2018年11月14日(水)
2018年10月19日(金)日本経済新聞
中小向け融資 リスク恐れず 保証付き、バブル並み低水準 危うさ指摘の声も
(記事)
「現実には、有価証券の譲渡に関して言えば、発行者による『情報開示』によって当事者の利益を保護できるのは
『市場の投資家と市場の投資家との間の取引』に関してのみである。」、という点について書いた一昨日のコメント↓。
2018年11月12日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201811/20181112.html
「債権は債務者との関係に依拠するが、物権は担保物件との関係のみに依拠する。(物権は人との関係ではない)」という点と、
「『債権の譲渡は、担保が付いている債権についてのみ認める。』という証券制度や民法の規定も考えられる。」という点と、
「債権では相手方を信頼することが前提なのに会社制度上『債権者保護』の手段を講じるというのはある意味矛盾である。」という点と、
「委任者保護は観念できないように債権者保護も観念できない。」という点と、
「株式市場における株式の譲渡とは、出資額の回収ではなく、あくまで株式の本源的価値に関して投資家間で競い合うことである。
例えば担保を活用することで出資額の回収を保証することが株式の譲渡における『投資家保護』ではない。」という点と、
「株式市場における投資家保護の本質は、『株式の本源的価値を算定できること』にある。」、
という点についてコメントを書いた昨日のコメント↓。
2018年11月13日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201811/20181113.html
【コメント】
一昨日と昨日のコメントに一言だけ追記をします。
昨日は非常に多くの論点について考察を行い、自分なりの考えを書いていったわけですが、
コメントを書き終わった後になって、私が昨日書いた事柄と同じようなことを以前聞いたことがあるなと思い出しました。
「昔の民法では、債権を譲渡する際には債権に担保が付いていなければならなかった。」、
という話を以前に聞いたことを思い出しましたし、
「昔の民法では、債権と言っている時点で債権者は債務者を信頼していることになる。」、
という話を以前に聞いたことを思い出しました。
「昔の民法では、債権者になるというだけなら債権に担保は必要なかったのだが、その債権を譲渡するとなると、
必ず債権には担保が付いていなければならなかった。債権の譲渡先は債務者のことをよく知らないからだ。」、
という話を以前に聞いたことを思い出しました。
コメントを書き終わった後になって、「そう言えば、何か似たような話を昔聞いた気がするな。」と思い出したわけですが、
私が昨日書きました事柄は、昔の民法の規定に実際に非常に近いものであったようです。
「理詰めで考えていったら債権と株式との違いはこうなるな。」、と論理的に考えて推論をしていったわけですが、
自画自賛ではありませんが、昔聞いた話を思い出して、「やはりこの考え方になるようだ。」と今自分で思っているところです。
株式の譲渡と債権の譲渡は有価証券の譲渡という点において共通点がある(どちらも証券制度の範疇の有価証券)わけですが、
「投資家の利益を保護するためにはどのような手段を用いなければなならないか?」
が債権と株式とでは大きく異なる(「情報開示」という手段では、債権の譲渡における投資家の利益を保護し切れない)、
という結論に昨日は辿り着いたわけです。
ところで、金融商品取引法の教科書を読んでいましたら、現行の金融商品取引法の規定では、
「N法人が事業に必要な資金を調達するために発行する約束手形のうち、内閣府令で定めるもの(15号)」は
金融商品取引法の適用を受ける有価証券なのですが、
「法人が事業を営む中で取引先から受け取る受取手形」は金融商品取引法の適用を受ける有価証券ではない、と定められています。
有価証券の「15号」について、教科書にはその具体例として次のように書かれています。
>Nの法人が事業に必要な資金を調達するために発行する約束手形のうち、内閣府令で定めるものとは
>コマーシャル・ペーパー(CP)を指し、主に大企業の短期資金調達に用いられるものです。
しかし、「法人が事業に必要な資金を調達するために発行する約束手形(コマーシャル・ペーパー)」であろうが
「法人が事業を営む中で取引先から受け取る受取手形」であろうが、
「額面金額を現金で受け取る権利」という点に違いは全くありません。
例えば、額面金額が同じであれば、どちらの手形であろうが、手形からのキャッシュフローは同じであるわけです。
債権の場合は、債権の本源的価値=債権の額面金額=債権からのキャッシュフローであるわけです。
投資家の利益を保護することを考えれば、「法人が事業を営む中で取引先から受け取る受取手形」も
当然に金融商品取引法の適用を受ける有価証券でなければならないと思います。
昔の証券取引法では「法人が事業を営む中で取引先から受け取る受取手形」も証券取引法上の有価証券だった、
と以前聞いたような気がします(なぜか、商取引上の受取手形は証券取引法の規定から除外された経緯があるようです)。
それから、昨日の追記になりますが、会社制度において、委任と債権債務関係とはある正反対の関係であるとも言えるわけです。
委任では、債権債務関係とは異なり、「これだけの金額の利益を達成すること。」といった具体的利益額や約束事はないわけです。
しかし、見方を変えれば(別の観点から見ると)、委任と債権債務関係は「信頼関係」という点において共通点があるのです。
漠然とした言い方になりますが、「将来に関する取り決め」という点において、委任と債権債務関係は同じなのだと思いました。