2019年2月17日(日)

2015年12月2日
パイオニア株式会社
ドイチェ信託株式会社
ドイチェ信託株式会社によるパイオニア株式会社新株予約権付社債の買付けの決定に関するお知らせ
ttps://jpn.pioneer/ja/corp/news/press/2015/pdf/1202-1.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)




2015年12月2日
パイオニア株式会社
第三者割当による転換社債型新株予約権付社債の発行に関するお知らせ
ttps://jpn.pioneer/ja/corp/news/press/2015/pdf/1202-2.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)




2015年12月2日
パイオニア株式会社
第三者割当による転換社債型新株予約権付社債の発行条件等の決定に関するお知らせ
ttps://jpn.pioneer/ja/corp/news/press/2015/pdf/1202-3.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)




2015年12月18日
パイオニア株式会社
第三者割当による転換社債型新株予約権付社債の払込完了に関するお知らせ
ttps://jpn.pioneer/ja/corp/news/press/2015/pdf/1218-1.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)

 

 



デット・エクイティ・スワップに関する記事↓


2019年2月14日(木)日本経済新聞
韓国中堅造船、債務超過に 政府系金融、支援の意向
(記事)



2019年2月16日(土)日本経済新聞
印航空2位ジェット・エアウェイズ 銀行傘下で再建めざす
(記事)




固定資産税に関連する記事↓


2019年2月16日(土)日本経済新聞
所有者不明土地 権利制限を検討 国交省、緊急性が前提
(記事)


 

2018年12月18日(火)のコメントで、ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、
「有価証券の上場には4つのパターンがある。」という資料を作成し、以降、集中的に証券制度について考察を行っているのだが、
2018年12月18日(火)から昨日までの各コメントの要約付きのリンクをまとめたページ(昨日現在、合計61日間のコメント)。↓

各コメントの要約付きの過去のリンク(2018年12月18日(火)〜)
http://citizen.nobody.jp/html/201902/PastLinksWithASummaryOfEachComment.html

 

 



【コメント】
記事を紹介して、2019年2月15日(金)のコメント(パイオニア株式会社の非公開化の事例)に一言だけ追記をしたいと思います。
2019年2月15日(金)にパイオニア株式会社の非公開化の事例についてコメントを書いたわけですが、
パイオニア株式会社はファンドの完全子会社となる前段階として「デット・エクイティ・スワップ」を行う予定となっています。
今後、Wolfcrest Limitedがパイオニア株式会社の完全親会社となる計画となっているわけですが、
Wolfcrest Limitedはパイオニア株式会社に対して「貸付金債権」を有しています。
Wolfcrest Limitedはこの「貸付金債権」をパイオニア株式会社株式と交換する(「デット・エクイティ・スワップ」)わけです。
ここで、今日紹介している2019年2月14日(木)付けの日本経済新聞の記事と2019年2月16日(土)付けの日本経済新聞の記事を読んで
私は次のようなことを思いました。
「デット・エクイティ・スワップは、スワップにより発行される株式は市場に上場しているということが前提なのではないか。」
紹介している記事に即して言いますと、デット・エクイティ・スワップにより経営再建を図ろうとしている
韓国の韓進重工業もインドのジェット・エアウェイズも、どちらも上場企業なのではないだろうかと私は思うわけです。
デット・エクイティ・スワップを行う目的は、韓国の韓進重工業の債権者もインドのジェット・エアウェイズの債権者も、
どちらも簡単に言えば「貸付金の回収」だと私は思うわけです。
債務者である韓国の韓進重工業の債権者も債務者であるインドのジェット・エアウェイズの債権者も、借入金を返済できない、
だから、貸付金の返済に代わり市場で売却可能な株式を受け取ることで債権者は「貸付金の回収」を試みる、
というのがデット・エクイティ・スワップなのだと私は思います。
単刀直入に言えば、債権者は債務者に対する議決権が欲しいからデット・エクイティ・スワップを行うのではありません。
債権者は「貸付金の回収」を行いたいからデット・エクイティ・スワップを行うのです。
上場企業において、会社の経営陣に支払われる役員報酬を自社株式で支払うこと(いわゆる「株式報酬」)を、
「会社ではなく株式市場が経営陣に役員報酬を支払っている。」(経営陣は株式を市場で売るから)と表現されることがありますが、
この「株式報酬」になぞらえて言うならば、「デット・エクイティ・スワップ」では、
「債務者ではなく株式市場が債権者に貸付金の弁済を行っている。」と表現することができると思います。
債権者は債務者から貸付金返済の代替品として受け取った株式を市場で売却することで、「貸付金の回収」を図るわけです。
以上のようなことを考えますと、デット・エクイティ・スワップにより発行される株式は流通性が極めて高いことが求められます。
なぜならば、そうでなければ債権者は「貸付金の回収」が行えないからです。
経営再建という場面では、あたかも債権者が多くの議決権を握って経営再建を主導するかのように言われることがありますが、
債権者の主目的はあくまで「貸付金の回収」であると考えるべきだと思います。
簡単に言えば、「非上場企業ではデット・エクイティ・スワップが行われることはない。」と言えます。
非上場企業ではデット・エクイティ・スワップが行われることはない理由は、
経営上の理由(少数の株主のみで経営がなされることが前提。株主構成の変動を債務者が嫌がる)もないわけではないのですが、
より債権者の立場から言えば、「貸付金の回収」の可能性が理由なのです。
記事によりますと、韓国の韓進重工業の債権者もインドのジェット・エアウェイズの債権者も、どちらも銀行であるとのことです。
銀行であるならば、預金者からの預金の引き出しや預金者への払戻し(口座解約)に応じなければならないという点でも、
また、できる限り多くの貸出金利息を受け取ることが事業運営上当然のことながら求められるという点でも、
投資(資金の貸し出し)を株式に固定させるわけにはいかない(資金を株式として寝かせるわけにはいかない)わけです。
貸出金であれば返済期日に現金として返って来ます(つまり、銀行業として融資計画を立案したり預金者への対応を計画的に行える)。
しかし、株式の場合はいつ現金として返って来るか分かりません(つまり返済期日(現金に換わる日)という概念がないわけです)。
したがって、デット・エクイティ・スワップにより発行される株式には極めて高い流通性が実務上求められるのです。
それはイコール、デット・エクイティ・スワップにより発行される株式は上場株式であることが前提だ、という意味なのです。
銀行が債務者の議決権の51パーセントを取得(そして継続保有)したところで、少なくとも銀行経営上は何の意味もないのです。
債権者が債務者と関連の深い事業会社である場合は、「これを機に子会社化する。」、ということがないとは言い切れませんが。

 



関連する論点になりますが、2019年2月15日(金)のコメントでは、
2018年12月20日にパイオニア株式会社が発表したプレスリリース
「120%ソフトコール条項付第1回無担保転換社債型新株予約権付社債(転換社債型新株予約権付社債間限定同順位特約付)の
転換価額の修正に関するお知らせ」
を紹介しました。
今日最初に紹介している4つのプレスリリースは、この転換社債型新株予約権付社債が発行された時の一連のプレスリリースです。
プレスリリースを読みますと、若干分かりづらいのですが、一言で言いますと、
この転換社債型新株予約権付社債の引受人はドイツ証券株式会社です。
2015年12月2日に発表されたプレスリリース
「ドイチェ信託株式会社によるパイオニア株式会社新株予約権付社債の買付けの決定に関するお知らせ」を読みますと、
ドイチェ信託株式会社がこの転換社債型新株予約権付社債を買い付ける、という旨の記述があるのですが、
どういう意味なのかよく分からないというのが率直な感想です(以下、当該社債の保有者は便宜上ドイツ証券株式会社とします)。
それで、なぜこの転換社債型新株予約権付社債に関するプレスリリースを紹介しているのかと言えば、
先ほどの「デット・エクイティ・スワップ」の議論と密接に関連があることなのですが、
「転換社債型新株予約権付社債の転換により発行される株式は市場に上場していることが実務上は前提である。」、
と私は思ったからです。
転換社債型新株予約権付社債の債権者(引受人、社債保有者)の立場から言いますと、
簡単に言いますと、債権者は何らかの手段で投資の回収を図らなければならないわけです。
債権者が投資の回収を図る手段は2つに1つしかありません。
@社債(元本)の返済を受けるか、A転換により取得した株式を売却するか、しかありません。
ここで、転換により取得した株式を売却することができないとは、
債権者にとっては投資の回収そのものができない、ということを意味するのです。
上場株式であれば債権者は転換により取得した株式を売却することができます。
しかし、非上場株式の場合は、転換により取得した株式を売却することができる可能性は著しく低いのです。
そして、株式には弁済期日(現金に換わる日)というものも通常はありません。
つまり、株式の場合は、「満了」("expire")による投資の回収は通常は不可能だ、ということです。
株式の場合は、「売却」("exchange")による投資の回収しか通常はできないのです。
パイオニア株式会社は今後非公開化される予定となっています。
ファンドが主導・出資して非公開化がなされますので、パイオニア株式会社の非公開化は将来の再上場が大前提だと言えるでしょう。
したがって、その意味では、幸か不幸か結果的には、長期的には(将来の再上場のことを考慮に入れれば)、
債権者(引受人、社債保有者)であるドイツ証券株式会社はこの社債への投資の回収を図ることができる、と言えます。
しかし、仮に、パイオニア株式会社が将来の再上場を予定していないとなりますと、現実には、
債権者(引受人、社債保有者)であるドイツ証券株式会社はこの社債への投資の回収を図ることができない、ということになります。
一般的な言い方をすれば、「転換社債型新株予約権付社債を発行している発行者は株式の非公開化を実施することができない。」
という言い方が投資家保護の観点からは言える(証券制度上の理由から株式の非公開化は認められない)と思います。
端的に言えば、転換社債型新株予約権付社債がある状態では、証券制度からは「市場に投資家がまだ残っている。」と見えるのです。
社債発行の条件次第ではあるのですが、通常は転換社債型新株予約権付社債は株式への転換を相当程度前提としている、
という言い方ができると思います(そうでなければ、発行者は普通社債を発行するでしょうし債権者も普通社債を望むでしょう)。
発行者にとっても債権者(引受人、社債保有者)にとっても、普通社債の発行ではなく転換社債型新株予約権付社債の発行に
メリットがあるからこそ、転換社債型新株予約権付社債の発行について合意に至った、と実務上は考えられるわけです。
そして、「株式報酬」や「デット・エクイティ・スワップ」になぞらえて言うならば、
この時、発行者の社債は、債務者である発行者ではなく、株式市場が債権者に返済するのです。

 



それから、固定資産税についてですが、紹介している2019年2月16日(土)付けの日本経済新聞の記事(所有者不明土地について)
を読んでいて、あることを思い出しました。
それは、以前も少しだけ書いたことがあるのですが、
「固定資産税を土地所有者に課している理由は、所有者不明の土地を現実に生じさせないようにするためだった。」
という点です。
本来固定資産税(の金額)は資産価値を反映したものでは全くない、という話を聞いたことを記事を読んでいて思い出しました。
元来、固定資産税の課税標準は土地の面積のみであったようで、土地の価格は固定資産税の課税標準ではなかったようです。
東京の一等地の土地であろうが人もいないような片田舎の土地であろうが、
土地の面積が同じなら固定資産税の課税額は同じであった、という話を聞いたように思います。
土地は、地番(「一筆」)毎に分かれている(区分されている)わけですが、
土地の「一筆」の固定資産税の課税額は日本全国で全く同じ(均一の課税額)、という考え方の方がより理論的な気もしますので、
実は土地の面積は課税額に関係なかったかもしれないなと今思っている(どちらだったから記憶があいまいですが)のですが、
とにかく元来的には固定資産税の課税額は日本全国どの土地でも(ほとんど)同じであった、という話を聞きました。
元来的には、土地所有者が固定資産税を納付しなかった場合は、権利制限も何も、その土地の所有権そのものを失っていたのです。

 


A debt-equity swap presupposes that shares to be issued through the swap are listed in the market.
For a debt has its own expiry date in it, whereas a share doesn't have its own expiry date.
From a standpoint of a creditor, he tries to recover his investment in a receivable (i.e. usually, a lending)
through an "exchange" instead of the "expiry."
From a standpoint of a creditor, the purpose of a debt-equity swap lies
not in the acqusition of an influence over a debtor
but in the pursuit of a higher possibility of his reccovering his investment.

デット・エクイティ・スワップは、スワップにより発行される株式は市場に上場しているということが前提なのです。
というのは、債務には固有の満了期日がありますが、株式には固有の満了期日はないからです。
債権者の立場から言えば、債権者は債権(すなわち、通常は貸付金)への投資を、
その「満了」の代わりに「売却」によって回収しようとするのです。
債権者の立場から言えば、デット・エクイティ・スワップを行う目的は、
債務者に対する影響力を持つことではなく、投資を回収する可能性をより高めることなのです。

 

Originally, the payment of the fixed assets tax which an owner of lands must pay to the tax authorities used to be
a fixed tax base (a uniform amount) times the number of the parcels (the number of lands which the tax-payer owns).

元来的には、土地所有者が税務当局に納付をしなければならない固定資産税の納税額は、
所定の課税標準額(ある均一の金額です)かける筆数(当該納税者が所有している土地の数)であったのです。