2018年6月19日(火)日本経済新聞
金融法制 機能別に 金融庁が中間整理案 IT進展、業態別に限界
(記事)
2018年6月27日(水)日本経済新聞
企業の4割、日銀が大株主 イオンなど5社、実質「筆頭」
(記事)
2018年6月27日(水)日本経済新聞
メガ×地銀 進む脱系列 三井住友が協議会、新たな関係模索 拠点減少に布石
再編の呼び水に
個人の株保有額 100兆円超
(記事)
2018年6月27日(水)日本経済新聞 経済教室
小野 有人 中央大学教授
止まらぬ銀行の収益力低下 過度な預金流入の抑制を
無理な融資拡大 誘引回避
ポイント
○貸出残高増加も利ざや低下に追いつかず
○銀行のエクイティ性資金供給は検討に値
○バランスシートの柔軟な調整の可否カギ
(記事)
2018年6月28日(木)日本経済新聞
ふくおかFG・十八銀 取引先借り換え、他行に打診 想定規模、公取委に報告
(記事)
2018年6月29日(金)日本経済新聞
十八銀と統合「粘り強く」 ふくおかFG社長 株主総会で言及
(記事)
2018年7月5日(金)日本経済新聞
地銀再編 ふくおかFG・十八銀 借り換え打診 長崎統合 迫る公取判断 取引先、対応に温度差
(記事)
「貸出市場シェアを意図的に低下させることの是非と実務上の問題点」について書いた最近のコメント↓
2018年6月6日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201806/20180606.html
2018年6月24日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201806/20180624.html
【コメント】
地銀の再編については「好きにしろ。」という心境になりましたので特にコメントはありませんが、
「貸出市場シェアを意図的に低下させることの是非と実務上の問題点」について一言だけ追記をします。
2018年6月6日(水)のコメントで次のように書きました。
>The most fundamental and the most insoluble problem in the banking
business is
>that the bank can do nothing but the banking business.
>銀行業における最も基本的かつ最も解決不能な問題は、銀行は銀行業しか営めないことなのです。
このことと関連のある記事が、今日紹介している2018年6月15日(金)付けの日本経済新聞の記事です。
記事では、異業種から銀行業への参入や銀行が異業種へ参入することの是非について論じられているわけですが、
結論を一言で言いますと、要するところ、「銀行業は独立した法人でしか営めない。」、ということではないかと思います。
「銀行は銀行業しか営めない。」=「銀行業は独立した法人でしか営めない。」ということであるわけです。
@銀行の買収を行う場合であろうが、A既存銀行との共同出資を行う場合であろうが、B新規に単独で銀行を設立する場合であろうが、
いずれの場合も「銀行業を専門に営む法人(1つの会社)」で銀行業を営んでいる、という共通点があるわけです。
ソニー銀行やセブン銀行は最も馴染みのある銀行と言えるわけですが、
ソニー銀行もセブン銀行もどちらも「銀行業を専門に営む法人(1つの会社)」であるわけです。
ソニー本体やセブンイレブン本体の一事業部で銀行業を営んでいるわけではないわけです。
銀行業を新たに営み始めようする場合は必ず法人(通常は株式会社)を新規に設立しなければならないわけです。
簡単に言えば、自社内で銀行業を営むことはできない(銀行業は必ず別法人で営む必要がある)わけです。
その理由は、端的に言えば、「預金者保護」であるわけです。
銀行業を営んでいる法人が経営破綻をしてしまった場合は、預金保険機構による預金保険制度に基づき預金者の預金は保護される
ことになるわけですが、結局のところ、
「債務者(銀行業を営んでいる法人)が負っている債務は預金者の預金である。」ということを明確化するために、
銀行業は独立した法人で営む必要があるのだと思います。
他の言い方をすれば、
「債務者(銀行業を営んでいる法人)が負っている債務には、預金者の預金と預金者の預金以外の債務の2種類がある。」、
という状態では、預金保険制度による預金の保護が難しくなるわけです。
理論的には、経営破綻に伴う法人の清算手続きにおいて、債務者(銀行業を営んでいる法人)の債務の弁済順位を
「@預金者の預金>A預金者の預金以外の債務>B株主の残余財産分配請求権」であると明確化できれば、問題はないわけです。
経営破綻に伴う法人の清算手続きにおいて、会社財産の全てをまず最初に@預金者の預金の払い戻しに充当し、それでもなお
預金の全ての払い戻しができない場合のみ預金保険制度に基づき預金者の預金を保護する(預金保険機構が差額を預金者に支払う)、
という弁済方法を行うのであれば、理論的には問題はないわけです。
この場合、A預金者の預金以外の債務の弁済金額とB株主への残余財産の分配金額は当然0円です。
理論上は確かにそうなのですが、社会的な意味で「預金者の預金の保護」という文脈では、
「預金者が預けた預金を視点の窓口その他ですぐに引き出せること」を意味するわけです。
「現在清算手続きを行っており完了までに何ヶ月も何年もかかるから預金者が預金を下ろせるのは何年後になります。」、
では社会的な意味での「預金者の預金の保護」にならないわけです。
銀行業を営んでいる法人が経営破綻を起こした時は、預金者の預金だけを即時に分別できなければならないわけです。
債務者(銀行業を営んでいる法人)の全債権者のうち、預金者だけは社会的に別扱いにしなければならないわけです。
銀行業を営んでいる法人は経営破綻をし現在清算手続き中であるが、
預金者(会社債権者の1人)の預金だけは引き続き預金者が自由におろせるようにしなければなりません。
そうでなければ、まず第一に社会的な意味で預金者が困ることになります。
預金者が実生活の上で生活費(食費等)その他を銀行口座からおろせなくなってしまったり、
家族が暮らしている自宅の水道光熱費について銀行口座からの自動引き落としができなくなってしまうわけです。
預金者の預金は社会的に法人の一債務として取り扱うわけにいかないわけです。
第二に、債務者(銀行業を営んでいる法人)に預金者の預金以外の債務がありますと、
預金保険制度に基づき預金者の預金を保護することが他の会社債権者の利益になってしまう恐れが生じるわけです。
預金保険制度はあくまで預金者の預金を保護することのみが目的であるわけですが、
預金保険制度に基づき預金者の預金を保護する過程で、
他の会社債権者への弁済金額が増加するというようなことがあってはならないわけです。
もしそのようなことになれば、預金保険機構が間接的・結果的に他の会社債権者へ弁済をしていることになってしまうわけです。
細かいことを言えば、たとえ同一法人内に預金者の預金と預金者の預金以外の債務があろうとも、
契約や取引実態に基づきに預金者の預金と預金者の預金以外の債務とは区別はできるのでしょうが、
預金保険機構の預金者に対する現金の支払いが他の会社債権者の利益(弁済金額の増加)につながることが絶対にないように、
預金者の預金は法人として予め分けておく、ということが実務上求められるわけです。
また、国が公的資金の注入という形で債務者(銀行業を営んでいる法人)に出資をすることがあるわけですが、
それには銀行の救済(金融制度の維持)という側面もありますが、預金者の保護を間接的に図っている、という側面もあるわけです。
債務者(銀行業を営んでいる法人)に預金者以外の債権者がいますと、国による公的資金の注入の際、
結果として、国(預金保険機構その他)が預金者以外の債権者をも保護していることなるわけです。
「預金者の保護」という社会的な使命があるからこそ国による公的資金の注入が社会的に認められるのであって、
預金者以外の債権者の利益になるような国(預金保険機構その他)による支援は社会的には認められないことであるわけです。
公的資金の注入その他、国による銀行に対する支援(金融制度の維持・安定のため)を社会的に正当なこととするために、
簡単に言えば、「銀行に債権者は預金者だけである。」という状態にしておかなければならないのです。
以上のことは、逆から言えば、「銀行業を営んでいる法人には預金者の預金以外の債務があってはならない。」、
ということを意味するわけです。
なぜならば、そうでないと破綻時の清算手続きや国(預金保険機構その他)による公的資金の注入その他を鑑みれば
何のために独立した法人で銀行業を営んでいるか(何のために債権者を預金者だけにしているのか)分からないからです。
そうしますと、例えば、「銀行は、他行から借り入れを行ったり社債を発行したりはできない。」という結論になります。
最近では何ですか、LIBORやらTIBORやらインターバンク市場やら何やらありまして、政策金利の指標にもなっている昨今でして、
レンタルビデオの新作ではないわけですからオーバーナイト物(翌日物=1泊2日)はないだろうと言いたくなるわけですが、
銀行同士で短期的に資金の融通をし合うというようなことが行われているようですが、理論的にはそれは根本的に間違いのです。
また、理論的には銀行は社債の発行もできません(金融当局は一体いつから金融機関による社債発行を認めたのでしょうか)。
2018年6月24日(日)のコメントでは、地銀再編に関連し債権譲渡や借り換えが行われる際に必然的に伴う資金調達について、
>社債の発行による資金調達という手もありますが、
と書きましたが、この記述は訂正したいと思います(銀行による社債の発行による資金調達という手は、理論上は認められません)。