
独立した商圏を形成している。エアアジアが規模を拡大させるには重要な市場だ。
エアアジアは、スターアライアンスやスカイチームといったアライアンス(航空連合)には加盟せず、
世界市場にエアアジア1ブランドでの浸透を目指している。アライアンスと航空会社のブランドは別物で利用者に分かりにくい。
将来的には1つの強力なブランドが重要になるだと考えているからだ。この考え方で、日本にもANAと組んで
エアアジア・ジャパンを設立したし、同じようにタイなどほかのアジア各国にエアアジアブランドの会社を設立している。
――昨年12月に就航した羽田〜クアラルンプールの実績はどうか。
最初の3か月は平均で80%という搭乗率だった。ところが、3月に東日本大震災が起き、その後4か月間は搭乗率50%という
難しい時期を迎えた。だが、当社はフライトキャンセルはしなかった。搭乗率50%とはいえ需要があったし、
日本への積極的なコミットメントを示したかったからだ。7月以降は、搭乗率80%近くまで回復している。
――日本にLCCは浸透するか。
現在、マレーシアでは航空旅客市場全体の55%をLCCが占めている。これが日本では10%に満たない。
それでも日本にも浸透すると考えている。価格は重要な要素だ。
すでにエアアジアを利用した日本人客の感想は、ハッピーだというものだった。どの分野でもそうだが、
人は未知の体験には懐疑的になるものだ。LCCをよく理解していなかったり、なぜ価格がこんなに安いのか
不明瞭なのだろう。エアアジアは新しい皮張のシートだし、乗ってみれば快適なはずだ。
――エアアジアは、ユニットコスト3円と驚異的なコスト競争力を持つ。
違いはサービスなどのオプションが有料であることだ。既存の大手エアライン(レガシーキャリア)に
乗り慣れている人には違和感があるかもしれないが、LCCは基本的に食事や荷物の預け入れが有料だ。
こうしたコストの積み重ねが大きな抑制につながる。
信じられないかもしれないが、食事や飲み物を有料にするだけで、1席あたりのコストは1万円低くなる。
機内食そのものは1000円くらいだが、カラクリを説明しよう。
レガシーキャリアはサラダ、パン、メイン、デザートすべてがセットになった食事を全員に提供している。
なかには寝ていて食べない人もいるのに全員分用意している。さらに、和食か洋食かの選択の予測もつかないため、
余計にストックしている。これに対して、われわれは予約時にどういう食事がほしいか尋ねている。
予測ができているので、ストックも最小限だ。たとえば、関空を夜中の11時15分に発ち、クアラルンプールに
早朝の5時に着く便では、40%の乗客が機内で食事をしない。食事は空港で済ませており、機内では寝るだけという人が多い。
食事だけではない。レガシーは、おしぼり、ジュース、ピーナッツと客室乗務員が乗客1人1人に何回もサービスしている。
われわれは必要な人に必要なぶんしかサービスしない。この結果、同じエアバス330の機体でも、
エアアジアは377席に対して9人の客室乗務員しかいないが、シンガポール航空は290席に対して11人もいる。
われわれは1席あたり60%のコスト優位性を持っているのだ。それだけではない。客室乗務員の交通費や宿泊代なども
コスト競争力に反映され、結果、1席あたり1万円の価格差になる。
LCCのビジネスモデルで難しいものは何もない。飛行時間とコストだけで説明できる。
機材は新しい機材を使っているし、信頼性もある。
クアラルンプールは我々の大きなハブ(拠点)だ。ここで日本人の50%以上が、その先に乗り継いで行っている。
乗客の目的地は、プーケットやバリ、シンガポール、バンコク、さらにはオーストラリアなど様々だ。
羽田発の便は、当初、日本人客の利用率は22〜23%だったが今は40%にまで上がった。
関空は20〜30%でスタートしたが、すぐに40〜45%にはなると思う。
日本人とそれ以外の客の比率が50:50になるのがベストだ。
(ダイヤモンドオンライン 2011年12月9日)
ttp://diamond.jp/articles/-/15235
エアアジアがLCCで成功したのは近隣諸国までの距離が短い東南アジアだからです。
他国とは海を隔てて遠く離れている日本では、LCCの国際線は成功しません(国内線は成功します。そして実際に成功しています)。
この点については今までに2回ほど書きましたのでそちらを読んでください。
2011年7月21日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201107/20110721.html
2011年7月22日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201107/20110722.html
2011年8月9日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201108/20110809.html
結論を先に言えば、エアアジアは日本では成功しません。
それはエアアジアがマレーシアの航空会社だからではありません。
エアアジアが日本では成功しない理由は、エアアジアがLCCであることそのものにあるのです。
> 信じられないかもしれないが、食事や飲み物を有料にするだけで、1席あたりのコストは1万円低くなる。
>機内食そのものは1000円くらいだが、カラクリを説明しよう。
> レガシーキャリアはサラダ、パン、メイン、デザートすべてがセットになった食事を全員に提供している。
>なかには寝ていて食べない人もいるのに全員分用意している。さらに、和食か洋食かの選択の予測もつかないため、
>余計にストックしている。これに対して、われわれは予約時にどういう食事がほしいか尋ねている。
>予測ができているので、ストックも最小限だ。たとえば、関空を夜中の11時15分に発ち、クアラルンプールに
>早朝の5時に着く便では、40%の乗客が機内で食事をしない。食事は空港で済ませており、機内では寝るだけという人が多い。
具体的な数字についてはともかく、機内食を事前予約(有料オプション)にすればトータルの費用が小さくなるのは間違いないでしょう。
と言っても、ここでは、機内食を毎回全員分用意するのか、それとも、予約した旅客にだけ用意するのかで話が大きく違ってきます。
仮に毎回旅客全員に機内食を用意するとなると、航空会社グループ内で機内食専門子会社を保有し、
そこで機内食を調理して機内に搬入する方がコストは安く済むでしょう。
メニューも自社内で決められますし、航空会社での企画と連動したような料理も作れます。
機内食専門子会社を自社内に保有していることが、現場レベルでは柔軟性を確保することにつながるのです。
しかし、それは「毎回旅客全員に機内食を用意する」という条件が満たされている場合のことです。
LCCのように、一部の旅客にのみ機内食を提供する(当然用意する食事の数も毎回異なります)場合は、
自社内に機内食専門子会社をしていることは大きな無駄が生じてしまいます。
調理設備は旅客全員分を常に賄える分の能力をどうしても持っておかねばなりませんが、
しかし、LCCの場合は旅客全員分調理することはまずないでしょう。
これはどういうことかと言いますと、調理設備は「常に低い稼働率を強いられる」ということです。
言い方を変えれば、現場レベルでは柔軟性の確保に役立った機内食専門子会社が、経営レベルでは柔軟性を失う要因となってしまうのです。
ですから、LCCの場合は、機内食を調理するのは、自社内の機内食専門子会社ではなく、外部のケータリング会社です。
機内食を外注すれば、自社で調理設備を持つ必要がなくなり、調理設備の低い稼働率に悩まされることはなくなります。
経営レベルでは、機内食を外注することが柔軟性を確保する手段になっているのです。
もちろんそのデメリットとしては、メニューも自社では決められませんし、自社の企画と連動したような料理は作れないことです。
現場レベルでは柔軟性は失われます。
<機内食専門子会社を保有することのメリット・デメリット>
メリット
○メニューも自社内で自由に決められる。航空会社での企画と連動したような特別な料理も自由に作ることが可能。
○現場レベルでの柔軟性を確保できる。
デメリット
○常に旅客全員を賄える分の調理設備をどうしても持っておかねばならないため調理設備は常に低い稼働率を強いられる。
○経営レベルでは調理設備の減価償却費や調理人の給与が固定費となり柔軟性がない。
<機内食を外注することのメリット・デメリット>
メリット
○過大な調理設備や調理人を抱える必要がない。場合によっては他のケータリング会社へ機内食を発注することも可能。
○固定費がないため経営レベルでは柔軟性を確保できる。
デメリット
○メニューは自社では決められない。旅客からこのような機内食を食べたいという要望があってもきめ細かく対応することは困難。
○現場レベルでは柔軟性はない。
管理会計っぽく言えば、機内食を外注することは固定費を変動費化することだ、と言えるでしょう。
固定費を削減できれば損益分岐点は下がります。まさにLC(ローコスト)の追求です。
LCCはきめ細かなサービスを行わない代わりに少しでも費用を下げて損益分岐点を引き下げる必要があります。
LCCの経営の要諦(Key
Factors for Success)を一言で言えば、固定費をできる限り削減することだ、となるでしょう。