2018年2月17日(土)
証券制度は市場の投資家間における「フェア・ベネフィット」の状態を担保しなければならない、
という点について書いた一昨日のコメント↓
2018年2月15日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201802/20180215.html
「会社は創立時であれば種類株式を発行できる。会社創立後は会社は種類株式を発行できない。」、
という点について書いた昨日のコメント↓
2018年2月16日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201802/20180216.html
【コメント】
中国の証券制度には、「サーキット・ブレーカー」という株式の売買を一時的に停止させる制度が設けられているようです。
「サーキット・ブレーカー」について、記事には次のように書かれています。
>中国の株式市場には上場企業からの申し出で売買を停止できる制度がある。
>売買停止理由について、保有資産に影響を与える重大事項を親会社が計画していることが判明したためだとしている。
理論的には、保有資産に影響を及ぼす可能性がある重大な計画に関する事実関係が明らかになるまでは、
憶測による株式売買が行われることを避けるために、株式の売買を証券制度上停止する、という考え方は正しいと思います。
適時開示(タイムリー・ディスクロージャー)もれっきとした投資判断の根拠の1つであるわけです。
適時開示に関してあやふやな部分がありますと、それはイコール投資判断の根拠があやふやだということになります。
重大な適時開示を行うなら行うで、事実関係が明らかになるまで株式の売買を停止するという考え方はやはり正しいと思います。
ただ、記事には、上場企業が株式の売買の停止を申し出ることについて、
「株価のさらなる下落を避ける狙いがあるのではないか」という憶測が出ている、と書かれています。
この憶測を読んでふと思ったのですが、種類株式の上場について私は昨日次のように書きました。
>会社創立時に種類株式を発行しているのであれば種類株式を発行している会社が株式を上場する、
>ということは証券制度上認められる、という結論になるわけです。
>また、会社が発行している複数の種類の株式のうち、会社は全種類の株式を上場させることも認められますし、
>一部の種類の株式を上場させることも認められる、ということになります。
>なぜならば、株式の上場は、「株式の本源的価値」や「投資家による株式投資の前提」に影響を与えないからです。
>理論的には、株式が上場しても、「株式の本源的価値」は何ら高まらないのです。
>また、株式が上場しても、株式の権利内容が変動することはありませんし、業績予想にも何らの影響も与えません。
昨日書きました記述を踏まえて、結論を端的に言えば、たとえ株式市場において「サーキット・ブレーカー」が発動しても、
「株式の本源的価値」や「投資家による株式投資の前提」には影響を与えない、と言えるわけです。
理論的には、たとえ株式市場において「サーキット・ブレーカー」が発動しても、「株式の本源的価値」は何ら下落しませんし、
株式の権利内容が変動することもありませんし、業績予想にも何らの影響も与えないのです。
適時開示(タイムリー・ディスクロージャー)こそが、投資家による業績予想に影響を与えるのです。
端的に言えば、たとえ株式の売買が一時的に停止されても、投資家の利益は一切害されないのです。
適時開示がなされないことや適時開示の内容があいまいなままであることが、投資家の利益を害することにつながるのです。
結論を一言で言えば、「サーキット・ブレーカー」は投資家の利益を一切害さないのです。
The object of "regulations on insider trading" is literally "corporate
insiders" only,
whereas that of the "circuit breaker" is all investors in the
market.
「インサイダー取引規制」の対象者は文字通り「会社関係者」だけであるわけですが、
「サーキット・ブレーカー」の対象者は市場の全投資家なのです。