2014年11月4日(火)



2014年11月4日(火)日本経済新聞 公告
公開買付開始公告についてのお知らせ
兼松株式会社
(記事)


 

2014年10月31日
兼松株式会社
兼松日産農林株式会社の株式に対する公開買付けの開始に関するお知らせ
ttp://www.kanematsu.co.jp/press/files/tekiji/e9db1aa55b9d73e903601080b806c8a9.pdf

 


2014年10月31日
兼松日産農林株式会社
兼松株式会社による当社株式に対する公開買付けに関する意見表明のお知らせ
ttp://www.knn.co.jp/ir/pdf/info20141031.pdf

 

 


2014年11月1日(土) にコメントしました、
イオン株式会社及び丸紅株式会社によるスーパー事業会社を統括するための共同持株会社設立について、一言だけコメントします。
組織再編行為やグループ経営戦略とは直接は関係ありませんが、株主総会の基準日について思うことがありましたので、コメントします。


2014年11月1日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201411/20141101.html


この日紹介したプレスリリースの中に、次の2つのプレスリリースがあったかと思いますが、
その中に「株主総会の基準日」について、定款を変更する旨の記載がありました。
それぞれ該当分をキャプチャーして紹介します。

 

2014年10月31日
株式会社マルエツ
臨時株主総会の開催及び臨時株主総会招集のための基準日設定並びに定款一部変更に関するお知らせ
ttp://www.maruetsu.co.jp/corporate/ir/pdf/zaimu141031a.pdf

3. 定款一部変更について
(2/2ページ)


2014年10月31日
株式会社カスミ
臨時株主総会召集のための基準日設定及び定款一部変更に関するお知らせ
ttps://www.kasumi.co.jp/news/news663.pdf

3. 定款一部変更について
(2/2ページ)

 


どちらの会社のプレスリリースも、文言はほとんど同じです。
大まかに要約しますと以下のようになります。

 

本株式移転の効力が発生した場合、当社の株主は共同持株会社1名となり、
定時株主総会の基準日に関する規定はその必要性を失うことになります。
そのため、現行定款第XXX条(定時株主総会の基準日)を削除します。

現行定款
(定時株主総会の基準日)
第XXX条 当会社の定時株主総会の議決権の基準日は、毎年2月末日とする。

 

ここで、会社法には「株主総会の基準日」について、以下のように定められています。


第124条(基準日)
1 株式会社は、一定の日(以下この章において「基準日」という。)を定めて、基準日において株主名簿に記載され、又は記録されている
株主(以下この条において「基準日株主」という。)をその権利を行使することができるものと定めることができる。


会社法の「第2章」が「株式」全般についての定めとなっており、「第2節」が「株主名簿」についての定めとなっています。
この中に、「第124条(基準日)」が定められています。
「株主総会の基準日」についての定めは、会社法にはこの「第124条(基準日)」だけのようです。
この「第124条(基準日)」の定めに従い、株式会社マルエツ及び株式会社カスミでは、
上記のように「定時株主総会の基準日」を定款に定めている、ということのようです(そして、この定めをこのたび削除するとのことです)。

 


株式会社マルエツ及び株式会社カスミでは、一体いつから「定時株主総会の基準日」を定款に定めているのかは分かりませんが、
率直に結論を言えば、法理的には、この定款の定めははじめからいりません。
他の会社においても、”当会社の定時株主総会の議決権の基準日は、毎年3月末日とする。”などと定款に定めてある場合は、
どの株式会社においてもそのような定款の定めははじめからいりません。
この「この定款の定めははじめからいりません」の理由は2つあります。


まず、両社の「定時株主総会の基準日」の定めについてですが、
株式会社において「定時株主総会の基準日」は、毎年の「事業年度末日」と当然に決まるからです。
定時株主総会では、配当金の支払いについて株主総会決議を取らねばなりませんが、
それはいつの利益の配当なのかと言えば、当然当事業年度に稼いだ利益を配当するわけです。
したがって、配当は「事業年度末日」の貸借対照表に基づいて支払うことになりますし、
配当を受け取る権利があるのも「事業年度末日」の株主ということになります。
つまり、株主総会で議決権を行使できるのも当然に「事業年度末日」の株主ということになるわけです。
「事業年度末日」の株主が、株主総会に出席し、議決権を行使し、そして配当を受け取るわけです。
株式会社において「定時株主総会の基準日」は、毎年の「事業年度末日」でなければ、
配当を受け取る株主と議決権を行使する株主とが整合しなくなるわけです。
法理的には、株式会社において「定時株主総会の基準日」は、毎年の「事業年度末日」以外あり得ないわけです。
これが理由の1つ目です。

 



2つ目の理由ですが、会社法の「第124条(基準日)」は、
そもそも「定時株主総会の基準日」を定款に定めるよう促している条文ではない、というのが理由になります。
会社法の「第124条(基準日)」は、株主総会の運営方法について定めたものであり、
「特定の月日や特定の曜日を株主総会の基準日とすることができる。」と言っているわけではないわけです。
会社法「第124条(基準日)」の文脈で言っている「一定の日(=基準日)」というのは、
株主総会で議決権を行使できるのは「一定の日(=基準日)」の株主だけである、という意味だと思います。
威光のある創業者、過去の大株主、これまで長期間株主であった者、会社の命運を握っている大口債権者(銀行など)、重要な取引先などは、
株主総会で議決権を行使できません、という意味だと思います。
もしくは、「一定の日(=基準日)」以外の株主は株主総会で議決権を行使できません、という意味だと思います。
要するに、株主総会で議決権を行使できる「議決権者」を限定し明確化しないと、株主総会が運営できない(議決権を集計できない)わけです。
現行会社法の「第124条(基準日)」の最後の”定めることができる。”という文言がおかしいのではないでしょうか。
この部分は正しくは、「定めなければならない。」だと思います。
英語の助動詞で言えば、「会社が基準日を定める」のは、”can”や”may”ではなく、「should」や「must」の意味なのです。
旧商法は明治三十二年に作られたということで、当時の日本語の文法で言えば、助動詞の「べし」に該当するのではないかと思います。
明治期っぽい言い方をすると、この条文は、「株主総会の招集のために会社は基準日を定めるべし。」となると思います。
現会社法は2006年施行ですが、明治期の旧商法でも基準日についての条文はあったのではないかと思いますが、
その条文は「基準日ヲ定メルベシ。」といった文言ではなかったのだろうかと思います。
以上の条文解釈は私の解釈ですが、私のこの解釈が正しいとすると、ひょっとすると、
旧商法の条文を現代語訳する際に助動詞の「べし」を訳し間違えたのかもしれません。
私のこの解釈が正しいとすると、現代人は、古文文法から勉強し直さないといけないのかもしれません。
会社法の「第124条(基準日)」を分かりやすく書くと以下のようになります。
決して、「特定の月日や特定の曜日を定款に定めることができる。」とは言っていないわけです。
「『一定の日(=基準日)』を決定しなければ株主総会が運営できませんよ。」、そう言っているだけです。
「株主総会で議決権を行使できる者を明確に限定しなければならない。」、そう言っているだけです。
会社法「第124条(基準日)」に、定時株主総会も臨時株主総会もありません(両方の株主総会が条文の対象です)。
会社法「第124条(基準日)」は、「株主総会の基準日」を定款に定める旨の条文でもありませんし、
また、そもそも「株主総会の基準日」を定款に定めること自体がおかしいわけです。
株主総会の基準日は、各会の株主総会の種類・性質・目的により各々一意に決まります。


会社法修正第124条(基準日)
1 株式会社は、一定の日(=「基準日」)を定めて、基準日において株主名簿に記載されている株主(=「基準日株主」)を
株主総会で議決権を行使することができる者と定めなければならない。