2015年3月19日(木)


2015年3月19日(木)日本経済新聞
Drシーラボ自社株TOB
(記事)


2015年3月19日(木)日本経済新聞 公告
公開買付開始公告についてのお知らせ
株式会社ドクターシーラボ
(記事)

 

2015年3月18日
株式会社ドクターシーラボ
自己株式の取得及び自己株式の公開買付けに関するお知らせ
ttp://ir.ci-labo.com/news/20150318_kaiji083.pdf

 

2015年3月18日
株式会社ドクターシーラボ
支配株主の異動に関するお知らせ
ttp://ir.ci-labo.com/news/20150318_kaiji082.pdf

 


「公開買付の決済日」に関する過去のコメント↓

 

2015年3月13日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201503/20150313.html


2015年3月15(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201503/20150315.html

 

 


【コメント】
プレスリリースによりますと、公開買付の期間は、

>C 買付け等の期間 平成27 年3月19 日(木曜日)から平成27 年4月15 日(水曜日)まで(20 営業日)

と書かれています(3/7ページ)。
ところが、決済日に関しては、

>平成27 年5月 13 日(水曜日)

と書かれています(5/7ページ)。
公開買付の終了日から決済日までなんと4週間も間が空いています。
公開買付終了時から決済までのこの4週間の間は、ドクターシーラボ株式は、
公開買付者のものでありませんし応募者のものでもない、という状態になるわけです。
このことは別の言い方をすると、言わば「この間、株式の所有権に空白が生じている。」、という言い方をしてもよいと思います。
「決済が行われ所有権の移転が生じた」というわけではない、という見方をすれば、株式の所有権は従来通り応募者にあると言えるでしょう。
しかし、公開買付への応募は法律的にもはや応募者は取り消すことはできない、という見方をすれば、
株式の所有権はもはや応募者にあるとは言えないと言えるでしょう。
昨日、株式の譲渡とは権利の譲渡であり、会社にとっては債権者が変わることだ、と書きました。
その際、株式を譲渡した人が会社にその旨通知をしなければならない、と書きました。
このことは他の言い方をすれば、株式を譲渡した人は株式譲渡の対価を受け取るまでは会社側に株式譲渡に関する通知をすることはしない、
ということでもあるでしょう。
そしてその結果、会社は、株式の譲渡が行われたことについては、株式を譲渡した人が株式譲渡の対価を受け取るまでは知らない、
ということでもあるでしょう。
そうすると、会社は、株式を譲渡した人が株式譲渡の対価を受け取るまでは、
「会社の株主は誰か?」を書き記した証書(一番典型的な例は「株主名簿」でしょう)を書き換えることはしない、
ということになるでしょう。
株主の側から概念的に見ると、この間株式の所有権がどちらにあるのか判然としない部分が生じよううかと思いますが、
会社側から見ると、譲渡人から株式譲渡の通知がないわけですから、株式の所有権は従来通り応募者にあるという判断になるでしょう。

 


金融商品取引法の規定を鑑みますと、確かに公開買付への応募は法律的にもはや応募者は取り消すことはできないわけですが、
所有権の移転が行われていないのは公開買付者(譲受人)が決済を行っていないことのみが原因であるわけですから、
法理的に考えていくと、株式の所有権は従来通り応募者にあると言わざるを得ないですし、
したがって、この4週間の間、議決権や配当を受け取る権利も従来通り応募者にあると言わざるを得ないと思います。
やや大げさに言えば、応募者は1日も早く株式を譲渡してしまいたかったのだが、公開買付者が決済に応じてくれなかった、
という状態だと言っていいと思います。
事務手続き上の理由により公開買付期間終了後は応募は取り消せないのだとは思いますが、
応募者の意思表示により応募が取り消せないことが問題というより、
応募締め切りと同時に決済を行っていないことそのことが法理上の問題なのだと思います。
他の言い方をすれば、公開買付期間中の応募というのは、株式売却に関する単なる予備的な事前申し込みやキャンセル可能な予約に過ぎず、
実は「正式な応募」は「公開買付期間の終了時」だけだ、という言い方ができるのだと思います。
実務上は、「公開買付期間の終了時」とは、より具体的には「公開買付期間終了日の15時」ということになるわけですが、
「正式な応募」の時(日時)というのは、法理上は実は「公開買付期間終了日の15時」の瞬間のみ、
という考え方になるのだと思います。
法理的には、公開買付へは「公開買付期間終了日の15時」に応募しなければならないのだと思います。
公開買付への正式な応募日時は「公開買付期間終了日の15時」、だから、それ以降は応募の取り消しはできないのだと思います。
より正確に言えば、「公開買付期間終了日の15時」に公開買付者と応募者が株式の譲渡に合意するわけです。
お互いが株式の譲渡に正式に合意した、だから、合意と同時に決済を行う、という流れになるだけなのだと思います。
スーパーやコンビニや書店やデパートでの買い物と考え方は全く同じだと思います。
お客さんと店員は、商品の購入・販売にレジで正式に合意をするわけです。
「この商品とこの商品を下さい。」、「はい、合計いくらになります。」、これが商品の売買に関する合意です。
レジで、お客さんは商品代金を支払う、店員は商品代金を受け取り商品を渡す、これが商品の決済と引渡しです。
公開買付も全く同じではないでしょうか。
「商品は必ず買いますので代金の支払いは4週間待って下さい。」などと言おうものなら、客は店員に張り倒されるのではないでしょうか。

 



正式にレジに並ぶ前であれば、すなわち、「公開買付期間終了日の15時」以前であれば、
あれこれ商品を選んだり場合によっては一度かごに入れた商品を棚に戻すということもあっていいと思います。
すなわち、公開買付期間であれば応募を取り消すということもあっていいと思います。
しかし、レジでの商品清算・代金支払いの場面では、すなわち、「公開買付期間終了日の15時」の時点では、
お客さんはその場で代金を支払って商品を受け取るしかないわけです。
すなわち、応募者にとってはその「15時の応募」が株式売却に関する正式な意思表示ということになりますので、
応募者はその場で株式を譲渡し株式の代金を受け取るしかないわけです。
取引の相手方から言えば、お店はレジで代金を受け取って商品を引き渡すしかなく、
公開買付者は「15時」に決済を行い応募株式を取得するしかないわけです。
それが法理上の売買の考え方だと思います。

 


2015年3月15(日) のコメントでは、

>法理的には、買付期間の終了日である2015年3月20日(金)の15時以降24時までの間に、決済を行わなければならないと思います。

と書きましたが、これは実務的なことを考慮して書いたと言いいますか、
24時までの間に決済を行えば、株式の取得日は「買付期間の終了日」になる、ということが頭の片隅にあったのでこう書いてしまいました。
要するに、最終の株主名簿に公開買付者の名義を反映させるためには、当日の24時までの間に決済を行うことが求められるかと思います。
株式の取得日すなわち株式の所有権の移転日はいつでもよい、などという株式の取得はないわけです。
経営戦略上、「買付期間の終了日」を株式の取得日としたい、という目的があって、そのような公開買付期間を設定したのだと思います。
ある特定の日(以前)の最終の株主名簿への記載が経営上の目的ということになるかと思いますが、
そのためには24時が法律上の期限(タイムリミット)になるなと思ったわけです。
これはこれで、実務上そして経営上、正しい考え方だと今でも思います。
しかし、株式の譲渡と決済に関して、より厳密に法理的なことを言えば、
代金の決済は、売り手から正式な意思表示があった(と推定される)「15時」に行わなければならない、ということになると思います。
このたびの事例で言えば、

株式会社ドクターシーラボは、法理的には、買付期間の終了日である2015年4月15日(水)の「15時」に、決済を行わなければならない。

となります。

 


ところで、プレスリリースには、現在予定している自己株式を取得する期間として、

>取得する期間 平成27 年3月19 日から平成27 年5月29 日まで

と書かれています(2/7ページ)。
この期間は公開買付の期間とは一致しませんが、これはあくまで「自己株式の取得に関する取締役会決議」の内容ということであり、
公開買付の期間を「平成27 年3月19 日から平成27 年5月29 日まで」とすると取締役会で決議したというわけではない、
ということだ思います。
つまり、現在実施している公開買付が2015年4月15日(水)に終了した後、場合によっては会社としては改めて別途相対取引や市場取引で、
自己株式を取得していくことも頭に入れている、ということなのだと思います。
要するに、「自己株式の取得」が、@自己株式の公開買付とA他の手段による自己株式の取得、の2つに分かれていて、
「自己株式の取得」のためには会社法上取締役会決議が必要なものですから、
取得枠を事前に多目に確保しておくようなイメージで、取締役会決議では期間を長めに取っておいた、というようなことではないでしょうか。
とりあえず、公開買付を実施することについての取締役会決議は
「平成27 年3月19 日(木曜日)から平成27 年4月15 日(水曜日)まで」で決議を取っている、ということではないかと思いました。
つまり、株式会社ドクターシーラボは、2015年3月18日に、
@自己株式の取得のための取締役会決議と、A公開買付のための取締役会決議の、
合計2つの取締役会決議を取った(会社法上合計2つ取締役会決議を取る必要があった)、ということになるのだと思います。
プレスリリースを読む限りは、合計2種類の取締役会決議を取ったとははっきりとは書れてはいないのですが、
期間の長さが異なる、ということは、意思決定や決議自体が異なる(法理的に2種類になる)、ということなのだろうと思いました。
このたびの公開買付はディスカウントによる買い付けですし、応募者も創業者のみを前提としています(創業者も応募する意向)ので、
計画通り買付予定数通りの株式数を買い付けることが十分に可能なのだとは思います(つまり事前に多目に枠を確保する必要はない)が、
期間の長さが異なる、という点がふと目に止まりましたので、書いてみました。
それと、決済日は2015年5月13日(金)ということで、「自己株式を取得する期間」としては少なくとも2015年5月13日(金)まで、
というふうに取締役会では決議を取らないといけないのだと思います。
つまり、公開買付の期間が2015年4月15日(水)までだからと言って、「自己株式を取得する期間」も2015年4月15日(水)まで、
というふうに取締役会で決議を取ってしまうと、決済(取得)ができない(会社法に基づかない自己株式の取得になってしまう)、
ということになってしまうのだと思います。
ただ、だからと言って、「自己株式を取得する期間」が2015年5月29日(金)まで、というふうに取締役会で決議を取られているのも、
よく分からないな(「自己株式を取得する期間」は決済日である2015年5月13日(金)まででよいはず)、という印象ではありますが。
これにはあまり深い意味はなく、2015年5月29日(金)が月末だから(余裕もっておいただけ)という程度の理由なのかもしれませんが。

 


それで先ほど、公開買付では売り手からは「15時」に正式な意思表示があったと推定される、と書きました。
ここでの「推定される」(推定する)という法律用語の意味は、
「当然そうだと考える。」、「法理的にはそうなるのだ。」、「法理的にはそのように考えるのだ。」、
「法理のつながりからそのような意味だと決まる」、というような意味だと思います。
「推定する」と言っても、当事者の誰かが何かをあれこれ考えるという意味ではなく、
「法律上、そのようなものであると取り扱います。法律上、そのようなものであると意味になります。」という意味なのだと思います。
民法の条文で言えば、例えば「第五百七十三条 」(代金の支払期限)に「推定する」という言葉があります。

 

(代金の支払期限)
第五百七十三条  売買の目的物の引渡しについて期限があるときは、代金の支払についても同一の期限を付したものと推定する。

(Due Date for Payment of Purchase money)
Article 573 If there is a due date for the delivery of the subject matter of the sale,
it shall be presumed that the same due date was also agreed for the payment of the purchase money.

 

分かりやすく翻訳すると、以下のようになると思います。

 

(代金を支払う日)
参謀翻訳第五百七十三条  売買の目的物の引渡し日と代金の支払い日は同一の日である(同一の日でなればならない)。

(Due Date for Payment of Purchase money)
Revised Article 573 A due date for the delivery of the subject matter of the sale
should be the same due date for the payment of the purchase money.

 


期限を推定すると言っても、証票が散逸してしまったり当事者間で日付を定め忘れたので、
その場合は取引は同じ日に行われたものと仮定しよう、などと言っているのではなく、
売買の目的物の引渡しと代金の支払いは同じ日に行わなければならない、という意味なのだと思います。
「It shall be presumed that...」とは、「そう考えるべきだ。」、「法理上はそうなるのだ。」という意味なのだと思います。
先ほどの株式会社ドクターシーラボの事例について私が書いた文で言えば、
売り手から正式な意思表示があったのは法理的には「15時」にあった、
ということになりますよね(そう考えられますよね)、と言っているだけなのです。
条文でいう「〜と推定する。」(It shall be presumed that...)とは、
命令・規定を表わして、「〜すべきである。」、「規定はそう要求している。」 、「そうでなければならない。」
という意味なのだと思います。
ここでいう「推定する。」とは、一般的な意味とは大きく異なる、法律独特の言い回しなのだと思います。
「当然そう考える。」、「当然そうであると決まる。」といった意味合いになると思います。
参考までに、民法の教科書には、「みなす」と「推定する」の違いについて次のような説明が載っています。
理解の1つの助けになると思いますので参考にして下さい。。
ただ、私が書きました上記の説明とは少し文脈が異なるという点には注意して下さい。

「みなす」と「推定する」
(スキャン)


The term "presume" in this context means "consider" or "determine."

ここでいう「推定する」とは、「見なす」や「決まる」という意味なのです。