2017年1月28日(土)



2017年1月25日(水)日本経済新聞
太陽HD 決算発表を朝方に前倒し 投資家の利便性に配慮
(記事)




東京証券取引所 適時開示情報閲覧サービス(TDnet)
「2017年1月24日に開示された情報」



過去の関連コメント

2016年11月28日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201611/20161128.html

 



【コメント】
東京証券取引所上場の太陽ホールディングス株式会社が、
2017年1月24日(火)の午前8時20分に2017年3月期第3四半期決算短信を開示した、という内容の記事になります。
太陽ホールディングス株式会社は、これまでは株式市場で取引が終わった午後3時30分に開示をしていたのですが、
「投資家の利便性に配慮する」ために、取引開示前に開示をすることにした、とのことです。
2017年1月24日(火)の株式市場では、太陽ホールディングス株式会社の開示内容を織り込んで取引が行われたわけです。
記事の最後には、日本企業は適時開示が午後3時以降に集中しているという現状を挙げ、

>夕方の開示は翌日まで株価に影響されず、海外投資家などから開示時間の前倒しを求める声がある。
>欧米では朝方や取引時間中の開示が多く公表内容がすぐ株価に反映されやすい。

と書かれています。
私がこの記事を読んで思ったのは、「株式市場は24時間開いているべきなのか否か?」という点です。
この疑問については、2016年11月28日(月) にコメントを書きました。
この疑問に対する結論としては、2016年11月28日(月) のコメントを引用しますと、

>理論的な観点から考えてみますと、やはり概念的には、
>株式市場は24時間365日開いていなければならない、という考え方が正しいように思います。

となる一方、現実的なこと(人間の活動時間・投資家の労働時間等)を鑑みますと、

>売り手と買い手とが市場で出会える可能性・売り注文を買い注文が出される密度を高めるために、
>市場に対し投資家が「注文を出せる時間」を一定時間に絞り込んだ方が可能性と密度は高まるわけです。
>市場は24時間開けておくよりも、むしろ開けておく時間を絞り込むべきなのです。

というのが、現実的・実務上の結論になろうかと思います。
それで、今日紹介している太陽ホールディングス株式会社の記事と2016年11月28日(月) のコメントの両方を踏まえて考えますと、
現実的・実務上の結論として、「適時情報開示は取引時間中のみに行わなければならない。」という結論が導けるのではないか、
と思いました。
その理由は、まさに先ほど書きました「現実的なこと(人間の活動時間・投資家の労働時間等)」が理由です。
つまり、人間・投資家が、発信された情報を即座にキャッチし迅速に対応を取る(買い注文や売り注文をを出す・引っ込める等)
ことができるのは、現実には一日の内、一定時間の間だけであるわけです。
その一定時間の間というのが、実務上は「朝9時から午後3時」までであるわけです。
より正確に言えば、その一定時間の間というのは、
「朝9時から11時30分まで(前場)と12時30分から15時まで(後場)」であるわけです。
「朝9時から11時30分まで(前場)と12時30分から15時まで(後場)」の間のみ、企業は適時情報開示を行うべき、
という結論になるのではないかと思います。

 



理論的な観点から考えてみますと、やはり概念的には、
株式市場は24時間365日開いていなければならず、適時情報開示も24時間365日行ってよい、という考え方が正しいように思います。
しかし、先ほども書きましたように、現実には、生身の人間は24時間365日株式の取引を行うことはできませんし、
24時間365日開示される情報を入手できる状態にあるわけではありません。
生身の人間は、食事も取りますし睡眠も取ります。
プレミアム・フライデーなどと言っている昨今です、人には家族との団欒(料理や会話や勉強を見る)の時間も必要でしょう。
情報収集を目的として人と会うための移動時間も必要ですし、開示された資料の分析(財務分析)も行わなければならないでしょう。
インターネットが普及した現在、企業は適時情報開示を行おうと思えば文字通り24時間365日行えます。
しかし、開示された情報を受け取る人間の方は、24時間365日投資活動を行えるわけではありません。
売り手と買い手とが市場で出会える可能性・売り注文を買い注文が出される密度を高めるために、
市場に対し投資家が「注文を出せる時間」を一定時間に絞り込むべき、という先ほどと同じ論理展開でもって、
企業と投資家とが市場で出会える可能性・企業による情報開示と投資家による情報受領との密度を高めるために、
市場に対し企業が「情報を開示する時間」を一定時間に絞り込むべき、という結論になるように思うわけです。
投資家の側から言えば、投資家は「朝9時から11時30分まで(前場)と12時30分から15時まで(後場)」の間だけは、
必ず株式市場にいて企業からの開示情報を入手し投資判断をするようにしなければならない、
そうしない場合の投資機会の逸失は自己責任(売り損ねた・買い損ねた等)、という結論になるように思うわけです。
「全投資家で条件を同じ(フェア)にする」とは、
現実的・実務上は、「投資家が株式の取引を行う時間帯と企業が情報を開示する時間帯とを同一にする。」、
ということではないでしょうか。
現実的・実務上の結論として、
「朝9時から11時30分まで(前場)と12時30分から15時まで(後場)」のみが投資家が株式の取引を行う時間帯であるならば、
「朝9時から11時30分まで(前場)と12時30分から15時まで(後場)」のみが企業が情報を開示する時間帯である、
という結論になると思います。
「ファミコンは1日1時間。」と言いますが、「株式の取引と情報開示は太陽が昇ってから。」、
と書いて今日は終わりたいと思います。

 


Whoever is careless with the truth in small matters cannot be trusted with important matters.

Albert Einstein


些細なことに隠れている真理に注意を払わない人間は、他人から重要なことを打ち明けられることは決してない。

アルバート・アインシュタイン