2018年10月2日(火)



2018年10月2日(火)日本経済新聞
放棄希望の土地 仲介 官民で新組織検討 有効活用へ対策
(記事)





「財務局と証券取引所は証券制度上は一体的な公的施設なので、かつては財務局毎に証券取引所が存在していたはずだ。」、
という点について考察を行った昨日のコメント↓。

2018年10月1日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201810/20181001.html

 

 


【コメント】
昨日は、現実的な地理的理由により証券取引所は物理的に分かれている(市場に参加する投資家も証券取引所毎に全て異なる)、
ということが証券制度上の前提である、という点(証券制度における理論的前提)について考察を行いました。
昨日のコメントに対し、証券制度におけるこの理論的前提から推論できることについて、一言だけ追記をしたいと思います。
昨日書きましたように、特に現実的な地理的理由から、財務局は言わば地方毎に分かれている、と指摘をしたわけですが、
「財務局は言わば地方毎に分かれている。」という点に関して、昨日のコメントでは私は次のように書きました。

>閲覧できる法定開示書類は当然同一ですが、

この「閲覧できる法定開示書類は当然同一ですが、」という言葉の意味なのですが、コメントを書いた時に私の頭にあったのは、
一言で言えば、日本のある財務局に提出された法定開示書類は全国どの財務局でも閲覧することができる、ということでした。
例えば、北海道財務局に提出された法定開示書類は、関東財務局でも閲覧できますし、九州財務局でも閲覧できますし、
沖縄総合事務局(財務部)でも閲覧できる、と私は昨日言いたかったわけです。
逆から言えば、例えば、北海道財務局に提出された法定開示書類は北海道財務局でしか閲覧できないというわけではない、
と私は昨日言いたかったわけです。
以上の書きましたことは、地域において業務を執行するという財務局の役割を考えみれば、当然の論理のように思えます。
しかし、財務局の役割を特に元来の証券制度と関連付けて考えてみますと、また別の結論を導き出せるように思いました。
以下、この点について追記をしたいと思います。
「特に現実的な地理的理由から、財務局は言わば地方毎に分かれている。」という点に着目して推論をしますと、
昨日私が書きましたこととは正反対に、
「日本のある財務局に提出された法定開示書類は提出されたその財務局でしか閲覧することができない。」、
という結論になると思いました。
例えば、北海道財務局に提出された法定開示書類は北海道財務局でのみ閲覧することができ、
関東財務局や九州財務局や沖縄総合事務局(財務部)等他の財務局では閲覧できない、という結論になると思いました。
確かに、例えば、関東在住の投資家は東京証券取引所でのみ株式の取引を行うのではなく、
札幌証券取引所でも沖縄証券取引所でも株式の取引を行なことができるわけです。
関東在住の投資家は東京証券取引所で株式の取引を行うことが前提だ(他の証券取引所に上場している銘柄は取引しない)、
などということは決してないわけです。
日本人投資家は、どこ在住であろうが、現地まで赴くことで、全国どの証券取引所においても株式の取引を行うことができるわけです。
その意味では、日本のある財務局に提出された法定開示書類は全国どの財務局でも閲覧することができなければならないわけです。
しかし、「現実的な地理的理由により証券取引所は物理的に分かれている。」という点に特段に着目をしますと、
「閲覧できる法定開示書類も物理的に分かれている(提出された財務局でのみ閲覧が可能である)。」、という結論になるわけです。
「財務局と証券取引所は証券制度上は一体的な公的施設である。」という点に特段に着目をしますと、
「法定開示書類が提出された財務局以外の財務局でも閲覧が可能であるというのは理論的には間違いである。」、
という結論に辿り着くわけです。
「理論的には、法定開示書類は提出された財務局でのみ閲覧が可能である。」、
という結論に辿り着くわけです。

 


現行の証券制度との対比で考えてみましょう。
証券取引所からの要請で発表される(各証券取引所の有価証券上場規程に定めのある)「決算短信」を参考にして考えてみましょう。
企業の担当者が「決算短信」を証券取引所の棚(小学校の教室にあるロッカーのような棚)に入れているシーンが
テレビや新聞で報道されているわけですが、企業の担当者は果たしてどの証券取引所に対して「決算短信」を提出するでしょうか。
答えは極めて簡単であり、「企業の担当者は自社が上場している証券取引所に対して『決算短信』を提出する。」、であるわけです。
例えば、札幌証券取引所に単独上場している銘柄の発行者は、札幌証券取引所に対して「決算短信」を提出するわけです。
札幌証券取引所に単独上場している銘柄の発行者は、例えば東京証券取引所に対して「決算短信」を提出したりはしないわけです。
そして、当然のことながら、札幌証券取引所に単独上場している銘柄の「決算短信」は札幌証券取引所でのみ閲覧が可能なのです。
札幌証券取引所に単独上場している銘柄の「決算短信」を東京証券取引所で閲覧することは不可能なのです。
この理由は、証券取引所が物理的に分かれているからであるわけです。
札幌証券取引所は東京証券取引所の札幌支店ではないわけです。
札幌証券取引所は東京証券取引所とは全く別の証券取引所であるわけです。
札幌証券取引所は東京証券取引所とは全く別の証券取引所であるからこそ、
札幌証券取引所に提出された「決算短信」を東京証券取引所で閲覧することはできないわけです。
以上の議論と同じことが、法定開示書類にも当てはまるのではないでしょうか。
北海道財務局に提出された法定開示書類は、理論的には北海道財務局でのみ閲覧が可能なのです。
北海道財務局に提出された法定開示書類を、関東財務局で閲覧することは理論的には不可能なのです。
この理由は、財務局が物理的に分かれているからである、という理由にやはり理論的にはなるわけです。
「財務局は証券取引所とは異なり各財務局同士は互いに『支局』の関係にあるので、北海道財務局に提出された法定開示書類は
関東財務局でも閲覧できなければならないのではないか?」という考え方もあるとは私も思います。
しかし、「財務局と証券取引所の一体性」を鑑みますと、各財務局同士は互いに『支局』の関係にあるのではなく、
現実的な地理的理由により各財務局同士は物理的に分かれている、という考え方に分があるように私は思うわけです。
札幌在住の投資家が東京証券取引所に上場している株式の取引を行いたい場合は、東京証券取引所まで赴くことが前提です。
同様に、札幌在住の投資家が関東財務局に提出された法定開示書類の閲覧を行いたい場合は、関東財務局まで赴くことが前提だ、
という考え方に証券制度上は(理論上は)ならないでしょうか。
「札幌在住の投資家が関東財務局に提出された法定開示書類の閲覧を行いたい場合は、北海道財務局でも閲覧できる方が、
投資家にとって利便性は高まるのではないか?」、と言われればそれはもちろんそうです。
しかしその論理は、「札幌在住の投資家が東京証券取引所に上場している株式の取引を行いたい場合は、
札幌証券取引所でも取引できる方が、投資家にとって利便性は高まるのではないか?」、という言い分と同じだと思います。
札幌在住の投資家が東京証券取引所に上場している株式の取引を行うことは、当然同一法律(同一証券制度)に基づいてはいますが、
特に当時の現実的な地理的障害("geographical barrier")を鑑みますと、
投資家にとってはもはや域外取引("extraterritorial trading")に近いわけです。
米国在住の米国人投資家が、日本株式に投資をするに際し、「米国内でも有価証券報告書を閲覧できるようにしてくれませんか。」
と、発行者や日本の証券当局に依頼をするのはおかしいわけです(投資の際の地理的障害を乗り越えるのは自己責任でしょう)。
北海道財務局はやはり関東財務局の札幌支店ではなく、北海道財務局は関東財務局とは全く別の財務局であり、
したがって、北海道財務局に提出された法定開示書類を関東財務局で閲覧することは理論的にはできないわけです。
これは、法定開示書類の管理の問題でもあります(提出された書類は理論的には一元管理するようにするべきだと思います)。
紛失や改竄等を避けるためにも、「この文書はこの部署で管理をする。」と決めるべきなのです(必要時は謄本を交付すればよい)。
例えば、不動産登記簿は、不動産の所在地を管轄している法務局でしか閲覧することはできない(一元管理されている)わけです。
また、住民票に関しても、住民の住所を管轄している区市町村役場でしか入手はできないのです(やはり一元管理されている)。






Each Legal Affairs Bureau located in a district has its own real estate register of its jurisdiction in it.

地方に所在する各法務局は、それぞれの管区内の不動産登記簿を局内に備え置いています。

 


Just as a real estate is located and traded within a district,
a listed share is located and traded within a district in theory.
Originally, a listed share is traded only within one stock exchange.
Conceptually, a listed share doesn't go out of the stock exchange.

不動産がある地域内において所在し取引がなされるように、
理論的には上場株式もある地域内において所在し取引がなされるのです。
元来的には、上場株式はある1つの証券取引所内でのみ取引がなされるのです。
概念的には、上場株式が証券取引所から出て行くことはないのです。