2017年2月20日(月)



2017年2月11日(土)日本経済新聞
西松建決算 朝9時発表 今期、2期連続最高益 株価一時4%上昇
PCデポ株、一時14%安 決算発表遅れを嫌気
(記事)




2017年2月17日(金)日本経済新聞
朝方決算開示 じわり広がる 投資家の利便性重視 太陽HDや西松建
(記事)



過去の関連コメント

2016年11月28日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201611/20161128.html

2017年1月28日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201701/20170128.html

 


【コメント】
平日の朝9時前に決算短信を発表する上場企業が増えている、という記事になります。
上場企業は業績(主には「決算短信」)をいつ開示するべきか、という議論になろうかと思います。
この問いに関する結論は、2017年1月28日(土) のコメントで以下のように書きました。

>現実的・実務上の結論として、「適時情報開示は取引時間中のみに行わなければならない。」という結論が導けるのではないか

現実的・実務上の結論は、やはり上記の結論になると思います。
ただ、理論ではなく現実的なことを踏まえた上で、より投資家の側に立った情報開示のあり方はないだろうかと考えてみました。
すると、1つの考え方としてですが、「全上場企業で決算短信の発表日時を合わせる。」という考え方はどうであろうかと思いました。
例えば、3月期決算の上場企業であれば、第3四半期(12月末日)の決算短信は「2月の第2土曜日の朝9時」に一斉開示する、
という開示方法はどうであろうかと思いました。
つまり、個々の企業がばらばらの日時に決算短信を開示するのではなく、
ある統一した日時に全上場企業が同時に開示をする、という方法を行うわけです。
そして、投資家が決算短信を十分に吟味する時間を確保するために、先ほど引用した結論とはある意味正反対になりますが、
「市場が閉まっている時間帯」に決算短信を開示する、ということが必要ではないかと思います。
理論上は、開示が行われるとその情報はすぐに株価に反映されるべきだ、と考えるわけですが、
これも現実的なことを踏まえてのことになりますが、「現実に投資家が開示された情報を受領する時」というのは、
必ずしも開示の瞬間とは言えないわけです。
記事の内容に即して言いますと、例えば太陽ホールディングスは、2017年3月期第3四半期決算短信を、2017年1月24日に開示したわけですが、
では太陽ホールディングスが朝8時20分に決算短信を開示することを知っていた投資家は市場に果たしていたでしょうか。
おそらくいなかったでしょう。
なぜなら、太陽ホールディングス株式会社は、これまでは株式市場で取引が終わった午後3時30分に開示をしていたからです。
市場の投資家は、そしておそらく市場を管理する立場にある東京証券取引所も、
太陽ホールディングス株式会社が2017年1月24日(火)に2017年3月期第3四半期決算短信を開示することは事前に知っていたわけですが、
朝8時20分に開示をするとは予想していなかったわけです。
もちろん、上場規則上そして市場の常識上、朝8時20分に決算短信を開示してはならない、などということはありません。
しかし、いつ開示をしてもよい、というのもまたおかしな話ではないでしょうか。
予想外に朝8時20分に決算短信が開示された結果、
朝9時前から市場でスタンバイをしていた投資家は太陽ホールディングス株式会社の決算短信をいち早く入手できた一方、
朝9時から市場で取引を開始しようと思っていた投資家は太陽ホールディングス株式会社の決算短信を少なくともより遅く入手した、
という状態が生じてしまっているわけです。
太陽ホールディングス株式会社の決算短信をより遅く入手することになってしまった投資家に、この場合非はないわけです。
朝8時20分の開示にも対応しなければならないとなりますと、
では朝7時20分の開示に台頭するためには常日頃から何時からスタンバイしておかなければならないのか、
という話になってしまうわけです。
つまり、上場企業は何時に情報を開示するか分からないでは、
投資家は文字通り24時間体制で情報の入手を行う体制を取り続けなければならない、ということになるわけです。

 


その問題の解決策の1つが最初に書きました「適時情報開示は取引時間中のみに行わなければならない。」であるわけですが、
これも、現実には取引時間中は1分1秒気を抜くことなく情報開示に目を光らせなければならないのか、という話になるわけです。
そこで、より現実的には、「決算短信の開示時間を統一する。」という開示方法があると思ったのです。
それも、決算短信を吟味する時間を確保するために、休日の朝がよいと思ったのです。
そうすれば、次の取引開始時間までは投資家には十分に時間がある、ということになるでしょう。
さらに言えば、休日(特に土曜日と日曜日の2日間)だけでは時間が十分ではないと考えるならば、
例えば、次の月曜日も市場を閉める(平日も含めた計3日間の吟味時間を確保する)、
という市場への情報浸透方法もあると思います。
その月曜日のことも、市場への情報浸透のための一種の「サーキット・ブレーカー」だと考えればよいと思います。
要するに、「あの情報の入手・受領が現実的理由により他の投資家よりも遅れてしまった。」
という事態が起こらないようにしたいわけです。
そして、「あの情報の入手・受領が現実的理由により他の投資家よりも遅れてしまったのだが、
市場への情報浸透時間が十分に確保されていたので、決算短信の吟味時間は早期入手の投資家に比べても十分確保できた。」
という状態を担保したいわけです。
株式投資の際は、ある1社だけの決算短信を読めばよいわけではありません。
比較・検討のため、同業他社の決算短信も同時に読まなければなりません。
また、他の有望産業への投資ポートフォリオの入れ替えのため、他の業界の決算短信を読むことも必要でしょう。
そういったことを考えますと、株式投資の上では、一度により多くの決算短信を読む必要があることから、
全上場企業の決算短信の開示日時を統一する必要があるのです。
そして、それら多くの決算短信を投資家が読む時間を確保するために、
取引を一定期間、全銘柄を一斉に停止する「市場全体に対する『サーキット・ブレーカー』」が必要なのです。
投資家による情報の現実的入手性、そして、市場への情報浸透時間確保、という観点から、
現実的な解決策を考えてみました。

 


The timing when a company discloses its financial results is independent of the fundamentals of the company.

会社が業績を開示するタイミングは、会社のファンダメンタルズとは関係がありません。

 

When should be information disclosed to the market?

情報はいつ市場に開示されるべきなのですか?