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2012年12月31日(月)



2012年12月31日(月)日本経済新聞
公的資金で製造業支援 工場・設備買い取り 官民、5年超で1兆円 補正に計上 新たな投資促す
(記事) 

 

 

2012年12月31日(月)日本経済新聞
資産買い取りに軸足 公的資金で支援 国民負担の恐れも
(記事)



 

 

【コメント】
ついに尻尾を出したな、と私が叫んで激昂のあまり義憤交じりのコメントをするとでも思ったのでしょうか。
工場・設備買い取りというより、企業が銀行から工場・設備のための資金を借り入れてた上で、
その借入金は政府が肩代わりする、ということを言っているのだと思いますが、
そんなことは大昔から毎年行われていることです。
今から開始します、というようなことを言われても困ります。
従来から多くの業種業界で行われていることですが、最近の事例で記憶に新しいのは
各社の中小液晶パネル事業や各社の有機ELディスプレイ事業に関して政府による借金の肩代わりが行われました。
国の予算など関係ないんですよ。

これも時代の流れということなのか、私も言うだけ無駄な気がしていて見て見ぬふりをし続けているわけですが、
意図はともかくこのような記事が一面トップだったので前々からずっと思っていたことですが敢えてこの機会に書かせていただきますと、
はっきり言ってしまうと、ここまでくるともう民間企業も公務員も何も変わらないのではないか、という気がしています。

 

 

 



2012年12月31日(月)日本経済新聞
東京スター買収案  株主、多数が賛同 来月上旬提示へ 台湾大手銀
(記事)

 

 



【コメント】
多数?
多数というか、株主の数は一人だったか二人だったかと思いますが。


株式の状況
ttp://www.tokyostarbank.co.jp/profile/stocks/situation/index.html


こ、これは一体何なのでしょうか・・・。
東京スター銀行については今までに二回ほどコメントしています。


2011年1月23日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201101/20110123.html


2011年5月26日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201105/20110526.html


これらのコメントを書いた時は単なる代物弁済だとした思わなかったのであまり株主については気にしなかったのですが、
今考えるとおかしい点があります。
代物弁済ということであれば、東京スター銀行株式はアドバンテッジ・パートナーズから融資した銀行側へ譲渡されることになります。
問題は「誰がアドバンテッジ・パートナーズへ東京スター銀行の買収資金を貸したのか」なのですが、
詳しくは分かりませんが、単純に国内の銀行ではないのでしょうか。単純にメガバンクその他かと思います。
個人的推測ですが、新生銀行やあおぞら銀行やフランスのクレディアグリコル銀行がSPCへ買収資金を融資したとは思えません。
これらのコメントを書いた時は「代物弁済ということが行われました」という説明をしようと一所懸命だったので、
正確な株主が誰かには気が回りませんでした。
私は誰が東京スター銀行の株主になるかには当時は興味がありませんでした(今でもありません)。
東京スター銀行の株主がハムスターだろうがロブスターだろうが太陽神戸三井銀行三宮支店支店長だろうが構いません。
ただ、会計処理についてだけは(私も完璧な人間ではありませんが)間違いのない説明をしなければと思いました。

 

 


結論から言いますと、現在の東京スター銀行の株主は直接的には特別目的会社一社のみだと思います。
ただ、この特別目的会社の株主は、アドバンテッジ・パートナーズ(が設立したファンド)へ融資した銀行(団)となります。
アドバンテッジ・パートナーズ側へ融資した銀行の具体的な名称は分かりませんが、
一行のみもしくは複数の銀行ということになると思います(だから複数の場合を想定して銀行団と「団」を付けました)。

2011年5月26日(木)に書いたコメント中の図を見ていただければと思います。
2011年1月23日(日)と2011年5月26日(木)の時点では株主については一言も触れていませんが、
これらのコメントは今見ても本質は外していないと思います。
2011年1月23日(日)に書いた仕訳を引用します。


>アドバンテッジパートナーズ単体の仕訳
>
>(借入金) 1700億円 / (東京スター銀行株式) 1700億円
>
>
>
>銀行団の仕訳
>
>(東京スター銀行株式) 1700億円 / (貸出金) 1700億円


このときのアドバンテッジ・パートナーズから銀行側への東京スター銀行株式の譲渡は上の仕訳に尽きるわけです(代物弁済の仕訳)。
2011年5月26日(木)にはこうもコメントしています。

>東京スター銀行の株式は誰かという議論であり、債権者が株主になる流れを理解するよい事例だと思います。

一番大切な部分に誤植がありまして訂正しますと、
「東京スター銀行の株式は誰か」ではなく「東京スター銀行の株主は誰か」が正しいのですが、
ここでは、従来の株主に代わり代物弁済(代わりに株式を譲渡する)を通じて債権者が新たな株主になる、ということが本質なのです。

 

 



この流れを2011年5月26日(木)に書いたコメント中の図を使って他の言い方をすれば、

「SPC:東京スター銀行株式を100%保有」に関して私的整理が行われた、

とも表現できるかと思います。
注意が必要なのはこれは、東京スター銀行に関して私的整理が行われたのではない、ということです。
実際には担保権を行使したというだけであり代物弁済で簡単に話はついていますので私的整理というほど大げさなものではないのでしょうが、
私的整理の概念を敢えて広く取ればそういう言い方もできるかと思います。


経営管理学や会計の勉強では具体的な株主名はどうでもいいのです。
株式取得に際して借り入れた借入金を返済できなくなったので、従来からの株主に代わり買収資金を貸し付けた債権者が新たな株主になる、
ということを理解することが経営管理学や会計の勉強です。
このたびの事例で言えば、アドバンテッジ・パートナーズに代わり、
アドバンテッジ・パートナーズへ買収資金を融資した銀行団が新たな株主になる、ということが事の本質であるわけです。

 

 



さらに2011年5月26日(木)のコメントにはもっとすごいことが書かれています。


>ある意味、現銀行融資団が新スポンサーの役割を果たすのだと思います。
>今回の取引では、銀行融資団は東京スター銀行に対して増資を行ったりはまだしていません。
>今後、増資の引受け等があるのかどうかは分かりませんが、
>融資団にとっては東京スター銀行は同じ銀行業務を行っていますので、
>現銀行融資団の間で東京スター銀行の再建を行っていくのだと思います。


まあすごいというのは冗談ですが、自分で言うのも何ですが、この記述はまさに本質を突いていると思います。




それにしても、株主は事実上一人なのに(当然株主総会の出席者は一人(SPCの代表取締役)のみ)、
IRライブラリだの株主総会だのとこんな嘘のページまで作成して、東京スター銀行は何を考えているのでしょうか。


会社情報・IR
ttp://www.tokyostarbank.co.jp/profile/index.html

 

 


というわけで、本当に台湾の銀行が東京スター銀行を買うのかどうかは知りません(そこは経営管理学や会計の本質ではない)が、
あまり正確な数値ではないかもしれませんが、
一番最初にアドバンテッジ・パートナーズが東京スター銀行株式を取得するのにかかった現金は2500億円、
銀行団(正確にはその特別目的会社)保有の東京スター銀行株式の(減損前)帳簿価額は1700億円、
になると思いますが、記事によると、東京スター銀行株式の売買価格は500億円程度、とのことです。
もしこれが本当だとすると、銀行団に大きな株式売却損が出ることになります。
銀行に損失を出させるわけにはいきませんから、
差額の1200億円程度は政府が(当初からの約束通りか後付けで出てきた話かは知りませんが)損失補填してくれるのでしょう。

率直に言えば、銀行はもう本当に公務員と何も変わらないと思います。
これは、頭が固い、四角四面、お役所仕事だ、というようなことを銀行は従来から言われていたかと思いますが、
そういう意味とは全く異なる別の意味においてですが。

 

台湾の銀行の仕訳

(東京スター銀行株式) 500億円 / (現金) 500億円


銀行団の仕訳

(現金)                   500億円  / (東京スター銀行株式) 1700億円
(東京スター銀行株式売却損) 1200億円
(現金)                   1200億円    (政府損失補填金)      1200億円


政府の仕訳

(国民の涙) 1200億円 / (現金) 1200億円                        *国民の涙は損益計算書項目です。

 

 

 


大学時代に法律の授業を受けてみた効用


法学部の授業にもぐりこんだ効用は、夜よく眠れるようになったことだ。
法学部の授業にもぐりこむまでは、法学部出身者や司法試験合格者や大学教授は法律に精通していて、
どのような法律論理を展開しているのか心配で眠れない夜が多かった。
日本第一の法学部に行ってみて、法律学自体が法律について、分かった部分よりは分からない部分の方が多いと知った。
法学部出身者や司法試験合格者や大学教授も自分と同じ様に大して法律を知らないと分かった途端に気が楽になった。

 


 


元ネタ


「ゼミナール 経営管理入門」 風早正宏 著 (日本経済新聞社)

第1章 経営管理学の効用と限界
経営管理の才能と技術
「MBAの効用」
(14ページ)


*私は法学部出身ではありません。もちろん司法試験等の資格も持っておりません。条文解釈はともかく細かい法知識はありません。
 ついでに言えば、法律が嫌いです。法律は学問ではないと思っています。法律はこの世に仕方なくあるだけだと思っています。