2017年9月25日(月)
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2017年9月10日(日)
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2017年9月24日(日)
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までの一連のコメント
「監査論の基礎知識 五訂版」 石田 三郎 編著 (東京経済情報出版)
第10章 監査計画
第4節 監査計画と組織的監査
1 監査チームの整備
2 監査チームの構成
3 他の監査人及び専門家の業務の利用
「123ページ」
「124〜125ページ」
まず最初に、一昨日と昨日に書いた論点になるのですが、そもそも「監査証拠」とは何かという点について書きたいのですが、
監査における「監査証拠」というのは、そもそも「外部証拠」(確証的証拠)のことである、と理解しなければならないわけです。
一昨日に書き昨日引用した結論になるのですが、重要な結論ですので再度引用したいと思います。
>監査とは、会計処理の妥当性を検証するものではなく、基礎的会計資料の妥当性を検証するものである、
>という結論に行き着きました。
しかし、基礎的会計資料の妥当性を検証するためには、監査先の社内だけの監査では完結せず(改竄・歪曲があり得るから)、
必然的に監査先の相手方に対し確認を取る必要が出てくるわけです。
そこで、昨日は、「どうやって取引の相手方に確認を取るのか。」、という手段・技術・方法について考えたわけなのですが、
少なくとも監査制度・法制度としてはそのような手段・技術・方法は用意されていない、と書きました。
私はこのことを、監査の「致命的欠陥」と表現しました。
とは言え、監査制度・法制度としてはそのような手段・技術・方法は用意されていないものの、ないからしないと考えるのではなく、
できる限り人の力で(制度ではなく私的な関係で)原始証憑の正確性の確認を進めていかなければならないわけです。
その際にはどのような方法があるだろうか、と考え教科書を読みましたところ、紹介している部分が関係ありそうだと思いました。
その答えは、一言で言えば、見出しの通り、「他の監査人及び専門家の業務の利用」ということになるのだと思います。
主たる監査人の監査だけでは十分ではない場合、他の監査人や他の何らかの専門家の力を借りることが必要になるわけです。
一昨日と昨日の文脈で言えば、監査人は「監査先の相手方」に対しても一定の監査を行う必要があるわけなのですが、
それが現実には難しいため、「監査先の相手方」の監査人の協力を得られないだろうか、ということを考えなければならないです。
特に「監査先の相手方」が上場企業である場合は、「監査先の相手方」の監査人(公認会計士)に検査(examination)を委託する、
という手段が取れるのかもしれないなと思いました。
ただ、監査人にも守秘義務がありますので、どの程度監査人が情報を伝達してくれるのかは分かりませんが。
非常に難しい実務上の問題になるのですが、「監査先の相手方」に対しても監査先と同深度・同精度の監査を行えないのであれば、
十分かつ有効な監査証拠(外部証拠、確証的証拠)を収集することが監査人にはできない、と言えるのではないかと思いました。
To examine accounting treatments themselves is extremely easy,
whereas to
examine whether original vouchers are true or not is extremely difficult.
会計処理そのものについて検査をすることは極めて簡単なのですが、
原始証憑が正しいのかどうかについて検査をすることは極めて難しいのです。
When an auditor wants to certify an original voucher of a subject person as
true,
he cannot but "chase" the other party of the subject person.
監査人が監査先の原始証憑を正しいと証明したい場合は、
監査人は監査先の相手方に対し情報を得ようと尋ねなければならないのです。