2019年3月4日(月)


2019年2月14日(木)日本経済新聞
ホシザキが決算開示延期 子会社の不適切取引続き
四半期報告書の提出期限を延長 LIXILが1カ月
(記事)

 


2018年12月18日(火)のコメントで、ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、
「有価証券の上場には4つのパターンがある。」という資料を作成し、以降、集中的に証券制度について考察を行っているのだが、
2018年12月18日(火)から昨日までの各コメントの要約付きのリンクをまとめたページ(昨日現在、合計76日間のコメント)。↓

各コメントの要約付きの過去のリンク(2018年12月18日(火)〜)
http://citizen.nobody.jp/html/201902/PastLinksWithASummaryOfEachComment.html

 

 



【コメント】
3日前と一昨日と昨日のコメントを踏まえ、昨日のコメントに一言だけ追記をしたいと思います。
昨日のコメントでは、資格試験のテキストから株式公開時の創業者利潤についての説明をスキャンして紹介し、
次のように書きました(上がテキストの引用文で下がテキストの説明を基に自分で書きました文章です)↓。

>創業者が市場で持株を売却できる、ほぼ唯一の機会が株式公開の時である。

>株式公開の時というのは、会社創業者にとって所有株式を売却するほぼ唯一の機会です(2003年当時の規定)。

しかし、結論を先に言えばこれらの記述は間違いです。
現在の金融商品取引法のインサイダー取引規制においても2003年当時の証券取引法のインサイダー取引規制においても、
「創業者は株式公開の時以外は所有株式を売却することを禁止する」という旨の規定はありません。
所定のインサイダー取引規制を遵守しさえすれば、実は、創業者は株式公開の時以降も自由に株式を売却することができます。
現在の金融商品取引法のインサイダー取引規制においても2003年当時の証券取引法のインサイダー取引規制においても、
株式公開の時が会社創業者にとって所有株式を売却するほぼ唯一の機会であるなどということは全くありません。
「創業者が市場で持株を売却できる、ほぼ唯一の機会が株式公開の時である。」という旨の説明が
非常に多くの証券取引法の教科書で書かれていたわけなのですが、
実はそれらの教科書の大本になっている別の教科書がありまして、
その大本になっている別の教科書に「創業者が市場で持株を売却できる、ほぼ唯一の機会が株式公開の時である。」
と書かれていたものですから、連鎖的に多くの教科書でも間違った記述がなされてしまった、という経緯があったのです。
2003年当時、資格の学校の教室その他で、大本になっている教科書の記述が実は間違っていた、という話を聞きました。
実は、アメリカの証券制度では、「創業者が市場で持株を売却できる、ほぼ唯一の機会が株式公開の時である。」
という考え方になっているようです。
ニューヨーク証券取引所では今でも「創業者が市場で持株を売却できる、ほぼ唯一の機会が株式公開の時である。」
という規定になっているようです。
ナスダック市場では、所定のインサイダー取引規制を遵守しさえすれば、
創業者は株式公開の時以降も自由に株式を売却することができる、という規定になっているようです。
大本になっている教科書を執筆した人が、日本の証券制度もアメリカの証券制度と同じような考え方になっているのだろう
と早合点し、悪く言えば証券取引法の規定を十分には調べずに教科書に説明を書いてしまった、という経緯があったようです。
大本になっている教科書を執筆した人は「斯界の泰斗」なのでしょうが、この点については怠慢だったのでしょう。
それから、昨日は投資家保護上最も望ましい株式公開日(新規上場日)について書きましたが、現行の四半期報告制度を鑑みますと、
有価証券届出書の提出までのスケジュールは目が回るほどさらに"tight"(日程がいっぱいいっぱい)になります。
直前四半期の決算をも包含した「有価証券届出書」を提出した上で、本当に最大限早期に株式を公開しなければなりません。
極端なことを言えば、株式公開後、発行者が当期の四半期報告書の提出を延期するという事態も現に実務上は考えられます。
創業者株主の存在を所与のこととしますと、最大限投資判断の根拠を共通・同一にすることが証券制度上求められると思います。

 

It is not until an issuer discloses the existence of inappropriate accounting treatments
when investors in the market become aware of the fact.

発行者が不適切会計の存在を開示して初めて市場の投資家はその事実を知るのです。