2018年10月27日(土)
2018年10月27日(土)日本経済新聞
少額投資で分散可能に 上場株、最低額下がる/投信100円
(記事)
上場企業の株式の売買単位を「100株」に統一することについての過去のコメント↓。
「『投資単位』(金額)というのは、株式市場におけるステータスになり得る。」、という点について指摘をした時のコメント↓。
2018年9月24日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201809/20180924.html
「地方にある他の証券取引所に単独上場している銘柄の中には、株式の取引単位(株式売買単位)が『100株』以外の株式数
となっている銘柄がまだ残っているとしても理屈では全くおかしくない。」、という点について指摘をした時のコメント↓。
2018年10月1日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201810/20181001.html
【コメント】
上場企業の株式の売買単位を「100株」に統一することについては、
最近では2018年9月24日(月)と2018年10月1日(月)にコメントを書きました。
2018年10月1日(月)のコメントでは、有価証券上場規程は証券取引所毎に異なるのだから、
「地方にある他の証券取引所に単独上場している銘柄の中には、株式の取引単位(株式売買単位)が『100株』以外の株式数
となっている銘柄がまだ残っているとしても理屈では全くおかしくない。」、と書きましたが、
現実には、10月1日をもって全国全ての証券取引所において上場企業の株式の売買単位が「100株」に統一されたようです。
また、2018年9月24日(月)のコメントでは、「『投資単位』(金額)というのは、株式市場におけるステータスになり得る。」
と書いたわけですが、証券投資の観点から言えば、「投資単位」(金額)がステータスとなるのはおかしいわけです。
投資判断は、法定開示書類を始めとする一定の開示情報や公表された情報のみに基づいて行われなければなりません。
株式の本源的価値とは別に、株式購入に関してステータスが生じることは証券制度上はあってはならないのです。
一方の銘柄は「投資単位」(金額)が大きくステータスが高いのだが、
他方の銘柄は「投資単位」(金額)が小さくステータスが低い、という状態は銘柄間の比較可能性を損ねると言えるわけです。
どの銘柄にも「投資単位」(金額)を理由としたステータスが生じないようにするために、
「投資単位」(金額)はどの銘柄も一定度の狭い範囲内に収まっていなければならない、
という考え方は証券制度上はあると思います(つまり、投資家にとって購入障壁が生じないようにしなければならないわけです)。
例えば、東京証券取引所は、上場企業株式の売買に必要最低限の金額について、「5万円以上50万円未満」が望ましい
とする水準を示しているわけですが、この範囲が狭ければ狭いほど、銘柄間の比較可能性という点において、
投資家にとって購入障壁が低くなる(つまり、証券投資の際、ステータスのようなものを意識しなくてよくなる)わけです。
「投資単位」(金額)を一定の範囲内に収めるための調整弁が上場株式の「売買単位」(株式数)であったわけです。
つまり、上場株式の「売買単位」(株式数)が当初は8種類もあった理由は、
上場株式の「売買単位」(株式数)は「投資単位」(金額)を一定の範囲内に収めるための手段であったからなのです。
「銘柄間の比較可能性」という観点から言えば、「投資単位」(金額)は一定の狭い範囲内に収まっていなければならず、
したがって、そのための調整弁としての上場株式の「売買単位」(株式数)の種類は多い方が望ましい、という結論になるわけです。
ただ、その考え方はあくまで「銘柄間の比較可能性」に重点を置いた場合の話です。
上場株式の「売買単位」(株式数)が何株であろうが(そして何種類あろうが)、「投資単位」(金額)がいくらであろうが、
その銘柄の価値自体は全く同じです(他の言い方をすれば、投資家間の株式の取引は株式の本源的価値に一切影響を与えません)。
その意味では、上場株式の「売買単位」(株式数)という調整弁を用いて「投資単位」(金額)を一定の範囲内に人為的に収める、
ということ自体が理論的には間違いだ、という考え方もあるわけです。
どちらの考え方の方がより投資家保護に資するのかについては絶対的な答えはない(どちらも一長一短がある)のですが、
必要以上に「銘柄間の比較可能性」に重きを置くのは間違いではないかと個人的には思います。
なぜならば、理論的には、開示情報に基づき「株式の本源的価値」を算定できさえすれば投資家は正しい投資判断を行えるからです。
それから、上場株式の「売買単位」(株式数)のこれまでの変遷についてですが、1998年までは合計8種類があったのですが、
1998年に一気に4種類に減少し、それから20年間をかけて徐々に減少し、そして最後に2018年10月1日に1種類のみとなった、
という経緯が正しいように思います(例えば、2007年の時点では上場株式の「売買単位」(株式数)は4種類あったと思います)。
いずれにせよ、上場株式の「売買単位」(株式数)や「投資単位」(金額)は株式の本源的価値とは無関係なのです。
The securities sysytem big bang took place in 1998.
1998年に証券制度ビッグバンが起こりました。