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2017年3月9日(木)
2017年3月7日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201703/20170307.html
2017年3月8日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201703/20170308.html
一昨日2017年3月7日(火)と昨日2017年3月8日(水)には、
日立建機株式会社による豪州企業Bradken
Limitedに対する株式公開買付を題材にコメントを書きました。
一昨日2017年3月7日(火)には、
>オーストラリア法に基づく公開買付は、
>日本法に基づく公開買付とは全くと言っていいくらい異なっている(同種の株式取得手続きではない)、と言っていいと思います。
と書きました。
そして、昨日2017年3月8日(水)には、日本法に基づく公開買付についてコメントを書き、金融商品取引法の規定に関して、
>「公開買付者は、買付予定の株券等の数の増加を行うことができる。」との金融商品取引法上の現行の規定は、
>実は間違っている、と言わねばならないのです。
と書きました。
この点について一言追記をしたいのですが、現行の金融商品取引法と旧証券取引法とを比較して、昨日は次のように書きました。
>旧証券取引法では「買付予定数」は変更できなかった、のではないかと思います(定め方がおかしいのでそう思いました)。
>旧証券取引法ではどの程度買付条件を変更できたのかは分かりません(買付価格や買付期間も変更できなかった?)が、
>現行の金融商品取引法はもう少し厳密に条文を定めるべきだと思いました
昨日このコメントを書いた時は私も思い出せなかったのですが、公開買付制度が導入された最初期の旧証券取引法では、
買付条件は一切変更できなかったであろうと思うのですが、旧証券取引法の最後期では買付条件は一定度変更できたと思います。
例えば、2005年の概ね1~3月に行われたフジテレビによるニッポン放送株式に対する公開買付では、
ライブドアの買い増しに対抗するため、公開買付者であるフジテレビは買付期間を延長していたと思います。
さらに、当初の「買付予定数」(現行法でいう「買付予定数の下限」)は過半数だったのですが、
ライブドアが既に過半数を市場内外で買い集めていたため、フジテレビは「買付予定数」を確か3分の1に引き下げたと思います。
フジテレビは、「買付予定数」を3分の1に引き下げれば、公開買付が成立すると判断したのでしょう。
その時設定されていた「超過予定数」が何%だったのかは分かりませんが、
フジテレビは「買付予定数」を3分の1に引き下げることで、言わば意図的に公開買付を成立させた、と言っていいでしょう。
いずれにせよ、フジテレビは、公開買付の成立を受け、応募があった全ての株式を買い付けた(結果3分の1強を取得した)わけです。
私の記憶が正しいなら、旧証券取引法(2005年当時)では、買付期間を延長することはできましたし、また、
「買付予定数」(現行法でいう「買付予定数の下限」)を引き下げることもできた、ということになります。
それで、旧証券取引法と現行の金融商品取引法とでは、「公開買付者が公開買付において買い付ける予定の株式の数」の設定方法が、
結構異なるように思います。
先ほど、その時の公開買付でフジテレビが設定していた「超過予定数」が何%だったのかは分かりませんが、と書きました。
現行の金融商品取引法では、「買付予定数の上限」や「買付予定数の下限」を設定しないことも可能であるわけなのですが、
旧証券取引法では、「買付予定数」と「超過予定数」を設定しないと、
本来想定している買い付けとは異なる買い付け(設定方法)になってしまうと思います。
そもそも、旧証券取引法では、「買付予定数」の設定は必須です。
そして、新旧を比較すると、基本的には、「買付予定数」+「超過予定数」が「買付予定数の上限」という数値関係にあるわけですが、
仮に旧証券取引法で「超過予定数」を設定しないと、「買付予定数」のみを買い付ける、という買い付けになります。
旧証券取引法で「超過予定数」を設定しない場合は、応募があった株式の全部(つまり上限なし)を買い付ける
という意味ではないのかと思われるかもしれませんが、それは間違いだと思います。
現行の金融商品取引法では、「買付予定数の上限」を設定しない場合は、応募があった株式の全部(つまり上限なし)を買い付ける、
という意味になるのですが、
旧証券取引法で「超過予定数」を設定しない場合は、買い付ける株式数は「買付予定数」を超過しない、という意味です。
旧証券取引法で「超過予定数」を設定しない場合は、現行の金融商品取引法で言えば、
「買付予定数の上限」=「買付予定数の下限」と設定したことと同じなのです。
ですので、完全子会社化を目的としている場合など、応募があった株式の全部を買い付けたい場合は、
大まかに言えば、「『発行済株式総数』-『買付予定数』」を「超過予定数」として設定しなければならないわけです。
「超過予定数」を設定しないとは、「超過予定数」に特段の際限はない(買い付ける株式数に上限はない)という意味ではなく、
買い付ける株式数は「買付予定数」を超過しない、という意味です。
ですので、フジテレビのように、旧証券取引法下において「買付予定数」を引き下げる場合は、
「超過予定数」が必然的に引き下げた株式数分増加する(公開買付者は「超過予定数」を増加させねばならない)、
ということになります。
最初から「超過予定数」を(間違えて)設定していなかった場合は、
買い付けることができる株式数は「引き下げた後の買付予定数」(のみ)となってしまいますし、
また、当初「超過予定数」を正しく「『発行済株式総数』-『買付予定数』」と設定していた場合は、
引き下げた後の買付予定数を加味した上で、
新たな「『発行済株式総数』-『買付予定数』」を「超過予定数」として設定しなくてはなりません。
買付予定数の引き下げに伴い、「超過予定数」も新たな株式数に訂正しないと、中途半端な買い付けで終わってしまいます。
例えば、当初の買付予定数は51%、超過予定数は49%、と設定していた場合に、買付予定数を33%に引き下げた場合は、
超過予定数を67%に設定し直さないといけません。
超過予定数が49%のままですと、たとえ全株式の応募があったとしても、82%の株式しか買い付けることができない、
ということになってしまいます(たとえ100%の応募があっても按分比例により82%しか買い付けることができません)。
ですので、旧証券取引法における「買付予定数」と「超過予定数」と、
現行の金融商品取引法における「買付予定数の下限」と「買付予定数の上限」は、意味合い・位置付けが相当程度異なるわけです。
旧証券取引法における公開買付は、そもそも「買付予定数」のみ買い付ける、という考え方です。
一方、現行の金融商品取引法における公開買付は、「買付予定数の下限」から「買付予定数の上限」までの株式数のみ買い付ける、
という考え方です(下限や上限を設定しない場合は、そちら方向への閾値・際限は設けない、という意味です)。
旧証券取引法と現行の金融商品取引法とでは、そもそも公開買付の基礎概念が異なる、とすら言っていいと思います。
公開買付の基礎概念が異なるからこそ、買い付ける予定の株式の数の設定方法も大きく異なっている、ということなのだと思います。
それから、本日2017年3月9日(木)付けで、日立建機株式会社から新たにプレスリリースが発表されています。
2017年3月9日
日立建機株式会社
豪州企業Bradken
Limitedの株式公開買付けにかかる買付条件成就のお知らせ
ttps://www.hitachicm.com/global/wp-content/uploads/2017/03/20170309_Bradkenj1.pdf
(ウェブサイト上と同じPDFファイル)
昨日2017年3月8日(水)時点で、日立建機株式会社が実施している公開買付にかかる買付条件が全て成就された、とのことですが、
買付条件が成就されたと判断した理由は、公開買付への応募株式数が「下限応募株式数」である35%以上となったことを、
公開買付者である日立建機株式会社が確認できたからである、と書かれています。
ただ、プレスリリースによると、現在でも公開買付にかかる買付期間は2017年3月24日までと設定されており、
日立建機株式会社は2017年3月24日まで公開買付を継続する予定(公開買付自体は2017年3月24日に終了する予定)とのことです。
プレスリリースのこれらの記述を読みますと、オーストラリア法では、
一旦株主が公開買付に応募したならば、その後は応募を一切解除できない、という定めになっていることがうかがえます。
もしそうだとすると、「公開買付への応募」=「株主総会での賛成票」、ということと関係が深いように思います。
株主総会での議決権行使も、一旦行使した後はその行使を取り消す、という考え方はないかと思います。
また、公開買付者は買付期間中に買付条件を変更してよいか否かの議論では、
応募株主は買付期間中は応募を解除できるか否かが重要なポイントになると思います。
すなわち、
応募株主は買付期間中は応募を解除できない → 公開買付者は買付期間中に買付条件を変更できない
応募株主は買付期間中は応募を解除できる → 公開買付者は買付期間中に買付条件を変更できる
という関係になければならないと思います。
応募株主ができることと公開買付者ができることとが相互に整合性が取れていなければならないわけです。
公開買付者は買付期間中に買付条件を変更できるのに応募株主は買付期間中は応募を解除できない、
ということであっては、完全に投資家保護の観点に反するわけです。
この辺りは、日本の旧証券取引法でも整合性は図られていたであろうと思います。
>当社は、本公開買付けにかかる買付期間終了時点までに応募のあった Bradken 社の株式全てについて買付けを実行する予定です。
文字通り解釈するならば、「日立建機株式会社は公開買付に応募のあった株式の全てを買い付ける」となろうかと思います。
日立建機株式会社は Bradken
社の株式の100%を取得する計画であったのだと思いますが、
この記述内容ですと、日立建機株式会社は公開買付に応募のあった株式しか取得しない(例えば約40%だけ等)、
ということになってしまいます。
私が推測するに、当初の買付条件である「下限応募株式数」が「50%超」である場合は、
公開買付の成立と同時に日立建機株式会社は
Bradken
社の株式の100%を取得する手続きとなっていたのだと思いますが、
「下限応募株式数」を「35%以上」へと引き下げた結果、
公開買付が成立しても日立建機株式会社は
Bradken
社の株式の100%を取得する手続きとはならないのだと思います。
一昨日2017年3月7日(火)に指摘したことですが、公開買付者が対象会社の株式の全てを取得するためには、
公開買付の「下限応募株式数」は最低でも「50%超」でなければならない、ということなのだと思います。
オーストラリア法に基づく公開買付(特に「Bid
Implementation
Agreement」という手続き)では、
「下限応募株式数」・「最低応募条件」を、「50%超」まで低く設定できる、ということではないだろうかと思います。
Under the system that investors can't cancel their acceptances once they
accept a tender offer,
a tender offer can also not change terms of the tender
offer.
一旦公開買付に応募したならば投資家は応募を解除できないという制度の下では、
公開買付者もまた公開買付の条件を変更することはできません。