2018年10月6日(土)


2018年9月26日(水)日本経済新聞 私見卓見
コーン・フェリー 日本代表 高野研一
後継者育成はCEOの仕事
(記事)





コーポレート・ガバナンス(東京証券取引所)
ttps://www.jpx.co.jp/equities/listing/cg/index.html

>東京証券取引所(以下「東証」という)では、実効的なコーポレートガバナンスの実現に資する主要な原則を取りまとめた
>「コーポレートガバナンス・コード」を定めています。
>本則市場(市場第一部・第二部)の上場会社は、コードの全原則について、マザーズ及びJASDAQの上場会社は、
>コードの基本原則について、実施しないものがある場合には、その理由を説明することが求められます。

 

スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議(金融庁)
ttps://www.fsa.go.jp/singi/follow-up/index.html

 


「2018年10月1日に株式の取引単位(株式売買単位)が「100株」に統一されたのは、実は東京証券取引所だけであった。」、
という点について指摘をした時のコメント↓。

2018年10月1日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201810/20181001.html

 

「特に現実的な地理的理由から、財務局は言わば地方毎に分かれている(財務局は地方毎に物理的に分かれている)。」、
という点について指摘をした時のコメント↓。

2018年10月2日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201810/20181002.html

 

 


【コメント】
紹介している記事では、「企業統治指針」(「コーポレートガバナンス・コード」)に関して議論がなされています。
記事を読んだり、「企業統治指針」というキーワードでインターネットで検索をして解説記事を読んだりして気付いたのですが、
この「企業統治指針」(「コーポレートガバナンス・コード」)というのは、
実は東京証券取引所に上場している上場企業のみが遵守すべき基本原則である、という位置付けなのではないかと思いました。
もちろん、日本の証券取引所に上場している上場企業は同一の証券規制(日本国内の証券規制)に服さなければなりませんので、
地方の証券取引所に上場している上場企業は「企業統治指針」(「コーポレートガバナンス・コード」)を一切遵守しなくてよい
というわけではないのですが、様々な解説記事を読みますと、
東京証券取引所が取りまとめた「企業統治指針」(「コーポレートガバナンス・コード」)は、東京証券取引所自身、
東京証券取引所に上場している上場企業に適用することを前提としているように感じました。
確かに、どの解説記事にも、
「地方の証券取引所に上場している上場企業は「企業統治指針」(「コーポレートガバナンス・コード」)を遵守しなくてよい。」
などとは書かれていません。
しかし同時に、どの解説記事を読んでも、
東京証券取引所が取りまとめた「企業統治指針」(「コーポレートガバナンス・コード」)が関係あるのは
東京証券取引所に上場している上場企業である、というニュアンスが感じられます。
東京証券取引所以外の地方の証券取引所のこの「企業統治指針」(「コーポレートガバナンス・コード」)に対するスタンスは
一体どのようなものなのだろうか、と思いました。
東京証券取引所以外の地方の証券取引所は、この「企業統治指針」(「コーポレートガバナンス・コード」)を遵守しましょうと
自分の証券取引所に上場している上場企業に呼びかけたりしているでしょうか。
「スチュワードシップ・コード」及び「コーポレートガバナンス・コード」に関しては、金融庁も旗振り役として関与しています。
ですので、東京証券取引所以外の地方の証券取引所に上場している上場企業が
この「企業統治指針」(「コーポレートガバナンス・コード」)を遵守することも金融庁は考慮に入れているとは思います。
しかしそれならばなぜ、「企業統治指針」(「コーポレートガバナンス・コード」)を取りまとめ発表をしているのは
東京証券取引所なのか、という疑問があるわけです。
「企業統治指針」(「コーポレートガバナンス・コード」)を取りまとめ発表をするのは金融庁でなければならないのではないか、
と私は単純に思うわけです。
それとも、この「企業統治指針」(「コーポレートガバナンス・コード」)を遵守することが求められるのは、
私が今日感じましたように、東京証券取引所に上場している上場企業である、ということなのでしょうか。
東京証券取引所自身、何かそのように考えている節があるように私は感じましたが。
ただ、前述のように、日本の証券取引所に上場している上場企業は同一の証券規制(日本国内の証券規制)に服さなければなりません。
東京証券取引所に上場している上場企業はこの「企業統治指針」(「コーポレートガバナンス・コード」)を遵守しなければならないが
東京証券取引所以外の地方の証券取引所に上場している上場企業は
この「企業統治指針」(「コーポレートガバナンス・コード」)を遵守しなくてよい、という考え方は間違いだと思います。

 



ただ、2018年10月2日(火)に議論しましたように、原理的には財務局と証券取引所は地方毎に物理的に分かれているわけです。
上場企業が遵守しなければならない規程や基準や原則が証券取引所毎に異なっていても、原理的にはおかしくないのかもしれません。
証券制度においては、金融商品取引法が言わば憲法であり、証券取引所毎の規程や基準や原則は言わば法律・法令のようなものだ
と捉えれば、金融商品取引法に反していない限り規程や基準や原則が証券取引所毎に異なることは認められるのかもしれません。
東京証券取引所に上場している上場企業とは異なり、東京証券取引所以外の地方の証券取引所に上場している上場企業は、
この「企業統治指針」(「コーポレートガバナンス・コード」)を遵守するよう証券取引所から要請されるということはない、
という考え方は、元来的・原理的には実は間違いではないのかもしれず(それほどまでに証券取引所は互いに分離・独立している)、
また、東京証券取引所以外の地方の証券取引所に上場している上場企業は、実際にこの遵守を要請されていないように思えます。
昨今話題の「企業統治指針」(「コーポレートガバナンス・コード」)や「スチュワードシップ・コード」は、
実は東京証券取引所だけの話なのかもしれません。
東京証券取引所以外の地方の証券取引所に上場している上場企業は、
「東京の方で変な原則を打ち立てて、やれやれかなわんな。」
と思っているかもしれません。
それから、そもそも「企業統治」(コーポレート・ガバナンス)は誰が主導するべきか、
という問題も議論の根本にはあろうかと思います。
他の言い方をすれば、「コーポレート・ガバナンスの主権者は誰であるべきか?」という問題も議論の根本にはあるわけです。
一般には、特に会社制度を鑑みれば、「コーポレート・ガバナンスの主導者・主権者は『株主』である。」
という考え方になるわけです。
しかし、上場企業の特殊性を鑑みれば、すなわち、その主導者・主権者たる株主が日々変動するという特殊性を鑑みますと、
株主にはコーポレート・ガバナンスを主導する役割はとてもではありませんが現実には担えないわけです。
したがって、現実には、「ディスクロージャー」(情報開示)同様、
「企業統治」(コーポレート・ガバナンス)も証券制度によって形作るべきだ、という考え方になってくるわけです。
すなわち、「企業統治」(コーポレート・ガバナンス)も証券制度上の要請だ、という考え方になってくるわけです。
「ディスクロージャー」(情報開示)同様、「企業統治」(コーポレート・ガバナンス)も
投資家保護のために証券制度上必要だ、と。
そのための一手段・具体的ルールが、「企業統治指針」(「コーポレートガバナンス・コード」)である、
と捉えるとよいと思います。
証券制度では、「それは株主が決めることだ。」で済ましてしまうと市場の投資家の利益が害される、ということが多いのです。
「市場の投資家の利益を守ること」に最重点を置けば、
証券制度として「企業統治指針」(「コーポレートガバナンス・コード」)を定めるべきだ、という結論になるわけです。
証券規制というのは、市場の投資家の利益を守るためにあるのです。
その意味では、東京証券取引所に上場している上場企業は「企業統治」(コーポレート・ガバナンス)が要請されるが
東京証券取引所以外の地方の証券取引所に上場している上場企業は「企業統治」(コーポレート・ガバナンス)は要請されない、
という考え方は証券制度上はおかしい(地方の投資家の利益を保護していない)、という結論になると思います。
「ディスクロージャー」(情報開示)同様、「企業統治」(コーポレート・ガバナンス)も
日本における証券制度上全国全ての証券取引所において要請されるべき事柄だ、という結論になると思います。
細かいことを言うと、企業統治指針の「原案」は金融庁が公表し、「確定した指針」(本指針)は東京証券取引所が発表する、
といった流れ・役割分担になっているようですが、そのような発表方法は間違いだと思います。
昨今話題の「企業統治指針」(「コーポレートガバナンス・コード」)も「スチュワードシップ・コード」も、
本来的には東京証券取引所ではなく金融庁が取りまとめ発表をしなければならないのです。