2014年12月9日(火)



2014年12月9日(火)日本経済新聞 公告
公開買付開始公告についてのお知らせ
イオンマーケットインベストメント株式会社
発行価格等の決定に関するお知らせ
株式会社サンセイランディック
(記事)





2014年12月1日
株式会社サンセイランディック
新株式発行及び株式売出しに関するお知らせ
ttp://www.sansei-l.co.jp/files.php?id=000366

 



2014年12月8日
イオン株式会社
イオンマーケットインベストメント株式会社
イオン株式会社の子会社であるイオンマーケットインベストメント株式会社による
株式会社マルエツ株券(証券コード:8178)に対する公開買付けの開始について
ttp://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1200647

 

2014年12月8日
イオン株式会社
丸紅株式会社
イオンマーケットインベストメント株式会社
株式会社マルエツ、株式会社カスミ、マックスバリュ関東株式会社、イオン株式会社及び丸紅株式会社による
共同持株会社設立(株式移転)に係る、イオン株式会社の子会社であるイオンマーケットインベストメント株式会社による
株式会社マルエツ株券(証券コード:8178)に対する公開買付けの開始、並びにイオン株式会社による共同持株会社の子会社化について
ttp://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1200648
ttp://www.marubeni.co.jp/news/2014/release/tobbyionmarketinvestment.pdf

 


イオン株式会社及び丸紅株式会社によるスーパー事業会社を統括するための共同持株会社設立については、
2014年11月1日(土) と2014年11月4日(火) にコメントしましたので、そちらを読んでいただけたらと思います。


2014年11月1日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201411/20141101.html


2014年11月4日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201411/20141104.html

 



このたび発表されたプレスリリースについて一言だけコメントします。
イオン株式会社、丸紅株式会社、イオンマーケットインベストメント株式会社3社共同で発表しているプレスリリースに、
以下のような理解に苦しむことが記載されています。


3. 会社分割の概要
(11) 本吸収分割を含む全対象取引後の承継会社の状況
(6/9ページ)


>本吸収分割を含む全対象取引後、2015 年2月末日までに、イオンマーケットインベストメントは
>資本金の額の減少(以下「本減資」といいます。)を行う予定であり、これにより、
>上記Dに記載のイオンマーケットインベストメントの資本金は100 百万円となる予定です。


イオンマーケットインベストメント株式会社は、普通株式を対価とした吸収分割により、
イオンが保有するマルエツ株式、カスミ株式及びMV関東株式を承継する計画であるわけですが、
それは、イオンマーケットインベストメント株式会社はこれらの株式の承継と同時に減資を行う、と言っていることと同じであるわけです。
これは会計理論上はおかしいと思います。
(イオンマーケットインベストメント株式会社は現時点で実は債務超過であるわけですが、
そのこと自体は今日の議論とは関係ありません。)
今日は話の簡単のため、現物出資や現物の寄附、減資は所与のものとします。
私がおかしいと思うのは、増資と同時に減資を行うことではなく、現物出資を受けたことと減資とを同時に行っていることなのです。
私は今までに、株式を対価とした吸収分割というのは現物出資の拡張版だ、と書いたことがあるかと思います。
このたびのイオン株式会社とイオンマーケットインベストメント株式会社との間の取引も、
会社法の定義としては確かに吸収分割であるわけですが、
イオン株式会社はイオンマーケットインベストメント株式会社に対し保有するスーパー事業会社株式を現物出資したもの、
という見方もできるわけです。
特に、このたびの吸収分割では、負債は一切承継されませんから、その意味でもさらにこの取引は現物出資の色彩が強いわけです。
ただ、会社法の定義としては、株式を現物出資するという考え方があまりない(法的に禁止されているわけではないが)ものですから、
法手続きの上でも吸収分割を実施すると定義付け・解釈する方が、話が簡単だというだけなのです。
経営的・会計的には、株式を対価としている以上、株式の承継は現物出資の側面が非常に強いわけです。
したがって、ここでは、イオン株式会社とイオンマーケットインベストメント株式会社との取引は現物出資であると考えてみましょう。

 


そうしますと、何が問題かと言いますと、現物出資を受けたことと減資とを同時に行っていることが問題であるわけです。
現物出資ということは、会社に拠出された財産の価額はまさに公正な価額でなければならないと言いますか、
資本金を増加させる時は、公正な価額だけ増加させねばならない、と言いますか、
要するに、「会社に拠出された財産の価額=資本金の増加額」でなければならないわけです。
こう書くと当たり前ではないかと思われるかもしれませんが、
現物出資の直後に減資を行うとなりますと、そもそも現物出資による増加資本金額は公正な価額だったのか、
という話になってしまうのではないかと思うわけです。
減少させた後の増加資本金額が実は会社に拠出された財産の本来の価額だった、という見方ができるのではないかと思うわけです。
ただ単に分配可能な金額を増やすためだけに拠出された財産の価額を過大に評価し、
不公正な現物出資により資本金を過大に増加させただけなのではないか(そして減資を行っただけなのではないか)、
と周りからは見えるわけです。
仮にこの出資が現金による出資であれば、その疑いは一切ないわけです。
減資の是非はともかく、会社に拠出された財産の価額は間違いなく会社に払い込まれた現金の価額です。
この問題点は、実は現物出資の問題点と言わねばならないのかもしれません。
減資を同時に行っているがゆえに、その問題点が殊更に浮き彫りになっている、ということなのだと思います。

 



現金というのは、人や会社の財産そのものであると同時に、物事の価額を計る尺度でもあるわけです。
実生活・実社会・経営において、現金には、財産という側面と尺度という側面の両方の意義・役割があるわけです。
そのこと考えますと、実は、出資という法律行為・取引・会計事象が行われる際には、出資の価額を計る必要があるわけです。
いくら出資されたのか、出資された価額はいくらなのか、と。
つまり、出資においては、現金は「尺度という側面」の方が強く要求されるわけです。
もちろん、出資において払い込む財産が現金であるわけでして、その文脈における現金は財産という側面そのものであるわけですが、
株式の発行価額であったり資本金の増加額ということを判断するに際しては、現金は「尺度という側面」の方が強く要求されるわけです。
何が言いたいと言えば、出資という法律行為・取引・会計事象が行われる際には、
出資の価額(資本金の増加額)を正確に計ることが要求されるわけですから、
会社に拠出される財産が現金以外というのは、ある意味本末転倒なのではないか、ということです。
財産の価額を計る尺度が現金であるわけです。
率直に言えば、現金という尺度がなければ財産の価額を計れないわけです。
今問題になっているのは、財産の価額であるわけです。
財産の公正な価額は分からない、会社に払い込むに際しては正確に計る必要がある、ということが問題になっているわけです。
話が分かりづらければ、資本金の側から見てみるとよいでしょう。
今、「資本金はいくら増加させるべきか?」と問題になっているわけです。
出資に際し、正確な増加資本額を今計りたいわけです。
その際、正確な尺度は現金しかないのではないでしょうか。
価額は不明確な財産を持ってきて、どう正確な増加資本額を計るというのでしょうか。
今計りたいのは、拠出される財産の価額ではなく、資本金の増加額なのです。
資本金の増加額を計る尺度は、現金しかないのではないでしょうか。
現物以外を出資するとなりますと、現物(財産)の価額を現金以外の尺度でもって計る、と言っていることと同じになるわけです。
財産の価額は現金という尺度でしか計れないのなら、資本金の価額も現金という尺度でしか計れないのではないでしょうか。
資本金というのは、確かに一般的な意味での財産とは異なるのですが、株式会社における1つの概念上の財産であるわけです。
その財産の価額は、現金という尺度で計るべきではないでしょうか。
一般的な意味での財産が現金という尺度でしか計れないように。
財産を他の財産を使って計るでしょうか。
全ての財産は現金で計るのではないでしょうか。
株式会社にとって、財産は取得するものです。
拠出されるものではありません。

 


少し話が現物出資そのものの問題の指摘に脱線してしまいました。
ここからは、現物出資や減資を所与のものとします。


公正な価額が100円の土地について考えてみましょう。
この土地の寄附を受けた時の仕訳はこうなります。

(土地) 100円 / (受取寄附金) 100円   ・・・@


この土地の現物出資を受けた時の仕訳はこうなります。

(土地) 100円 / (資本金) 100円


この土地の現物出資を受け直後に減資を行った時の仕訳はこうなります。

(土地) 100円  / (資本金) 100円
(資本金) 100円   (利益剰余金) 100円 

貸借の資本金勘定を相殺すれば、こうなります。

(土地) 100円 / (利益剰余金) 100円   ・・・A

 

@とAを見比べてみると、@だと損益取引、Aだと資本取引(の一類型)となる気がします。
土地の対価として現に株式を発行していれば、確かに資本取引ではありますが。
少なくともAよりも@の方が透明性が高いのだけは確かでしょうか。

 


同じ土地について、土地の価額を200円と評価して寄附を受けた時の仕訳はこうなります。

(土地) 200円 / (受取寄附金) 200円


土地の価額が過大であったために、100円減損処理した時の仕訳はこうなります。

(土地減損損失) 100円 / (土地) 100円

 

この仕訳で感じるのは、
寄附を受けた財産の価額が明確でないと、受取寄附金の金額もまた明確ではない、ということです。
寄附もまた、価額の明確性という観点では、本来は現金で行わなければならない、ということの表れだと言えるでしょう。

 



この土地の価額を200と評価し現物出資を受けた時の仕訳はこうなります。

(土地) 200円 / (資本金) 200円


現物出資の直後、土地の価額が過大であるため、100円減損処理することにした時の仕訳はこうなります。

(土地減損損失) 100円 / (土地) 100円


現物出資の直後、資本金の増加額が過大であるため、100円減資することにした時の仕訳はこうなります。

(資本金) 100円 / (利益剰余金) 100円

 

以上の仕訳で何が言いたいと言いますと、
確かに減資というのは、増加資本金額が過大だったから資本金の金額を減少させることとは全く異なるわけですが、
現行の会計処理方法とは全く異なる話になりますが、現物出資の直後に資本金を減少させるとなりますと、
会社に拠出された財産の価額が過大だったということになってしまうのではないかと思いましたので、
会社に拠出された財産の価額も減少させなければならない、というような考え方ができるなと思いました。
「現物出資直後に、なぜ減資をしたのか?拠出された財産の価額に問題があったからではないのか?」
と私だったら言いたくなりますので書いてみました。
現物出資の直後に資本金を減少させるなら、拠出された財産の価額も同時に減少させるべき(減損処理するべき)だ、
と感じました。
減資と資産の減損処理とは会計理論上は全く関係はないのですが、ここでは、経営上や概念上の話になりますが、
出資とは何か、公正な出資額とは何か、ということについて思うことがありましたので、公正な価額ということについて考えてみました。

 

Cash is at once property itself and a scale of property.

現金は、財産そのものであると同時に財産の尺度でもある。