2018年1月21日(日)
土地収用法
>(この法律の目的)
>第一条 この法律は、公共の利益となる事業に必要な土地等の収用又は使用に関し、
>その要件、手続及び効果並びにこれに伴う損失の補償等について規定し、公共の利益の増進と私有財産との調整を図り、
>もつて国土の適正且つ合理的な利用に寄与することを目的とする。
>(土地の収用又は使用)
>第二条 公共の利益となる事業の用に供するため土地を必要とする場合において、
>その土地を当該事業の用に供することが土地の利用上適正且つ合理的であるときは、
>この法律の定めるところにより、これを収用し、又は使用することができる。
>(土地を収用し、又は使用することができる事業)
>第三条 土地を収用し、又は使用することができる公共の利益となる事業は、
>次の各号のいずれかに該当するものに関する事業でなければならない。
「土地の所有権とは何か?」という点について書いた一昨日のコメント↓
2018年1月19日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201801/20180119.html
「土地の所有者が国であれば、土地の使用権に関する問題は一切生じない。」、という点について書いた昨日のコメント↓
2018年1月20日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201801/20180120.html
【コメント】
一昨日2018年1月19日(土)と昨日のコメントに一言だけ追記をします。
昨日紹介した2017年12月6日(水)付けの日本経済新聞の記事には、
「土地収用法」の改正(所有者不明土地に関する特別措置法の立法)について書かれていたわけです。
昨日は、所有者不明の土地の取り扱いに関連し、国が土地の使用権を取り戻すための手続きについて、次のように書きました。
>土地は本質的に国のものだ(土地の使用者は一時的に使用する権利があるに過ぎない)、
>という考え方・基本概念が土地の基底にありますと、土地に関する権利関係の整理が非常に円満になるのだろうと思いました。
「理論的には、土地の所有者は常に国であるべきだ。」、という点について昨日は書いたわけです。
昨日紹介した2018年1月16日(火)付けの日本経済新聞の記事に書かれています不動産等の「差し押さえ」は、
端的に言えば「納税者の債務不履行(納税の不能や滞納)」が執行原因であると言ってよいのですが、
「土地収用法」の規定に基づく土地の「収用」は、「公共の利益」が執行原因である、と言えるのだと思います。
不動産等の「差し押さえ」も土地の「収用」も、どちらも公権力による強制力を持った財産の取得である
という共通点があるかと思いますが、一言で言えば、執行原因が両者では根本的に異なると言えると思います。
不動産等の「差し押さえ」の場合は、国による「差し押さえ」の根拠法は「国税徴収法」、
地方自治体による「差し押さえ」の根拠法は、正確なところは調べていませんが、地方自治法の関連法令になるかと思います。
土地の「収用」の場合は、「収用」の根拠法は「土地収用法」になるわけです。
同じ「公権力による強制力を持った財産の取得」でも、執行原因の相違(債務不履行かそれとも公共の利益か)というのは、
それぞれの手続きの本質を理解する上で、非常に重要であると思いました。
「国税徴収法」は、英語(国による公式英訳)では、"the
National Tax Collection Act"と訳すようです。
「土地収用法」は、 国による公式英訳ではありませんが、和英辞書には"the
Compulsory Purchase of Land
Act"と載っています。
辞書上の定義では、「収用」とは「国家が特定物件の所有権を取り上げて、公共の用に使うこと。」という意味です。
「収用する」は英語で"expropriate"というのですが、"expropriate"を英和辞書で調べますと、当然同じ意味になりますが、
「国などが公共の目的のために土地などを収用する」という意味であると載っています。
「収用」という時には、「公共の利益」という点が極めて重要かつ本質的であるようです。
国による公式英訳はまだ定められていないようですので書くのですが、仮に私が「土地収用法」を英訳するならば、
"the
Public Retrieval of Land
Act"と訳したいと思います。
「国民全体(公共の利益)のために土地の所有権を国に取り戻すための法律」という意味合いで、こんなふうに訳してみました。
それから、昨日は、「土地収用法」の条文は一切見ないでコメントを書いたわけなのですが、
今日初めて「土地収用法」についてインターネットで調べましたところ、大変驚きました。
「土地収用法」というキーワードで検索すると、「土地収用法」の条文は簡単に見ることができるのですが、
「土地収用法」の第1条から第3条(文頭のみ)を最初に引用して紹介しています。
また、最初に紹介している2017年8月21日(月)付けの日本経済新聞に掲載されていた公告は、
「土地収用法」に関連する公告になります。
「土地収用法」の第1条(土地収用法の目的)を見て驚いたのですが、1つの文の中に「公共の利益」という文言が2回も出てきます。
「土地収用法」は、まさに「公共の利益」を第一に標榜した法律であることがうかがえます。
「土地収用法」の第1条には、「公共の利益の増進と私有財産との調整を図り」との文言もあり、
昨日書きました国による土地の区画整理事業とも深く関連のある法律なのだろうと思いました。
「土地収用法」については、今日初めて調べましたし条文も今日初めて読んだのですが、
「公共の利益」という文言が繰り返し条文の中に出てきますので、昨日の自分の理解は正しかったのだろうと思いました。
2018年1月21日(日)日本経済新聞
物言う株主、再び攻勢 日本株大量保有、9年ぶり高水準 企業統治指針も追い風
(記事)
2017年9月9日(土)日本経済新聞
「大株主ファンド」期待先行 内田洋行・イノテック、上場来高値
(記事)
【コメント】
本日2018年1月21日(日)付けの日本経済新聞の記事には、「大量(変更)報告書」の記載義務について、次のように書かれています。
>日本の情報開示ルールでは、株主還元や取締役選任などを提案する可能性がある場合は
>保有目的に「重要提案行為」と明記する決まりだ。
記事は、いわゆる「物言う株主」(アクティビスト)が会社に対し「重要提案行為」を行い経営に大きな影響を及ぼしている、
という内容になるのですが、金融商品取引法は、株式の大量保有(5%超保有)を行っている場合は、
投資家(大量保有者)は、大量保有者となった日から5営業日以内に、保有割合、取得資金、保有の目的等を記載した
大量保有報告書を提出することを義務付けています。
その「保有の目的」には、投資家が「重要提案行為」を行う予定となっている場合は、
「重要提案行為」を行うことを目的に株式の保有を行っている旨、必ず記載を行わなければならない定めとなっています。
この文脈で言う「重要提案行為」には、様々な手続き・方法・形態のものが想定されているのではないかと思うのですが、
その中には、会社法に規定のある「株主提案権」の行使が当然含まれているわけです。
ここで、私はふと次のようなことを思いました。
「大量保有報告書の『保有の目的』に、会社法に規定のある『株主提案権』の行使を行うことを目的に株式を保有している旨
記載することが、会社法に従い株主が『株主提案権』を行使するための要件となる。」
という考え方はどうだろうかと。
逆から言えば、会社法に規定のある『株主提案権』の行使を行うことを目的に株式の保有をしている旨の記載を
大量保有報告書に行っていない場合は、その投資家(株主)は、会社法上「株主提案権」を行使できない、
という考え方はどうであろうかと思ったわけです。
投資家の利益保護の強化と、会社法と金融商品取引法との調整を図りますと、上記のような考え方になると思ったわけです。
会社法と金融商品取引法の関連分野・複合領域では、
「会社法上はできるのだが、金融商品取引法上はできない。(だから、実務上できない。)」、
という取引・行為が非常に多い(新株式の発行や過半数の株式の譲渡等々)わけですが、
「株主提案権」の行使に関してもそれに類する規制を受ける、というふうに考えるわけです。
本来の意味における・元来的な「ディスクロージャー」とは異なるのですが、
「投資家による情報開示」の手段(法定の手続き)というのは、発行者によるそれに比べるとはるかに少ないのですが、
会社法上株主が会社に対して一定の行為を行うという場合は、金融商品取引法上も投資家(株主)は一定の規制を受ける、
ということが証券制度上求められると思いました。
紹介している2017年9月9日(土)付けの日本経済新聞の記事には、大量保有報告書を基に市場の投資家が株式の売買を行い、
株価にも大きな影響を与えている(投資ファンドは会社側に何か提案をするだろう、と)、という内容のことが書かれています。
市場の投資家は、大量保有者の動向も注視していますので、大株主には保有目的を始めとする一定度の情報開示を課する、
という証券制度が実務上は求められる(法と法との整合性のある規定を定めなければならない)、と思いました。
In theory, exercising "shareholders' right to popose" requires
mention
"the purpose of holding shares is exercising the right" in a report of
possession of large volume.
理論的には、「株主提案権」を行使するためには、
「株式を保有する目的は株主提案権を行使することである」旨、大量保有報告書に記載をしておかなければならないのです。