2017年10月29日(日)



2017年10月27日(金)日本経済新聞 社説
登記の義務化含む土地対策を
(記事)



2017年10月27日(金)日本経済新聞
所有不明土地 損失6兆円 地方創生の足かせに 再開発・農地集約妨げる
(記事)


2017年10月28日(土)日本経済新聞
春秋
(記事)


不動産登記申請手続:法務局 - 法務省
ttp://houmukyoku.moj.go.jp/homu/touki1.html

所有権保存登記申請書
記載例
ttp://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001208451.pdf

(サイト上と同じPDFファイル)

 



○「登記は法律上の義務である」ことを説明した記事↓
 所有権が移転した等の場合は、”登記を申請しなければならない。”という文言が「不動産登記法」の条文にある。

登記は、自分でできるの? 司法書士や土地家屋調査士に依頼しなくても良いの?
(自分で登記.com)
ttp://www.jibundetouki.com/shitumon/jibunde019.html

>建物の所有者は、自分で登記をしなければならないと明記されています。

 


「所有者不明の土地」に関する最近のコメント

2017年10月3日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201710/20171003.html

2017年10月4日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201710/20171004.html

 



【コメント】
「所有者不明の土地」に関する記事を最近よく目にするように思います。
「土地の所有者が不明である。」とは言っても、登記簿の所有者の欄は、
「空欄」か「誰かの氏名が記載されている」かのどちらかしかないわけです。
「空欄」であれば、その土地は自動的に国の所有ということになります(「誰の所有でもない」という意味では決してない)し、
「誰かの氏名が記載されている」場合は、文字通り記載されている氏名の人物が所有者ということになります。
法務局に赴き、登記簿を閲覧し、たとえ所有者の欄が「空欄」の土地があったとしても、
「誰の所有でもないようだから、この土地は私がもらうことにしよう。」などと考え、
受付まで行き自分の氏名と住所を登記しようと思っても、当然登記は登記官に受け付けてはもらえないわけです。
登記簿の所有者の欄が「空欄」の土地は、所定の手続きを経た上で、国から有償もしくは無償で譲り受ける、ということになります。
もちろん、国が売りに出していない場合は、登記簿の所有者の欄が「空欄」の土地を買おうと思っても絶対に買えません。
最初に書きましたが、「所有者が不明である土地」というのは、厳密に言えば登記簿上は一筆(一区画)もないわけです。
ただ、今日紹介している3つの記事の文脈でもそうなのですが、
最近話題になっている種々の記事で言っている「所有者不明の土地」というのは、
登記簿の所有者の欄に記載(登記)されている所有者と連絡を取ろうと思っても連絡が取れない土地、という意味であるわけです。
登記簿上の所有者と連絡が取れない一番の理由は、一連の記事では、相続登記を相続人が行っていないこと、と書かれています。
相続登記がなされないということは、登記簿上の所有者は死亡者(被相続人)であるということであるわけですから、
連絡を取ろうと思っても、当然所有者と連絡が取れるはずがないわけです。
また、2017年10月28日(土)付けの日本経済新聞の「春秋」によりますと、
少子高齢化で土地を相続する人がいない、という事態も現実に生じているとのことです。
確かに、相続人がいないのであれば、被相続人が死亡しても、相続登記の行われようがない、ということになります。
この場合も、登記簿上の所有者は死亡者のまま、ということになるわけです。

 



では、上記の相続登記の不備や相続関連以外に、
登記簿上の所有者と連絡が取れない原因というのは何かあるだろうか、とふと思いました。
それで、不動産登記について改めて調べてみますと、灯台下暗しではありませんが、極めて簡単な原因が見つかりました。
それは、「引越し」です。
紹介している法務省の不動産登記申請手続のページを見てみますと、登記申請書の添付書類として、
「住所証明情報」を登記申請の際に法務局に提出しなければなりません。
この「住所証明情報」というのは、より具体的に言えば、「住民票」です。
住民票が人の住所(所在地)の証明書になるわけですから、登記の際に住民票を法務局に提出するのは当たり前であるわけです。
ところが、落ち着いて考えてみますと、人生の中で人は引越しをすることがあるわけです。
引越しをしますと、これも当たり前のことですが、人は住民票を転居先(の自治体)に移さなければならないわけです。
住民票を転居先(の自治体)に移すことで、住民票に記載される現住所が転居先の住所に正式に変わるわけです。
引越しの際は、引越業者などに依頼し、家具・家電や身の回りの物等全てを転居先に運んでもらうことになるわけですが、
転居後、住民票だけは転居先(の自治体)に自分で移さなければならないわけです。
ところがここで、映画「ホームアローン」ではありませんが、1つだけ"move"(移動させること)し忘れていることがあります。
それが、まさに今問題になっている「登記簿の所有者の欄の住所」です。
一言で言えば、「登記簿の所有者の欄の住所」も引越しに伴い移動させなければならないわけです。
引越しを行った際に、「登記簿の所有者の欄の住所」を移動させ忘れた場合は、所有者以外の人々や社会から見ると、
まさに、登記簿上の所有者と連絡が取れない、という事態が生じてしまうわけです。
調べてみますと、「所有者の住所移転」を原因とする「所有権登記名義人住所氏名変更」に関する登記が現にあるようです。
これは俗に住所変更登記と呼ばれているようですが、所有者が引越しを行う場合は、必ず住所変更登記を行う必要があります。
引越しを行ったのに住所変更登記をしない場合は、虚偽の登記を行っていることになります(登記住所に住んでいないから)ので、
法理的には所有権が失われる(登記事項が不十分、まさに不実記載)と考えなければなりません。
住所変更登記をしない場合は、実務上は直ちに所有権が失われる・所有権が否定されるわけではないにしても、
法律上完全な所有権があるとは見なせない(「所有権を発生させるための要件」に明らかに不備があることになる)と思います。
登記事項が全て真正である場合に、所有権が正当に発生する、と考えなければなりません。
インターネットで検索するだけで、住所変更登記の手続きについては解説ページがたくさんヒットしますので参考にして下さい。
住所変更登記を行うためには、転居先(の自治体)へ移動した後の住民票(引越し先の住所が記載された新しい住民票)が
登記申請の際に必要になりますので、転居先への移動が完了した後、遠方へ引っ越した場合は往復が大変かもしれませんが、
引っ越す前の法務局(正確に言えば、所有土地の登記簿を管理している法務局)へ一度だけ登記のため赴く必要があると思います。
相続関連以外に登記簿上の所有者と連絡が取れない原因としては、「引越し」があると気付きましたのでその点について書きました。

 

Lands can't be moved because they are "immovables," whereas a registration of lands can be moved.
Lands are "immovables," therefore it is a registration of lands that is moved.
So, when you move somewhere, you must go to a registry office too, not to mention a city hall.

土地というのは、「不動産」なので移動されられませんが、土地の登記事項は移動できます。
土地というのは「不動産」である、だから、移動させるのは土地の登記情報であるわけです。
したがって、どこかに引越しをする際には、市役所は言うまでもありませんが、法務局にも行かなければならないのです。