2016年4月28日(木)


ニフティ、富士通がTOBで再び完全子会社化へ 上場廃止 ISP事業は「抜本的施策」検討
富士通がTOBでニフティを完全子会社化へ。ISP事業は「抜本的施策」を検討する。

 富士通とニフティは4月28日、富士通が株式公開買い付け(TOB)でニフティを完全子会社化すると発表した。
TOB成立後、ニフティ(東証2部)は上場廃止になる見込み。
クラウドなどIT事業で連携を強めることで事業拡大を目指す一方、市場が成熟するISP事業などコンシューマー事業については
外部パートナーとの提携などを含めた「抜本的施策」による構造改革を検討する。
 TOBは5月2日から6月15日まで、1株当たり1495円で買い付ける(28日終値は1063円)。
富士通はニフティ株式の66.59%を保有しており、TOBを通じて100%子会社化を目指す。
 ニフティは富士通と日商岩井(現・双日)の合弁によるパソコン通信サービス会社として1986年に設立。
99年に富士通が日商岩井から株式を買い取り完全子会社化し、2006年にニフティの上場に伴い保有比率を減らしていた。
 富士通はクラウドやInternet of Things(IoT:モノのインターネット)などに注力しており、
「ニフティクラウド」などを展開するニフティとの連携を強化することで事業基盤の拡大を図る。
 一方、ニフティはISP事業で会員数が減少し、
ポータルサイトなどWebサービス事業も収益性が低下しているなど、コンシューマー分野は苦戦。
富士通と一体的なサービス運営や他社とのアライアンスなど「抜本的な施策を柔軟に実施する」ことを検討する。
(ITmediaビジネスオンライン 2016年04月28日 15時34分 更新)
ttp://www.itmedia.co.jp/business/articles/1604/28/news125.html

 



富士通、ニフティをTOBで完全子会社化

 富士通は28日、ニフティをTOB(株式公開買い付け)を通じて完全子会社化すると発表した。
5月2日から買い付けを始める。
買い付け価格は1株1495円。富士通は現在、ニフティの筆頭株主で、同社株を66.59%を保有している。
(日本経済新聞 2016/4/28 15:27)
ttp://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ28HHW_Y6A420C1000000/

 

富士通、ニフティへTOB 113億円投じ完全子会社化 

 富士通(6702)は28日、ニフティ(3828)をTOB(株式公開買い付け)で完全子会社にすると発表した。
1株当たり28日終値(1063円)より4割強高い1495円で取得。総額113億円を投じ、5月2日から6月15日まで買い付ける。
 富士通はニフティ株の66.59%を保有する同社の筆頭株主。TOBでは買い付け株数の上限と下限は設けず、
予定通り実施された場合はニフティの上場は廃止となる見込み。
ニフティはTOBに賛同し、株主へ応じるよう求めている。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
(日本経済新聞 2016/4/28 17:02)
ttp://www.nikkei.com/article/DGXLASFL28HPV_Y6A420C1000000/

 


2016年4月28日
富士通株式会社
ニフティ株式会社株式(証券コード3828)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ
ttp://pr.fujitsu.com/jp/news/2016/04/28-1.pdf


2016年4月28日
ニフティ株式会社
支配株主である富士通株式会社による当社株式に対する公開買付けに関する賛同及び応募推奨に関する意見表明のお知らせ
ttp://www.nifty.co.jp/ir/pdf/20160428_04.pdf

 

2016年4月28日
富士通株式会社
平成28年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)
ttp://pr.fujitsu.com/jp/ir/finance/2015/pdf/01.pdf


2016年4月28日
ニフティ株式会社
平成28年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
ttp://www.nifty.co.jp/ir/pdf/20160428_02.pdf

 

過去の関連コメント

2016年4月17日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201604/20160417.html

2016年4月18日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201604/20160418.html

 


【コメント】
富士通株式会社がニフティ株式会社を完全子会社化するようです。
ちょうど2年前には、正反対に、富士通株式会社はニフティ株式会社株式を売却する方針であるという報道が行われたようです↓。


富士通、「ニフティ売却へ」報道にコメント
富士通は、同社が子会社のニフティを売却する手続きに入ったと伝える一部報道にコメントした。

富士通は4月10日、同社が連結子会社のニフティを売却する手続きに入ったと伝える一部報道について、
「当社が発表したものではありません」とコメントを発表した。
 富士通がニフティ売却に向け、国内の投資ファンドなどに打診を始めていると、10日付けの朝日新聞電子版が伝えた。
 富士通は「様々な可能性を検討しておりますが、『売却する手続きに入った』事実はありません」としている。
(ITmediaニュース 2014年04月10日 09時49分 更新)
ttp://www.itmedia.co.jp/news/articles/1404/10/news035.html


2年前の”富士通がニフティ売却に向け、国内の投資ファンドなどに打診を始めている”との報道は、
正確に言えば2014年4月10日付けの朝日新聞電子版が伝えたようなのですが、
ITmediaニュースの更新時間は「2014年04月10日 09時49分」となっているいますので、
富士通株式会社は、2014年4月10日付けの朝日新聞電子版の報道に対し当日の朝即座に(遅くとも午前9時49分以前に)コメントした、
ということになります。
それこそ今はインターネットの時代ですので、報道も会社発表も時間的な遅れはほとんどなく行えます。
早朝の報道(もしくは前日深夜の報道)に会社が朝一番でコメントをウェブサイトで発表することは、今では容易にできるわけです。
このように情報伝達がインターネットを通じて電子的に行われその情報は即座に市場に発信される、ということと、
公開買付を実施することを富士通株式会社はゴールデンウィークが始まるまさに前日に発表した(本日の15時過ぎに発表した)、
という2つのことが頭の中で結び付いてふと思ったのですが、
富士通株式会社は本日2016年4月28日(木)に公開買付を開始することは金融商品取引法上できるのだろうか、と思いました。
つまり、富士通株式会社は本日2016年4月28日(木)を公開買付の「開始日」とすることは金融商品取引法上できるのだろうか、
と思いました。
仮に、金融商品取引法上は、公開買付届出書はEDINETに「開始日」に提出すればよく、
また、公開買付開始公告もEDINETに「開始日」に電子公告の形で公告をすればよいのだとすると、
例えば、富士通株式会社は今日の朝一番に、EDINETに公開買付届出書を提出し公開買付開始公告の電子公告を行えば、
本日2016年4月28日(木)から公開買付を開始できる(今日を「開始日」にできる)、ということになります。
現在では金融商品取引法が改正され買付期間は営業日ベースになっているのですが、
2006年改正前は買付期間は暦日ベースで設定することになっていました。
ゴールデンウィーク中は財務局も証券会社も休業なのだとすると、
2006年改正前であれば、投資家にとって実質的な買付期間は、この場合「7日間」しかない、ということになります。

 



現在では、買付期間も営業日ベースで設定することになっているし、EDINETもあるのだから、
財務局に赴く必要は全くなく必要な書類時は家にいながら休日でも閲覧できる、
応募のために必要な書類は証券会社の窓口で受け取らないといけないが、
証券会社が開いている日が2006年改正後は20日間確保されているのだから現在では何の問題もないのではないか、
と思われるかもしれません。
では、仮定の話として、富士通株式会社は公開買付の事実の隠匿を図り、買付期間の実質的な秘匿・短縮化を狙い、
富士通株式会社は今日の朝一番に、EDINETに公開買付届出書を提出し公開買付開始公告の電子公告を行った、としましょう。
つまり、富士通株式会社は極秘裏に本日2016年4月28日(木)を公開買付の開始日とした、としましょう。
では本日2016年4月28日(木)、EDINETのサイトを訪問し、富士通株式会社が何か書類や電子公告をEDINETに提出しているだろうか、
と書類検索を行った投資家は市場にいるでしょうか。
1人もいないのではないでしょうか。
なぜなら、市場の投資家は、富士通株式会社はEDINETに開示書類や電子公告を提出したことを知らないからです。
正確に言えば、市場の投資家は、富士通株式会社が今日EDINETに開示書類や電子公告を提出したかしていないかすら分からない、
という状態であるわけです。
市場の投資家は、富士通株式会社がこのたび公開買付を実施すると知って初めて、
EDINETなり会社のウェブサイトなりを訪問し必要な書類を検索・閲覧するわけです。
では市場の投資家はどのようにして富士通株式会社がこのたび公開買付を実施すると知るのかと言えば、
電子版の新聞報道なりテレビのニュースなりを見て知るわけです。
逆からいえば、電子版の新聞報道なりテレビのニュースなりを見なければ、
市場の投資家は公開買付が行われること自体を知らないわけです。
実は私もヤフー・ニュースを見て知ったところです。
EDINETに提出されている書類は毎日見ているからEDINETで富士通株式会社が公開買付を行うことを知った、
などという投資家はこの世に1人もいないでしょう。
公開買付を行う旨、公開買付者はウェブサイトにプレスリリースを発表しなければならない、などという定めはないわけです。
仮に、富士通株式会社は、EDINETに必要な書類を提出するだけで、他には公開買付について何のプレスリリースも発表せず、
どの報道機関も富士通株式会社がEDINETに必要な書類を提出したことに気付かず公開買付について報道も全く行われないとしますと、
そのままでは結局、市場の投資家は、富士通株式会社が公開買付を行うことを知らずに終わる(買付期間が終了する)わけです。
ですので、本来は法制度としては、「報道は一切なく投資家はEDINETで毎日提出書類を閲覧するわけでもない」ということを前提に、
投資家が公開買付が実施される事実を知る手段を確保しなければならないわけです。
現行の金融商品取引法では、投資家が公開買付の事実を知る手段として、EDINETにおける電子公告を想定しているわけですが、
以上の議論のように、EDINETにおける電子公告は全く投資家が公開買付の事実を知る手段としての役割を果たせないわけです。
EDINETにおける電子公告では、投資家に情報が全く到達していないのです。
投資家が情報を知る手段として報道を前提にするというのは法制度としてはおかしいわけです。
理論的には、法制度としては、EDINETにおける電子公告は補助的な位置付けのものとし、
公告は官報か日刊新聞紙への掲載を公開買付者に義務付けるべきだと思います。
そうでないと、投資家は公開買付が実施されることを知ることができない(投資家に公開買付開始の情報が到達しない)からです。

 


ところで、富士通株式会社とニフティ株式会社は、本日2016年4月28日(木)に2016年3月期の決算短信を発表しました。
これは、情報開示の観点から、公開買付の発表と決算短信の発表を意識的に同時・同日に行った、ということだと思います。
2016年3月期の決算短信はいつにしなければならないとは決まっていない、すなわち、
企業毎に決算短信発表日が証券取引所から割り当てられる、などということはないわけです。
極端な実例ですが、決算日の翌日の2016年4月1日に2016年3月期の決算短信を発表した企業も現にあるわけです。
公開買付を実施する時期は、経営戦略上の理由から決まってくると思います。
ニフティ株式会社を完全子会社化するのはいつでもいいや、などと富士通株式会社は考えたわけではないわけです。
どちらかと言うと、決算短信の発表日の方を企業は一定度自由に選べるように思います。
つい最近、未監査でももちろんよいのでできるだけ早期に決算の発表をするように、
との提言が金融庁の金融審議会からなされた(2016年4月14日(木) のコメント参照)わけですが、
それでも1〜2週間程度は決算短信の発表日を遅らせたり早めたりはできるのではないかと思います。
そうしますと、経営戦略上公開買付の期間は動かせないということを前提にしますと、
決算短信の発表を、公開買付の発表と同じ日にしたり、公開買付の発表の前日もしくは翌日にしたり、
さらには、公開買付の発表の1週間前もしくは1週間後にしたり、ということを企業は検討する余地があると言えるわけです。
これまでの事例を見ていますと、非常に多くの企業は、公開買付の発表と決算短信の発表を意識的に同時・同日に行っています。
そのことは、結局、私の考えとは逆に、実際には公開買付の発表を決算短信の発表に合わせている、ということだと思います。
この辺り、現実には公開買付の発表も企業は一定度は自由に選べるからだ、ということが理由かとは思います。
実務上、公開買付の発表と決算短信の発表とは同時・同日に行う方がやはり無難なのだろうとは思うのですが、
では、公開買付の発表と決算短信の発表とが異なる日である場合は何か問題があるのだろうか、とも思うわけです。
ここでは、対象会社と公開買付者が同調した行動を取ると想定し、対象会社が決算短信を発表するという場面を考えてみましょう。
例えば、赤字決算をこれから発表するという場合、企業は決算短信の発表と同時に株価が下落するであろうことが予想できるわけです。
その場合、買付価格設定の基準を株価に求めるならば、下落した株価を基準にした方が買付価格を低く設定できるわけです。
逆に、黒字決算をこれから発表するという場合、企業は決算短信の発表と同時に株価が上昇するであろうことが予想できるわけです。
その場合、買付価格設定の基準を株価に求めるならば、上昇する前の株価を基準にした方が買付価格を低く設定できるわけです。
このたびの事例では、富士通株式会社はニフティ株式会社の支配会社(既に3分の2弱を保有)ということで、
グループ経営戦略上、対象会社であるニフティ株式会社は当然に公開買付者である富士通株式会社と利害を一にしていますので、
富士通株式会社が相対的に有利な公開買付を実施していくことができるよう、歩調を合わせ協力をするわけです。
極端な話、ニフティ株式会社は巨額の減損損失を意図的に計上し、決算短信の発表により株価を下落させることもできると思います。
株価が下落したところで、富士通株式会社が公開買付を発表する、ということも理屈ではできるわけです。


例えば、
”買付価格の引き下げを目的として、公開買付者と対象会社とが共謀し、
公開買付者の意向を受けて対象会社は意図的に巨額の減損損失を計上し、株価の引き下げを図った、
そして公開買付者は下落した株価を基準に買付価格を設定し、結果、株式取得にかかる費用を少なくすることができた、”
ということが行われた場合、金融商品取引法上もしくは他の法律上、これは違法な行為なのでしょうか。
単純な設例ですが、論点はいくつかある設例だと思うのですが、私が思うに、
これはひょっとしたら本質的には、金融商品取引法の問題ではなく会計処理の問題なのではないかという気がします。
つまり、減損処理は任意に行ってよいものではなく回収が不可能であると判断される場合にのみ行ってよいものなのだと思います。
ですので、公開買付者の意向を受けて対象会社は意図的に巨額の減損損失を計上すること自体ができない、
というふうに理解するべきなのだと思います。
逆から言えば、対象会社が計上した巨額の減損損失は公正妥当なものであるのであれば、
その結果株価が下落しようが、買付価格が低く設定されようが、金融商品取引法上は問題はない、
ということになる気がします。
仮に、支配株主という法的地位の関係上(例えば、親会社の取締役が子会社の取締役も兼任している等)、
公開買付者は事前に対象会社の決算の内容(巨額の減損損失を計上していること等)を知っているのだとしても、
公開買付者が公開買付を発表するのが決算短信の発表の後の場合は、全くインサイダー取引には該当しないように思います。
この場合はどうであろうか、ではこの場合はどうであろうか、といった具合に、上記以外にも様々な状況を想定できますので、
書き出すと非常に長くなると思いますので、今日は一旦これで終わります。
今日の議論も踏まえ、続きは明日書きたいと思います。