2015年3月15(日)
2015年3月13日(金)日本経済新聞 公告
臨時株主総会及び普通株主による種類株主総会招集のための基準日設定公告
スターホールディングス株式会社
(記事)
スターホールディングス株式会社についての過去のプレスリリース等
2015年2月15日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201502/20150215.html
2015年2月18日
スターホールディングス株式会社
(訂正)「MBOの実施及び応募の推奨に関するお知らせ」の一部訂正に関するお知らせ
ttp://v3.eir-parts.net/EIRNavi/DocumentNavigator/ENavigatorBody.aspx?cat=tdnet&sid=1218825&code=8702&ln=ja&disp=simple
2015年3月12日
スターホールディングス株式会社
臨時株主総会及び普通株主による種類株主総会招集のための基準日設定に関するお知らせ
ttp://v3.eir-parts.net/EIRNavi/DocumentNavigator/ENavigatorBody.aspx?cat=tdnet&sid=1223496&code=8702&ln=ja&disp=simple
H27.02.18 16:28
緑株式会社
訂正公開買付届出書
(EDINETと同じPDFファイル)
H27.02.18 16:29
スターホールディングス株式会社
訂正意見表明報告書
(EDINETと同じPDFファイル)
それで、スターホールディングス株式会社の事例では、会社法に定義された狭義の「全部取得手続き」を行うに先立ち、
買収者は株式公開買付を実施したわけです。
会社法に定義された「全部取得手続き」と株式公開買付とは、実は率直に言えば全く関係ありません。
買収者は、株式公開買付を全く行わなくても、会社法に定義された「全部取得手続き」を任意に行うことができます。
ただ、買収者は十分な議決権数をまだ確保できていないということだからだと思いますが、
会社法に定義された狭義の「全部取得手続き」を行うに先立ち、買収者は株式公開買付を実施するという事例が非常に多いようです。
理論上は、買収者は、いきなり株主総会を招集し必要な株主総会決議を取っていくようにしても、何ら問題ありません。
仮に、その株主総会で他の株主が「全部取得手続き」に反対するようであれば(特別決議が否決されてしまう状況下なのであれば)、
それらの株主は事前に実施する株式公開買付にも応募はしないでしょう。
つまり、株式公開買付には応募しないが株主総会決議には賛成するという株主もいませんし、
株式公開買付には応募するが株主総会決議には反対するという株主もいないわけです。
他の言い方をすれば、必要な議決権数を目的とした株式公開買付の成立と、株主総会決議が可決されることは、
株式を売る株主の意思を鑑みれば実はイコールのことであるわけです。
ですから、会社法に定義された狭義の「全部取得手続き」を行うに先立ち、買収者は株式公開買付を実施する必要は全くないのです。
完全子会社化や非上場化に先立ち、株主に広く株式売却の機会を与えるためだ、という理屈は少し的外れな気がします。
なぜなら、完全子会社化や非上場化に反対の株主は、株式公開買付にも応じませんし株主総会議案にも反対をするはずだからです。
株主の利益保護のようなことを考えるならば、全部取得の際の株式買取価格を公正な価格とすることに重点を置くべきでしょう。
要するに、株主は株式公開買付の事前実施により株式売却の機会を与えられなくても、
「株主は株主としての正当な権利でもって最後まで完全子会社化や非上場化に反対できる。」
ということを理解するべきなのです。
仮に、自分以外の株主が買収者の株式公開買付に応じたならば、それは完全子会社化や非上場化に賛成だという意思表示です。
ある株主がある案に賛成しようが反対しようが全く自由でしょう。
株主には他の株主の意思を縛ることはできないはずです。
仮に自分以外の株主も完全子会社化や非上場化に反対だという意思を持っているのなら、
それら自分以外の株主も株式公開買付には応じません。
買収者にとって、株式公開買付は失敗に終わり、したがって、株主総会議案も否決されて終わりでしょう。
ですから、株式公開買付の事前実施により株主に株式売却の機会を与える、ということには全く意味がないのです。
この論点は、「全部取得手続き」だけではなく、株式交換や株式移転や合併、全てにおいて当てはまる論点です。
株主総会決議が必要な組織再編行為を実施する前に、株式公開買付を実施する必要は全くありません。
「臨時株主総会及び普通株主による種類株主総会招集のための基準日設定に関するお知らせ」
2.本株主総会の日程及び付議議案等について
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「2.本株主総会の日程及び付議議案等について」をさらに簡単ににまとめてみましょう。
スターホールディングス株式会社(以下、当社等)は、公開買付者の完全子会社となる手続きを進めていくために、
本臨時株主総会において、
@当社が会社法に規定する種類株式発行会社となるために
当社において普通株式とは別個の種類の株式を発行できる旨の定款の一部変更を行うこと、
A当社の発行する全ての普通株式に全部取得条項を付す旨の定款の一部変更を行うこと、
B全部取得条項が付された当社普通株式の全ての取得と引換えに別個の種類の当社の株式を交付することについての議案を付議すること
の計3つを予定しているようです。
プレスリリースには、
>本臨時株主総会にて上記@の議案に対するご承認をいただき、上記@に係る定款の一部変更の効力が発生しますと、
>当社は会社法に規定する種類株式発行会社となります。
と書かれています。
この上記「@」までは問題ないと思います。
トリッキーなのは、上記「A」と「A」を実施するための株主総会だと思います。
プレスリリースを要約しますと、
上記Aの議案に係る定款の一部変更の効力を生じさせるためには、本臨時株主総会の決議に加えて、
株式の内容として全部取得条項が付される当社普通株式の株主を構成員とする本種類株主総会の決議が必要となる。
となります。
簡単に言えば、「発行する全ての普通株式に全部取得条項を付すためには、種類株主総会の決議が必要だ。」、と言っているわけです。
しかし、論理や手順を考えるとこの手続きは少しおかしいと思います。
この時点では、スターホールディングス株式会社は、種類株式を発行できる旨の定款変更を行っただけであり、
まだ実際には種類株式は1株も発行していないわけです。
すなわち、この時点では、スターホールディングス株式会社には種類株主は文字通り1人もいないわけです。
種類株主は1人もいないのに、一体どうやって種類株主総会を開催したりそこで決議を取ったりできるというのでしょうか。
確かに、その種類株主総会で決議を行うのは”全部取得条項が付される当社普通株式の株主(を構成員とする)”と書かれてはいますが、
株主総会の構成員は普通株式の株主なのですから、それはただの株主総会でしょう。
全部取得条項はこれから付されるのです。
その時点ではまだ付されていません。
ですから、スターホールディングス株式会社に種類株主はその時点では1人もいないのです。
未来の株主が議決権を行使しているというと少し違うかもしれませんが、
会議で決議を行うのはこれから種類株主になろうとする人達だからその会議のことを種類株主総会と呼ぶ、というのはやはり違うでしょう。
その会議のことは、現に決議を行う構成員のことを鑑みれば、やはり株主総会であり、決して種類株主総会ではないのです。
それで、会社法の規定ではそういったトリッキーな面がありまして、プレスリリースには、
スターホールディングス株式会社は臨時株主総会の開催日と同日に種類株主総会も開催することを予定している、と書かれているわけです。
臨時株主総会のほか、種類株主総会において議決権を行使することができる株主を定めるための基準日も同時に設定している、
と書かれていますが、これは種類株式が1株も発行されていない状態での話ですから、
種類株主総会において議決権を行使することができる株主は1人もいない(そもそも種類株主は1人もいない)わけです。
最後に、「全部取得手続き」では、上記「B」を実施することが最終目的です。
「全部取得条項が付された普通株式の全ての取得と引換えに別個の種類の株式を交付すること」、これが全部取得です。
上記「@」と「A」は、「B」を実施するための下準備に過ぎません。
それで、スターホールディングス株式会社は、
「全部取得条項が付された当社普通株式の全ての取得と引換えに別個の種類の当社の株式を交付することについての議案」を、
株主総会に付議するようですが、
その議案について決議を行うのは、一体誰なのでしょうか。
法理を考えれば、当然「普通株主」しかいないわけですが。
普通株主が株主総会で決議を行うのだと思います。
ただ、上記「A」でもありましたように、株主総会に加え、
”全部取得条項が付される当社普通株式の株主を構成員とする”種類株主でも同様に決議を行う、ということかもしれません。
ただ、会社法の規定はともかく、この時点においてもやはり、スターホールディングス株式会社には種類株主は1人もいないわけですが。
この時点では会社が発行している株式は普通株式だけなのですから、議案を決議できるのは、普通株主だけであろうと思います。
また、細かいことを言うと、スターホールディングス株式会社がこれから発行することになる「種類株式」は実は1株だけなのだと思います。
普通株式が種類株式ではないのは当たり前ですが、
私の理解が正しいなら、「全部取得条項が付された普通株式」も会社法上は種類株式ではないのだと思います。
「全部取得手続き」において発行する種類株式を実際に交付されるのは、完全子会社化を行う買収者ただ1人だけなのだと思います。
では、完全子会社化を行う買収者以外の普通株主は何を交付されるのかと言えば、実は「現金」を交付されるわけです。
買収者だけが完全子会社から種類株式を1株だけ交付され、他の普通株式は完全子会社から現金を交付される、
これが「全部取得手続き」なのだと思います。
上記「B」を実施すると同時に、スターホールディングス株式会社が発行している株式は種類株式1株のみ、という状態になるわけです。
スターホールディングス株式会社は普通株式は1株も発行していない、という状態になるわけです。
この時、スターホールディングス株式会社が発行しているその種類株式には、議決権はあるのだろうか、という疑問は実はあります。
もちろん、議決権がないと株式会社を運営できないわけですから、その種類株式には議決権はあると考える他ないとは思います。
ただ、会社法上、普通株式には当然に議決権がありますが、種類株式には当然に議決権があるわけではないわけです。
種類株式の権利内容についてはその都度当事者で決定していくべき事柄となっているかと思います。
スターホールディングス株式会社は、発行する種類株式には議決権がある、と定款で定めないと、
会社に議決権がない、という事態に陥ってしまうと思います。
臨時株主総会において、普通株式とは別個の種類の株式を発行できる旨の定款の一部変更を決議する際に、
その種類株式には議決権がある、と明確に定める必要があると思います。
最後に一言だけ追加します。
2015年3月13日(金)
のコメントで、「公開買付の期間が終了してすぐに決済を行わなければならない」と書きました。
2015年3月13日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201503/20150313.html
この点に関連するプレスリリースがスターホールディングス株式会社のホームページにありました↓。
2015年2月18日
スターホールディングス株式会社
株式公開買付(TOB)へのご応募のご案内
ttp://www.star-ir.co.jp/pdf/koukaikaituke.pdf
>買付期間 平成27年2月6日(金)〜平成27年3月20日(金)15時まで
と書かれています。
一方、決済日は2015年3月27日(金)とのことです。
法理的には、買付期間の終了日である2015年3月20日(金)の15時以降24時までの間に、決済を行わなければならないと思います。
最後にもう一言だけ、追記します。
今改めて会社法の条文を読んで見ますと、「全部取得条項付種類株式」という文言になっています。
「全部取得条項付普通株式」という文言はないようです。
つまり、普通株式に全部取得条項を付すると、その株式はもはや普通株式ではなく、種類株式の1つだ、という位置付けになるようです。
上の方で私が書いた内容は間違っているようでして、「全部取得条項が付された普通株式」は会社法上は種類株式であるようです。
ただ、そうしますと、「全部取得手続き」では、合計2種類の種類株式を発行する、ということになるのだと思います。
1種類目は、普通株式に全部取得条項を付した「全部取得条項付種類株式」、
2種類目は、「全部取得条項付種類株式」の取得の対価として完全子会社が買収者に交付する1株の種類株式、
ということになると思います。
種類株式を合計2種類も発行するとなりますと、定款変更もやや複雑なことになりそうだなと思いました。
ところで、「全部取得条項付種類株式の取得」は英語で、"Acquisition
of Class Shares subject to Wholly
Call"と訳すようです。
全部取得条項付株式とは、「全てが買い取られることを条件とした株式」、という意味のようです。
「全てが買い取られることを条件とした株式」、それは株式なのだろうか、と思いました。
負債であれば、全てが弁済されることを条件とした負債、ということで、意味は分かるのだが、と思いました。
Just as the constituent of a meeting of shareholders is only
shareholders, not the others
such as the influential founder of a company, a
main financing bank, big customers and suppliers indispensable to
manufacturing,
the constituent of a meeting of class shareholders is only
class shareholders.
株主総会の構成員は株主だけであるように、つまり、威光ある創業者やメインバンクや大口のお客様や製品製造に不可欠な仕入先といった
株主以外の関係者は株主総会の構成員ではないように、
種類株主総会の構成員は種類株主だけなのです。
The number of the class share to be issued is only one, and therefore the
number of the class shareholder is to be only one.
今後発行されることになる種類株式の株式数は1株だけであり、したがって、種類株主の株主数も1人だけとなる予定なのです。