2019年3月24日(日)



2019年3月24日(日)日本経済新聞
オリオンTOB成立 野村・カーライル 買収総額570億円
(記事)





2019年3月6日(水)日本経済新聞
オリオン 薄氷の買収劇 ■「沖縄DNA」外資ファンド入りに抵抗 地方企業の承継、難しく
(記事)



 

2018年12月18日(火)のコメントで、ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、
「有価証券の上場には4つのパターンがある。」という資料を作成し、以降、集中的に証券制度について考察を行っているのだが、
2018年12月18日(火)から昨日までの各コメントの要約付きのリンクをまとめたページ(昨日現在、合計97日間のコメント)。↓

各コメントの要約付きの過去のリンク(2018年12月18日(火)〜)
http://citizen.nobody.jp/html/201902/PastLinksWithASummaryOfEachComment.html

 

 


オリオン買収成立 野村・カーライル株式公開買い付け 新設会社の子会社に

 野村キャピタル・パートナーズ(NCAP)とカーライル・ジャパンが進めたオリオンビール株式の公開買い付け期間が
22日に終了した。複数の関係者によると両社はオリオン株の3分の2以上を取得しているといい、買い付けは成立した。
オリオンは両社が設立した「オーシャン・ホールディングス」の子会社として事業展開する。
 公開買い付けはオーシャン社が手掛けており、最終的にオリオン株全ての取得を目指す。
公開買い付けの成立後、オーシャン社の所有株式が90%以上となった場合は、公開買い付けに応募しなかった株主に対して
株式の売り渡し請求を行う。90%未満だった場合は、株式併合などを実施し100%を取得できるようにする。
取得株の詳細は23日にオーシャン社が公表する。
 子会社化した後の事業計画などは、オーシャン社とオリオンで協議し決めるという。取締役の人数は10〜11人の予定で
3人をNCAP、3人をカーライル、3〜4人をオリオンから選出、アサヒビールから1人の社外取締役を迎え入れる。
 オリオンは1月の取締役会で株式の公開買い付けや子会社化を受け入れる方針を決めている。
NCAPやカーライルは経営参画後、5割を切っているオリオンの県内シェア回復や、海外での販売強化などを進める。
両社がオリオンの経営に携わる期間は5年程度の予定で、将来的な新規株式公開(IPO)を目指す。
(琉球新報 2019年3月23日 05:30)
ttps://ryukyushimpo.jp/news/entry-892583.html

 

 

オリオンビールTOB成立 株式84・21%取得 野村・カーライル 全株買い取りへ 買収総額570億円

 野村ホールディングス(HD)と米投資ファンド、カーライル・グループの共同出資会社は23日、
オリオンビール(浦添市)に対して1月から進めていた株式公開買い付け(TOB)が成立したと発表した。
オリオン株主からの応募数が発行済み株式総数の84・21%に達し、目標を上回った。
計画通り、追加の手続きでオリオン株を全て取得し、5年後の株式上場を目指して収益強化に取り組む。
 買収主体は、野村HD側が過半出資する特定目的会社(SPC)のオーシャン・ホールディングス(東京)。
TOB期限の22日までの株主からの応募分と、SPC傘下に収めた創業家系企業の持ち分を含めて92%を突破。
合計で3分の2と設定していた下限を超えた。
 支配的な立場になったため、残りの株主から強制的に株を買い取れるようになった。全株の買収額は約570億円。
 買収完了後はオリオンの嘉手苅義男会長がSPCに出資し、経営陣による「自社買収(MBO)」の手法を採る。
10%を出資してきたアサヒビールもTOBに応じた上でSPCに再出資し、商品開発などでの協力を継続。
少子化や缶酎ハイの台頭で国内ビール市場は縮小が続いており、海外事業の基盤を確立する。
 野村HDにとっては約10年ぶりの自己資金による投資。地域経済の活性化に向けた具体策が求められそうだ。
(琉球新報 2019年3月24日 11:32)
ttps://ryukyushimpo.jp/news/entry-893138.html

 

 


2019年3月25日
オリオンビール株式会社
オーシャン・ホールディングス株式会社による当社株券等に対する公開買付けの結果
並びに親会社、主要株主及び主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ
ttps://www.orionbeer.co.jp/utility/history/h2019/newsrelease_mbo20190325_1.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)




2019年3月23日
オーシャン・ホールディングス株式会社
オリオンビール株式会社(非上場)に対する公開買付けの結果に関するお知らせ
ttps://www.orionbeer.co.jp/utility/history/h2019/newsrelease_mbo20190325_2.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)





H31.03.25 12:00
オーシャン・ホールディングス株式会社
公開買付報告書
(EDINET上と同じPDFファイル)



H31.03.25 12:00
オリオンビール株式会社
臨時報告書
(EDINET上と同じPDFファイル)

 

 



【コメント】
野村證券グループと外資系投資ファンドによるオリオンビール株式会社株式に対する公開買付が終了した、とのことです。
「非上場株式に対する公開買付」ということで、証券制度に関する新しい理解のきっかけになる事柄が多いと思います。
また、発行者の所在地は沖縄県ということで、この点からも証券制度に関する新しい理解のきっかけになる事柄が多いと思います。
日本で公開買付制度が証券制度に導入されたのは1971年のことですのであまり参考にはならないかもしれませんが、
1893年当時の証券制度の観点から見てみますと、各当事者の法定開示書類の提出場所がズレていることに気が付きます。
発行者は沖縄総合事務局に法定開示書類を提出する一方、公開買付者は関東財務局に法定開示書類を提出している、
という状態であるわけです。
そして、公開買付者が法定開示書類を提出した関東財務局以外で法定開示書類を閲覧できる場所(【縦覧に供する場所】)として、
公開買付者は自社の所在地(東京都千代田区)を提出した法定開示書類に記載しています。
わざわざ【縦覧に供する場所】を設けるのであれば、発行者が所在する沖縄県内に設けるべきではないかと思いました。
それから、「証券制度が保護の対象とするべき範囲」について今日改めて考察を行いました。
「証券制度が保護の対象とするべき範囲」について次のような資料を作成しましたので、参考にして下さい。


理論的には、証券制度というのは、「特定少数の投資家」ではなく「不特定多数の投資家」を保護するものなのです。
In theory, the securities system protects not "a few and specified investors" but "many and unspecified investors."

「PDFファイル」

「キャプチャー画像」




私は以前、「『株式は上場か非上場か?』ではなく『株式は譲渡可能か譲渡不可能か?』で線を引くべきだ。」と書きました。
しかし、その考え方は少し正確ではないと今日は思いました。
証券制度上は、「投資家は『不特定多数』なのかそれとも『特定少数』なのか?」で線を引くべきだと今日は考えました。
「投資家は『不特定多数』である、だから、『ディスクロージャー』によって投資家を保護するのだ。」、
という論理の流れがあるという結論に今日は辿り着きました。。
すなわち、状況・場面次第では、「ディスクロージャー」以外の投資家保護策が観念できる、と私は思いました。
「ディスクロージャー」による投資家保護というのは、苦肉の策や窮余の策とまでは言いませんが、
「他に有効な手段がないので『ディスクロージャー』という手段を用いることにした。」、
という側面もあるように思いました。
今までは、「ディスクロージャー」ありきの議論ばかりをしていたと思います。
「投資家保護=ディスクロージャー」であったり「金融商品取引法=ディスクロージャーの法」といった具合に、
「ディスクロージャー」を大前提にした議論ばかりをしてきたわけです。
しかし、状況や場面によっては、「ディスクロージャー」以外の投資家保護策というのも観念できるように今日は思いました。
「ディスクロージャー」以外の投資家保護策といってもすぐには具体的に・詳細に挙げることはできないのですが、
少なくとも「投資家は不特定多数である。」という状態においては、現実に講じることができる証券制度上の施策としては、
「『ディスクロージャー』を通じた投資家保護しかない。」という言い方ができるのではないだろうかと今日は思いました。

 


Basically, investors who invest in an unlisted share are
indifferent to who can be a large shareholder among existing shareholders.
In theory, investors are only either specified or unspecified.
Please let me correct the mention above.
The most critical criterion is not "whether a share is listed or unlisted"
nor "whether a share is transferable or nontransferable"
but "whether investors are 'many and unspecified' or 'a few and specified.'"

基本的には、非上場株式に出資をしている出資者は、既存株主の中で誰が大株主になり得るのかについては無関心です。
理論的には、投資家には特定か不特定かしかありません。
上記の記述を訂正させて下さい。
最も決定的な判断基準は、「株式は上場しているのかそれとも非上場なのか」ではなく、
「株式は譲渡可能なのか譲渡不可能なのか」でもなく、「投資家は『不特定多数』なのか『特定少数』なのか」なのです。

 

In practice, a "disclosure" on the securities system is, as it were, the last resort.
For exmple, one idea is that the securities system legally places directors of an issuer under an obligation
to make a compensation for a loss to investors.
This is a problem of a definition "What is a securities investment?"

実務上は、証券制度上の「ディスクロージャー」は言わば最後の手段なのです。
例えば、1つの案は、投資家に対して損失補填を行う義務を証券制度が発行者の取締役に負わせる、というものです。
これは、「証券投資とは何か?」という定義の問題なのです。

 

The number of officials at a Local Financial Bureau is limited,
whereas the number of pieces of paper at a Local Financial Bureau is virtually unlimited.
Paper is a expendable,
whereas, in the real life, officials at a Local Financial Bureau can't explain about a securities investment one by one.

財務局の職員の人数には限りがあります。
しかし、財務局にある紙の枚数には事実上限りはないのです。
紙は消耗品です。
しかし、財務局の職員が証券投資について逐一説明をするということは現実にはできないのです。