2019年4月6日(土)



2019年4月4日(木)日本経済新聞
開示データ加工 素早く 金融庁、電子システム刷新
(記事)





EDINET
ttp://disclosure.edinet-fsa.go.jp/

>EDINETに提出された書類がWebAPIで取得できるようになりました。
>
>平成31年3月17日からEDINETに提出された書類をAPIで取得できるようになりました。
>「EDINET API」として、次の2つのAPIを提供しています。
>○提出された書類を把握するためのAPI (日付ごとに提出された書類の情報を取得するAPI)
>○提供された書類を取得するためのAPI (提出本文書、添付文書等を取得するAPI)
>
>また、EDINET APIを使って効率的に書類を取得するためのサンプルプログラムも用意しております。
>EDINET APIの利用規約、仕様等については、
>トップメニューの「操作ガイド等」に掲載しているEDINET API関連資料をご参照ください。

 

 

2018年12月18日(火)のコメントで、ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、
「有価証券の上場には4つのパターンがある。」という資料を作成し、以降、集中的に証券制度について考察を行っているのだが、
2018年12月18日(火)から昨日までの各コメントの要約付きのリンクをまとめたページ(昨日現在、合計109日間のコメント)。↓

各コメントの要約付きの過去のリンク(2018年12月18日(火)〜)
http://citizen.nobody.jp/html/201902/PastLinksWithASummaryOfEachComment.html

 

 


【コメント】
紹介している2019年4月4日(木)付けの日本経済新聞の記事には、金融庁がEDINETを刷新した、と書かれていますが、
EDINETのサイトを見る限り、「刷新」という表現は言い過ぎではないかと思いました。
「刷新」とは「悪いところを改めて、全く新しくすること。」という意味ですが、実際には機能の追加に過ぎないと思います。
EDINETのサイトには、平成31年3月17日からEDINETに提出された書類をAPIで取得できるようになりました、と書かれています。
「API」というIT技術を活用すると、利用者が自分のニーズにあった法定開示書類を効率よく入手できるようになるとのことです。
しかし、個人的には、金融庁からこのたび提供されたこの「EDINET API」には実務上はほとんど意味がないと思います。
なぜならば、有価証券報告書を始めとする法定開示書類というのは、
「入手」よりも「精読」や「分析」の方に圧倒的に時間がかかるからです。
確かに、「EDINET API」を活用すると、投資家は書類の「入手」にかかっていた時間を10分から1分に短縮できるようになるでしょう。
しかし、たとえ「EDINET API」を活用しても、投資家が書類の「精読」や「分析」にかかっていた時間は、
数時間から1分たりとも短縮することはできないのです。
確かに、1893年当時はもちろんのこと、1999年当時から見ると、
「インターネットやEDINENTが誕生して、以前では全く考えられないくらい法定開示書類の入手に時間がかからなくなった。」
という状態に現在ではあるわけです(それこそ投資家にとっては「IT革命」と表現できる衝撃だったと言えます)。
1999年当時と比較すると、現在では、法定開示書類の入手にかかる時間は数時間以上から10分に一気に短縮されたわけです。
この10分が、「EDINET API」を活用すると1分に短縮されるわけです。
しかし、1893年であろうが1999年であろうが2019年であろうが、
投資家が法定開示書類の「精読」や「分析」にかかる時間は数時間から変わっていないわけです。
他社との比較分析まで考慮すると、投資家が法定開示書類の「精読」や「分析」にかかる時間は数日以上である、
と言っても決して過言ではないわけです。
投資家にとって、証券投資という意味では、法定開示書類の「入手」にかかる時間というのは全く本質的ではないわけです。
ですので、法定開示書類の「入手」にかかる時間は短ければ短いほどとよいわけです。
しかし、法定開示書類の「入手」にかかる時間が10分から1分になったところで、投資家にっては実務上は全く意味がありません。
投資家にとって、証券投資という意味において、本質的に重要なのは、法定開示書類の「精読」と「分析」なのです。
しかし、法定開示書類の「精読」と「分析」にかかる時間は、どのような技法やIT技術を用いても決して短縮できません。
法定開示書類の「精読」と「分析」にかかる時間は、最も規模が小さな発行者の場合でも3時間以上はかかります。
その3時間という時間は、どのような技法やIT技術を用いても1分も短縮できません。
なぜならば、法定開示書類の「精読」と「分析」は、生身の人間が行うからです。
法定開示書類の「精読」と「分析」にかかる時間はその「入手」経路や「入手」手段には依らないわけです。
端的に言えば、IT技術を活用すれば、法定開示書類の「入手」にかかる時間を短縮できるだけなのです。
投資家がある意味最も短縮したいと考えている時間は、絶対に短縮することができません。
法定開示書類の「精読」と「分析」にかかる時間は、1893年から変わっていませんし、将来的にも決して変わることはありません。
IT技術では代替できない活動(activities)というのは、現実には必ず残るのです。

 

An investor takes only a few minutes to acquire a legal disclosure document,
whereas more than several hours to peruse and analyze it.

投資家が法定開示書類を取得するのには数分しかかかりませんが、それを精読し分析するのには数時間以上かかるのです。