2019年2月16日(土)



今日は、記事を紹介して知的財産権について一言だけコメントを書きたいのですが、
その前に一昨日と昨日のコメントに一言だけ追記をしたいと思います。

 

2018年12月18日(火)のコメントで、ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、
「有価証券の上場には4つのパターンがある。」という資料を作成し、以降、集中的に証券制度について考察を行っているのだが、
2018年12月18日(火)から昨日までの各コメントの要約付きのリンクをまとめたページ(昨日現在、合計60日間のコメント)。↓

各コメントの要約付きの過去のリンク(2018年12月18日(火)〜)
http://citizen.nobody.jp/html/201902/PastLinksWithASummaryOfEachComment.html

 

一昨日と昨日のコメントに一言だけ追記をしたいのですが、
株式交換の効力発生日が「2019年4月1日」である出光興産株式会社と昭和シェル石油株式会社の株式交換の事例では、
2019年6月下旬に開催される出光興産株式会社の定時株主総会には、
「2019年3月31日」現在の出光興産株式会社の株主のみが出席をすることができ、
「2019年3月31日」現在の昭和シェル石油株式会社の株主は出席をすることができない、ということになります。
「2019年4月1日」に出光興産株式会社と経営統合を行った(そして現に「2019年4月1日」に出光興産株式会社株式を手にした)のだから、
「2019年4月1日」以降に開催される出光興産株式会社の株主総会には自分は出席することができるだろう、と思っても、
株式交換実施前の昭和シェル石油株式会社の株主は2019年6月下旬に開催される出光興産株式会社の定時株主総会には出席できない、
ということになります。
逆から言えば、2019年6月下旬に開催される出光興産株式会社の定時株主総会には、
「2019年3月31日」現在の出光興産株式会社の株主しか出席をすることができませんので、経営統合後の会社に関することですが、
今後の経営体制その他(取締役の選任や株主に諮るべき案件等)に関しては経営統合前の株主だけで採決を取ることになります。
定時株主総会が開催される2019年6月下旬の出光興産株式会社の株主名簿と
その定時株主総会に出席をする株主に関する株主名簿とに差異があるわけです。
仮に、出光興産株式会社と昭和シェル石油株式会社の経営統合が株式交換ではなく合併であれば、
2019年6月下旬に開催される出光興産株式会社の定時株主総会には、
「2019年3月31日」現在の出光興産株式会社の株主は出席をすることができますし、
「2019年3月31日」現在の昭和シェル石油株式会社の株主も出席をすることができる、となります。
なぜならば、合併では、株主名簿もそのまま合算されるからです(概念的に言えば、合併では株主は異動しないのです)。
経営統合の実施日が事業年度の開始日の場合は、「基準日」に注意をしなければなりません。
かと言って、パイオニア株式会社の事例のように、経営統合の実施日を決算日である「2019年3月31日」にする、
というのは実務上は違和感があると個人的には思います。
統合新会社としての会社の事業期間が1日間だけになってしまうからです。
経営統合の実施日はやはり事業年度の開始日であるべきだと思います。
経営統合後の経営体制その他(取締役の選任や株主に諮るべき案件等)に関しては、
経営統合後速やかに(たとえば、基準日を経営統合実施日である「2019年4月1日」に設定するなどして)臨時株主総会を招集して、
経営統合後の全株主で採決を行っていくようにするべきだと思います。


 


2019年2月16日(土)日本経済新聞
商品デザイン シリーズで保護 意匠法改正案 出願、10年間に延長
(記事)


2018年11月6日(火)日本経済新聞
全ての元号 商標不可に 政府が新審査基準
(記事)


2018年9月17日(月)日本経済新聞
色彩の商標登録 ハードル高く 3年で4件、単色はゼロ 消費者の認知度がカギ
(記事)


2018年5月20日(日)日本経済新聞
店舗デザインも保護 意匠権、対象広げ模倣防ぐ 特許庁方針
(記事)


2018年4月6日(金)日本経済新聞
ソフトバンク 子会社にブランド使用権 前期単独、特別益3500億円 連結での影響は軽微
(記事)

 

 


2017年6月30日(金)日本経済新聞
商標出願、最多に 昨年14万件 中小企業けん引
(記事)




2017年6月21日(水)日本経済新聞
無関係の商標出願に対策 却下待たず次の審査 特許庁
(記事)


2017年6月5日(月)日本経済新聞
新商標 普及急ピッチ 音・動き・色彩 増える登録、活用は模索
(記事)


2017年5月18日(木)日本経済新聞
「グーグル」商標権認める 米連邦高裁が判決 「ググる」は浸透してきたが・・・
(記事)


2017年5月15日(月)日本経済新聞
日本の特許訴訟 「勝訴率」実は低くない? 和解含めると4割に
(記事)

 

 



【コメント】
知的財産権についての記事を計10本紹介していますが、「会計学辞典」からも関連する解説をスキャンして紹介したいと思います。

「会計学辞典 第五版」 森田哲彌、宮本匡章 編著 (中央経済社)

「商標権」("Trademark Right") 

「特許権」("Patent Right") 

「知的財産権」("Intellectual Property")

2008年8月時点の法令等に準拠している辞典ですので、現行の法令等にも準拠しているというわけではない点に注意して下さい。
紹介している記事の中には、知的財産権に関連する訴訟や判例に関する記事や、特許や商標や意匠に関連する特許庁による審査等
に関する記事があるわけですが、知的財産権(特許権、商標権、意匠権、著作権等)の分野というのは、
法律の分野の中でもその判断が極めて属人的になりがちな分野だと思います。
「法治」という言葉の対義語に「人治」という俗語がありますが、知的財産権(特許権、商標権、意匠権、著作権等)の分野
というのは、結局「人」が自らの視座・見識・都度の調査内容でもって判断を行うという傾向が極めて強いと思います。
その理由は極めて簡単であり、知的財産権の関する法律(特許法、商標法、意匠法、著作権法等)というのは、
本質的に知的財産権とよばれるものを抽象的に定義することしかできないからです。
例えば特許法は、「このような類のものを特許と言います。」と定義・表現しているだけなのです。
具体的にどのような発明を特許と見なすのかは、特許庁の職員が審査して判断することなのです。
悪い言い方をすると、ある発明が特許が否かは特許庁の職員の主観的判断という部分がある、という言い方ができるわけです。
例えば、「全ての元号は商標登録できない。」という規定であれば判断の分かれようのないくらい明確であるわけですが、
どのような発明が特許でありどのようなマーク類が商標でありどのようなデザインが意匠であるのかに法律上の答えはないわけです。
いわゆる「裁判」という時点で、「法治主義」ではなく実は「人治主義」の側面が必然的にあるわけです(人が判断するから)。
知的財産権の場合は、事の始まり(知的財産権の発生(例えば特許権の「登録」))からして「人治主義」であるわけです。
一般には権利というのは法律の規定に従い自然に発生するのに対し、知的財産権は権利発生が人に依存しているわけです。
知的財産権が法律の規定に従い自然に発生するということは本質的にあり得ないわけです。
裁判と呼ばれるものも、法律の規定に従い自然に(換言すれば「一意に」)決着が付く、ということは本質的にあり得ないわけです。
裁判というものは、本質的に、法律の条文そのものではなく、法律の条文の周辺(換言すれば「解釈」等)を争うものなのです。
とは言うものの、そもそもありとあらゆることを事前に法律に記述できるわけではないので、現実には致し方ないのでしょうが。

 

Extremely speaking, a patent merely seems a patent to one officer at the Patent Office.

極端なことを言えば、特許権というのは特許庁のある職員にとっては特許権に思える(特許権らしい)というだけなのです。


Currently, a designation of the current era can't be used in a trademark.

今現在は、現在の元号を商標に用いることはできません。