2019年4月12日(金)



2019年3月30日(土)日本経済新聞
オリオンビール社長 与那嶺清さん
県民愛背負い「第2の創業」
(記事)





2018年12月18日(火)のコメントで、ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、
「有価証券の上場には4つのパターンがある。」という資料を作成し、以降、集中的に証券制度について考察を行っているのだが、
2018年12月18日(火)から昨日までの各コメントの要約付きのリンクをまとめたページ(昨日現在、合計115日間のコメント)。↓

各コメントの要約付きの過去のリンク(2018年12月18日(火)〜)
http://citizen.nobody.jp/html/201902/PastLinksWithASummaryOfEachComment.html


 



【コメント】
昨日2019年4月11日(木)のコメントでは、セブンイレブンの沖縄県への初出店について書いたわけですが、
沖縄県つながりということで、非上場企業であるにも関わらず公開買付が行われた沖縄県のオリオンビールの記事を紹介し、
オリオンビールの事例を題材にして証券制度について一言だけコメントを書きたいと思います。
2019年3月25日(月)のコメントで、私は次のように書きました。

>基本的には、非上場株式に出資をしている出資者は、既存株主の中で誰が大株主になり得るのかについては無関心です。

このように書いた理由について少しだけ訂正と補足をしたいと思います。
「非上場株式に出資をしている出資者は、誰が大株主になり得るのかについては無関心である。」と少しだけ訂正をします。
2019年3月25日(月)のコメントでは「既存株主の中で」と書いた理由は、
非上場企業における株式の譲渡は、実務上は既存株主間で行われることが多いからです。
非上場企業において、既存株主以外の投資家が既存株主から株式を譲り受けるということは、実務上は稀だと言えます。
なぜならば、非上場企業において、既存株主以外の投資家は誰が会社の株主かを通常は知らないからです。
次に、なぜ「非上場株式に出資をしている出資者は、誰が大株主になり得るのかについては無関心である。」のかと言いますと、
非上場企業の場合は誰が大株主になっても株式の流動性(言い換えれば株式の売却機会)は一定不変だと言えるからです。
逆に、上場企業の場合は誰が大株主になるかで株式の流動性(言い換えれば株式の売却機会)が変動するわけです。
上場企業に親会社といった特定の大株主がいる場合は、市場の投資家は発行者に関する将来の組織再編を意識してしまうわけです。
非上場企業では、そもそも株式の譲渡を前提としていないという側面もあります。
非上場企業において、既存株主以外の投資家が既存株主から株式を譲り受けるという事態は、現実には想定しづらいと思います。
非上場企業において、既存株主の誰かがいざ株式の譲渡を行うとなりますと、
通常は既存株主全員の同意を経た上でのことになると思います。
家族的な経営が行われている非上場企業において、他社との組織再編が行われることは実務上は稀なのです。
将来に組織再編を行うことを目的に非上場企業の株式を既存株主から譲り受ける投資家というのは現実にはいないと言えます。
非上場企業では、現実には、事業承継という場面でしか株式の譲渡は行われない、という言い方ができると思います。
上場企業への証券投資とは異なり、将来株式を売却することを念頭に非上場企業へ出資をするという出資者はいないわけです。
株式の流動性(言い換えれば株式の売却機会)に関心を持つ出資者は、非上場企業には始めから1人もいないのです。
オリオンビールの事例に即して言いますと、公開買付に応募をしなかったオリオンビールの株主の立場から見ますと、
オリオンビールの株式の流動性は公開買付前後で全く変わっていないわけです。
なぜならば、オリオンビール株式の流動性については、出資者は出資を引き受けた時から度外視していたからです。
少なくとも、「その後株式の流動性が減少するかもしれないからこれを機会に公開買付に応募をしよう。」と考えた投資家は、
オリオンビールの既存株主の中に1人もいなかった(株式の売却に関心がある既存株主は始めから1人もいなかった)わけです。
非上場企業において本質的に重要なのは、株式の流動性では全くなく、残余財産の分配や敢えて言うならば事業の継続なのです。
端的に言えば、非上場企業においては、株主構成(大株主がいるか否か等)では投資家の(株主の)投資利益は変動しないのです。

 

From a standpoint of residual shareholders of Orion Beer,
a liquidity of the shares or an opportunity to sell their shares is invariable before and after this tender offer.

オリオンビールの残りの株主の立場から見ると、
オリオンビール株式の流動性や所有株式の売却機会はこの公開買付の前後で一定不変なのです。