2019年4月13日(土)


2019年4月13日(土)日本経済新聞
新紙幣 生活に影響は? タンス預金 取り崩しの契機
(記事)





平成31年4月9日
財務省
新しい日本銀行券及び五百円貨幣を発行します
ttps://www.mof.go.jp/currency/bill/20190409.html

「現行の日本銀行券が使えなくなる」などを騙った詐欺行為(振り込め詐欺など)にご注意ください
ttps://www.mof.go.jp/currency/bill/20190412.html

 


2019年4月9日
日本銀行
日本銀行券の改刷および500円貨の改鋳について
ttp://www.boj.or.jp/announcements/release_2019/rel190409a.pdf

 

 

2018年12月18日(火)のコメントで、ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、
「有価証券の上場には4つのパターンがある。」という資料を作成し、以降、集中的に証券制度について考察を行っているのだが、
2018年12月18日(火)から昨日までの各コメントの要約付きのリンクをまとめたページ(昨日現在、合計116日間のコメント)。↓

各コメントの要約付きの過去のリンク(2018年12月18日(火)〜)
http://citizen.nobody.jp/html/201902/PastLinksWithASummaryOfEachComment.html

 

 


【コメント】
財務省も日本銀行も、日本銀行券と500円硬貨を刷新する目的について、”偽造抵抗力強化等の観点から”と発表しています。
しかし、仮にそうであるならば、現行の日本銀行券及び五百円貨幣は、新しい日本銀行券及び五百円貨幣が発行されたあとは、
「法令に基づき通用力を失う。」(刷新前の紙幣や硬貨は法定通貨ではなくなる)という取り扱いにしなければなりません。
なぜならば、仮に偽造が可能ならば、不正を企てる者は刷新前の日本銀行券及び五百円貨幣を偽造し続ければよいからです。
新しい日本銀行券や硬貨が発行された後は、理論上は「刷新前の日本銀行券と硬貨は使えなくなる。」が正しいのです。
ただ、法定通貨刷新の理由が”偽造抵抗力強化等の観点から”ではなく、「通し番号」(「記番号」)の枯渇であるのならば、
逆に、「現行の日本銀行券及び五百円貨幣は、新しい日本銀行券及び五百円貨幣が発行されたあとも、引き続き通用する。」、
という結論になります(刷新前の日本銀行券と硬貨の偽造はないならば、通貨刷新後も通用力を有しても何ら問題はないわけです)。
歴史の教科書には、通貨改鋳の理由は歴史上は「偽造」とされていますが、現在では現実には「通し番号」の枯渇と言えるでしょう。
さらに言えば、「現行の日本銀行券及び五百円貨幣は、新しい日本銀行券及び五百円貨幣が発行されたあとは、
『法令に基づき通用力を失う。』(刷新前の紙幣や硬貨は法定通貨ではなくなる)」
という取り扱いにしなければならない理由がもう1つ別の観点から考えられます。
その理由とは、極めて実際的な理由になるのですが、2019年4月10日(水)のコメントで書きました次のことが理由です。

>一言で言えば、人が紙幣を見て「これは紙幣である。」と分かることが重要であるわけです。
>言葉を換えれば、紙幣の認知度の問題(紙幣を見て紙幣であることが分からないということが起こってはならない)であるわけです。

2024年に刷新が予定されている日本銀行券は、その後何十年使用することになるかはまだ決まっていないと思います。
これまでは、20年毎に日本銀行券は刷新されてきたわけですが、2019年4月10日(水)のコメントで次のように書きましたように、
2024年に刷新が予定されている日本銀行券は「200年以上」は使用することができます。

>また、「通し番号」が1ケタ増えると、増加前の10倍となる枚数だけその図柄の紙幣の発行が可能になります。
>それらを踏まえますと、このたび発表された新紙幣(紙幣の新しい図柄)は、現行のも含めたこれまでの紙幣とは異なり、
>「少なくとも200年間は使用が可能である。」(「通し番号」が枯渇することがない)、という結論になります。

「通し番号」には、0から9までの数字だけではなく、アルファベットも使用されていることを鑑みれば、
「通し番号」が1ケタ増えると、「通し番号」は増加前の「10倍」ではなく実際には「26倍」になります。
単純計算で、20年×26倍=「520年間」は新しい日本銀行券は使用することが可能である、という計算になります。

 


極端な話、西暦2544年に、消費者や事業者が、聖徳太子の「1万円札」や伊藤博文の「千円札」を見て、
「これは紙幣(法定通貨、社会で使えるお金)である。」と分かるかと言えば、まず分からないわけです。
それどころか、福沢諭吉の「1万円札」や新渡戸稲造や樋口一葉の「5千円札」や夏目漱石や野口英世の「千円札」を見ても、
西暦2544年の消費者や事業者は「これは紙幣(法定通貨、社会で使えるお金)である。」とは分からないわけです。
現に私など、二宮損得の「1円札」や板垣退助の「100円札」を見ても、
「これは紙幣(法定通貨、社会で使えるお金)である。」とは分かりません。
「1円札や100円札というのも何か聞いたことがある気がしますね。」というくらいの認識です。
店番をしていて、お客さんが二宮損得の「1円札」や板垣退助の「100円札」をレジで出した時、
「これは紙幣(法定通貨、社会で使えるお金)である。」とは私は分かりません。
一言で言えば、昔の法定通貨で支払いたいとお客さんが言っても、
お店側は代金の受け取りが現実にできない(法定通貨かどうかが分からない)という状態に陥るわけです。
現在22種類もの紙幣が有効であるとのことですが、私には7種類くらいしか自信を持って通貨であると判断が付きません。
仮に私が店番をしていてお客さんが聖徳太子の「千円札」をレジで出した場合は、
そのお札を見て「あれ?聖徳太子のお札は『1万円札』じゃなかったっけ?」と私は思うでしょう。
つまり、私は聖徳太子の「千円札」を見て偽札ではないかと現実に疑ってしまうでしょう。
昔は聖徳太子の「千円札」が現にあったと言われも、すぐには分からないというのが実情でしょう。
以上の例で分かりますように、「法定通貨とはこれである。」とすぐに分かるような状態にしなければならないわけです。
まさに、これは紙幣の認知度の問題(紙幣を見て紙幣であることが分からないということが起こってはならない)であるわけです。
結論を一般化して言えば、
「新しい法定通貨が発行された後は、従前の法定通貨は『通用力を失う。』(従前の法定通貨はもはや法定通貨ではなくなる)」
という取り扱いをせねばなりません。
この論点に関しては、かのユーロ通貨の導入が理解の1つのヒントになると思います。
ユーロ通貨の導入後は、各国における従前の法定通貨は通用力を失ったわけです。
それはそうしないと実生活上混乱や見間違いが生じるであったり
従前の現地の法定通貨を見てもそれがかつての法定通貨であったということが分からない、という問題が生じます。
例えば、1997年に生まれた人(現在21歳もしくは22歳)は、ユーロ通貨導入前の母国の法定通貨を見ても、
それがユーロ通貨導入前の母国の法定通貨であることが分かりません。
結論を一言で言えば、1国における通用力を有する法定通貨の種類は少なければ少ないほどよいわけです。
偽札を見てすぐに「何かおかしいな。」と気付けるのは、せいぜい3種類まででしょう。
例えば、日本暮らしの日本人が米ドル札のデザインだけを見せられた後、
よく造られた偽の米ドル札を手渡されても偽札かどうかはすぐには気が付かないわけです。
米国人であればすぐに「何かおかしいな。」と気付くレベルの偽札であっても、
馴染みのない人にとってはそれが偽の米ドル紙幣かどうかが分からないわけです。
簡単に言えば、法定通貨というのは人が頻繁に見たり手で触ったりするということが重要なのです。
本物を頻繁に見たり手で触ったりしていれば、偽札を見たり触ったりした時に、人は「何かおかしいな。」と気付くのです。
再度結論を書けば、「1国における通用力を有する法定通貨の種類は少なければ少ないほどよい。」であるわけです。
再度結論を書きますと、
「新しい法定通貨が発行された後は、従前の法定通貨は『通用力を失う。』(従前の法定通貨はもはや法定通貨ではなくなる)」
という取り扱いにするということが、法定通貨の役割を考えた時に本質的に重要なことなのです。