2017年10月15日(日)



衆院選 入場券なし 投票OK 県選管「足運んで」
本人証明できれば 期日前は宣誓書でも

投票は手ぶらでできます-。22日投開票の衆院選で期日前投票が始まり、各投票所で投票に臨む有権者の姿が見られる。
投票するには各家庭に届く「投票所入場整理券」が必要だと思われがちだが、実は入場券がなくても投票できる。
一般にはあまり知られていないが、免許証などにより本人確認ができれば、誰でも手軽に投票できる。
県選管などは「入場整理券がなくても投票はできるので、ぜひ多くの人に投票所に足を運んでほしい」と呼び掛けている。
入場整理券は、投票日前に選挙人に対して交付される。選挙の名称や投票日時、投票所、選挙人の住所、氏名などを記載している。
投票日に投票所に持参し、投票用紙と引き換えるために必要とされる。
入場整理券がなければ投票できないと思っている有権者は多いかもしれないが、実は、入場券がなくても投票は可能だ。
県選管によれば、自宅に忘れたり紛失したりするなどの理由で持参できなくても、投票日当日に選挙権があれば投票はできる。
実際、8月に行われた知事選でも、期日前投票に訪れた有権者の多くは、茨城新聞の取材に対し、
手ぶらで投票できることを知らなかった。
期日前投票も仕組みは同じだ。各市町村選管で用意した宣誓書に、住所や氏名、生年月日、当日投票できない理由などを記載し、
提出すれば、入場券がなくても投票できる。
その際、県選管は「運転免許証や健康保険証など本人確認のための身分証明書を持参してほしい」とする。
しかし身分証明書がなくても聞き取りなどで本人確認が取れれば、投票は可能という。
期間中、県内には各市町村の庁舎など計129カ所に期日前投票所が設けられている。
県選管などは「別な用件で訪れたその足で投票所に立ち寄ってもらえれば」と呼び掛ける一方、
「万が一の間違いがないよう、できる限り手元に届いた入場券を持参してほしい」としている。
(茨城新聞 2017年10月15日(日))
ttp://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=15079973650910

 


「本人確認の手段」についての一昨日と昨日のコメント

2017年10月13日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201710/20171013.html

2017年10月14日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201710/20171014.html

 



【コメント】
一昨日と昨日のコメントで、「本人確認の手段」について書いたわけですが、
今日は、選挙の投票の際の「本人確認の手段」についての記事を紹介します。
現在、衆議院議員総選挙が行われている最中であるわけですが、非常にタイムリーな話題であろうかと思います。
投票を行う際には、投票所へ「投票所入場券」を当然持参しなければならないと私は思っていたのですが、
記事によりますと、免許証などにより本人確認ができれば「投票所入場券」がなくても投票できる、とのことです。
私はこのことは知らなかったのですが、このことは一般にはあまり知られていないと記事には書かれています。
ただ、記事を読みながら思い出したのですが、小学生の頃、父から、
「投票所入場券を持っていかなくても免許証があれば投票はできる。」と聞いたことを思い出しました。
そう言えば昔そう言われたな、と思い出しました。
それで、記事によりますと、選挙管理委員会からの伝達として、「本人確認のための身分証明書」として、
運転免許証や健康保険証などが挙げられています。
運転免許証は写真付きですので必要十分な身分証明書になると思うのですが、
一昨日と昨日のコメントを踏まえますと、健康保険証は本人確認の手段としては現実には不十分な部分もあると思いました。
選挙管理委員会は、性善説に立って物事を考えているのではないかと思いました。
また、健康保険証でも本人確認の手段として十分であるということであるならば、
印鑑と印鑑証明書を投票所に持参しても、投票所では投票人(選挙人)本人であると認められる、ということになります。
赤の他人であればそこまでして身分(名前)を偽って投票しようとはさすがに思わない(犯罪になるから)かもしれませんが、
家族であれば、健康保険証や印鑑と印鑑証明書を利用して家族の名を名乗ることは簡単にできると思います。
20歳のころ、私は父の扶養となっている健康保険証を持っていましたし、父の実印も家の引き出しに入っていたのを覚えています。
父自身の健康保険証も、家の引き出しに入っていたように思います。
ですので、例えば、父は共産党の支持者であるが自分(子)は自民党の支持者であるという場合、
自分はまず「投票所入場券」を持って投票所に行き自民党の候補者に投票し、
その後、家から父の健康保険証や印鑑と印鑑証明書を持ち出して投票所に行き、父の名を名乗って再び自民党の候補者に投票する、
ということが現実に簡単にできるわけです。
もちろん、後になって、「今日『投票所入場券』を持って投票所に行ったら、『既に投票なさっています。』と言われたぞ。」、
と父から言われ、家では大変なことになるとは思いますが、誰が誰に投票したかは誰にも分かりません(証明もできない)ので、
身分を偽ってなされた投票を取り消す、ということは現実にはできないわけです。
これは、ある意味秘密選挙の弊害でしょう。
昔父から、「選挙では誰に投票したかを人に聞いてはいけない。」、と言われたことも思い出しました。
また、子は父に対し、「大丈夫だよお父さん、ちゃんと共産党の候補者に入れといたから。」、と嘘を言うかもしれません。
他には、色々と考え出しますと、もっと単純に、父の「投票所入場券」自体を子が盗み出して父を名乗って投票をする、
ということも考えられます。
例えば、父が選挙管理委員会に電話をして、「うちのバカ息子が勝手に私を名乗って自民党に入れたので何とかなりませんか?」、
と言ったところで、「息子さんが誰に投票したのかは私達には分かりませんし、それに、あなたの電話も嘘かもしれませんし。」、
と選挙管理委員会の人から言われるだけでしょう。
選挙というのは「投票所での『本人確認』が全て」だ、と思いました。
性悪説に立つとキリがない話になりますが、法理と現実との整合を図るのは難しいなと思いました。

 



改めて考えてみますと、現在の本人確認方法は、「『投票所入場券』を持っている人が本人」という考え方になっているわけです。
「投票所入場券」は、健康保険証や印鑑と印鑑証明書と同じ法理に立った本人確認方法である、と言えるわけです。
戦前であればともかく(家族は戸主の意向に沿うべき、と)、現在は個の自体ですから、
父と子で(さらには夫と妻で、そして兄弟間で)支持する政党が異なる、ということは当たり前のことであるわけです。
そこには、家族間と言えども、明らかな利益の相反があるわけです。
非常に多くの事柄に関しては、家は生活共同体ですので、家族間の利益が相反するということは起こらないわけです。
家族は皆、同じ方向を見て同じ利益・便益を追求するものだ、と言っていいわけです。
その意味において、家庭内では性善説で物事を考えるということにも合理性はあるわけです。
ところが、特に現代では、思想や信条となりますと、それは個々人の話になってくる部分があるわけです。
父の思想・信条と子の思想・信条が異なる(結果、支持政党が父と子で異なる)、というのは全くおかしな話ではないわけです。
思想・信条を巡り、家族間で利益の相反があるにも関わらず、
投票所では「『投票所入場券』を持っている人が本人」という確認方法を行うというのは、
性善説や性悪説というよりも、家族間の利益の相反そのものを無視している、と言わねばならないと思います。
例えば戦前であれば、「戸主のみに投票権(選挙権)がある。」、という整理の方法も考えられると思います。
「他の家族の思想・信条については、戸主の思想・信条に沿うように。それが家族なのだから。」、
という家族の思想・信条の整理が可能だとは思います(他の家族の思想・信条は対外的には度外視することになる)。
戸主以外の家族は、「自分は本当は自民党支持なのだが、戸主が共産党支持なので、
1人の人間としては腹の中に色々と思うところはあるが、家庭の中では共産党を支持する。」、
といった具合に気持ちを整理しなければならないわけです。
「それが家族なんだ。」、ということなのだと思います。
ただ、現代では、憲法などにも「『個人の』思想・信条の自由」が認められ、社会的にも常識的になっていますので、
現代では逆に、家族間で思想・信条が異なることを前提に考えていかねばならないのだと思います。
そうしますと、「『投票所入場券』を持っている人が本人」という確認方法は、現代の「家の制度」にそぐわない、
ということになろうかと思います(「投票所入場券」は、投票場所と投票日時を通知するためだけのものと定義するべきです)。
「本人確認の手段」について、記事には次のように書かれています。

>身分証明書がなくても聞き取りなどで本人確認が取れれば、投票は可能という。

このような確認方法は、もはや法理にも沿っておらず性善説の考え方ですらない、と言わねばならないでしょう。
これでは、客観的な判断基準がないため、聞き取りを行った人次第で、本人の確認が取れるかどうかが分かれてしまうでしょう。
「本人のみが持っているものを持っている」ということが、本人確認の客観的な判断基準なのです(まさに法理上の確認方法)。
参考までに、先日届きました私個人の「投票所入場券」の裏面(注意書)をスキャンし紹介して今日は終わりたいと思います。

「投票所入場券」



Notes stated on an admission ticket of a polling place.

投票所入場券に記載されている注意書き