2019年2月13日(水)



2019年2月13日(水)日本経済新聞
米金融 新興証取が活性化 長期保有で優先議決権 分析データ提供料安く 利用者目線で大手に対抗
(記事)





About Cboe Global Markets, Inc.
ttp://www.cboe.com/aboutcboe

 

Cboe History
ttp://www.cboe.com/aboutcboe/history

>1973
>Cboe is founded and becomes the first marketplace for trading listed options.

>1974
>New Cboe trading floor opens - it's a "deck floor" over the main trading floor at the Chicago Board of Trade.


【参謀訳】
1973年
CBOEが設立され上場オプションを取引するための最初の市場になりました。

1974年
CBOEの新しい立会場がオープンしました。新しい立会場はシカゴ商業会議所の本立会場の階上にある「デッキ・フロア」です。

 

 

2018年12月18日(火)のコメントで、ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、
「有価証券の上場には4つのパターンがある。」という資料を作成し、以降、集中的に証券制度について考察を行っているのだが、
2018年12月18日(火)から昨日までの各コメントの要約付きのリンクをまとめたページ(昨日現在、合計57日間のコメント)。↓

各コメントの要約付きの過去のリンク(2018年12月18日(火)〜)
http://citizen.nobody.jp/html/201902/PastLinksWithASummaryOfEachComment.html

 

 



【コメント】
昨日は、アメリカの証券制度や証券制度上の「投資家と投資家との関係」の位置付けについて考察を行いました。
一言で言えば、「市場の他の投資家はそうではないという場合は、たとえ『投資家と投資家との関係』に過ぎない取引であろうとも
証券制度上は認められない(証券制度では、投資家の「個性」は排除して考える)。」、という結論になります。
簡単に言えば、「市場では投資家は皆同じで(同じ条件で)なければならない。」、という結論になります。
それで、今日は、アメリカの証券制度に関する興味深い記事が載っていたのですが、記事の冒頭を引用したいと思います。

>米国で証券取引所を新設する動きが相次いでいる。シリコンバレーの有力企業家らは、長期保有の株主に議決権を多く与える
>仕組みを提唱。米証券取引委員会(SEC)に新取引所の認可を申請した。金融大手グループもコストの低減を狙った取引所をつくる。

記事によりますと、「ロングターム証券取引所(Long-Term Stock Exchange)」という名称の証券取引所が設立されるとのことです。
この証券取引所では、投資家に株の長期保有を促す上場規則となるようなのですが、記事には次のように書かれています。

>LTSEの特徴は人事や資本政策、合併・買収といった会社の重要事項に賛否を投じられる議決権を長期保有の投資家に優先的に
>配分するルールだ。LTSEに上場する企業の株を持つ投資家は、保有期間が長いほど多くの議決権を手にできる。

株主が株式を保有する期間が長期間になれば長期間になるほど株主が行使できる議決権の個数が比例して増加する、
というルールはいくつかの場面で見たことがあります。
例えば、フランスでは、フロランジュ法という法律で長期保有の場合は株主が行使できる議決権の個数が増加する旨
定められていますし、また、アメリカでは、会社の定款にその旨定めれば同様の効果を生じさせることができるようです。
会社法で定めるにせよ定款に定めるにせよ、その是非はともかく、その取扱いの意味は分からないわけではありません。
しかし、上場規則で長期保有の場合は株主が行使できる議決権の個数が増加すると定めるというのは
どこかおかしいような気がします。
その理由は、端的に言えば、上場規則というのは「市場における株式の取扱い」に関する規則だからです。
他の言い方をすれば、上場規則というのは「市場における株式の取引」に関する規則だからです。
「投資家が市場で株式の取引を行うに際しては、発行者や投資家はこのようなルールを守らなければならない。」、
という「株式市場におけるルール」を定めたものが上場規則であるわけです。
簡単に言えば、「株式と株主との関係」を定めたものが上場規則ではないわけです。
かつての「市場集中原則」を思い起こしますと、理論的には、証券取引所というのは「株主名簿」には関与しない、
ということであるような気がします。
もちろん、株式の取引に伴い、株主の名義は都度書き換えねばなりませんが、
それは株式の所有権を明確にするための手続きに過ぎず、それは少なくとも証券取引の本質部分ではないわけです。
少なくとも証券取引という観点から言えば、「投資家が市場で株式の取引をするのに株主名簿は不要である。」、
という言い方ができるように思います。
仮に証券取引所が株主名簿に関与するならば、「大株主の状況」は証券取引所が公表するという開示制度でもよいはずですが、
「大株主の状況」は発行者が開示する制度となっています。
その理由は、株主名簿は発行者(もしくは株主名簿管理人)が管理するからであるわけです。
実務上は、窓口となる証券会社や証券取引所や株主名簿管理人が一体となって安全かつ円滑に株主名簿の書換は行われる
わけなのですが、株主名簿はあくまで発行者(もしくは株主名簿管理人)が管理するわけです。

 



そして、仮に、証券取引所が定める上場規則に長期保有の場合は株主が行使できる議決権の個数が増加すると定めるならば、
今後は株主名簿は証券取引所が管理しなければならない、という考え方になると思います。
そして、株式事務も証券取引所が担う、というようなことになると思います。
なぜならば、そうでなければ長期保有株主が行使できる議決権の個数が増加しているかどうか証券取引所には分からないからです。
上場規則とは、発行者の自主性には任せない、という意味ではないでしょうか。
仮に、証券取引所が定める上場規則に長期保有の場合は株主が行使できる議決権の個数が増加すると定めるならば、
証券制度の枠組みとしては、株主名簿は証券取引所が管理するという体制になるように思います。
「1株式=1議決権」と決まっている場合は、株主名簿を証券取引所が管理しなくても投資家の利益は保護されます。
なぜならば、その場合は会社制度(会社法)により株主の利益が保護されるからです。
つまり、株主が自分の所有議決権の個数が分からないということは会社制度上あり得ないからです。
しかし、保有期間に応じて行使できる議決権の個数が増加するとなりますと、
通常は株主は自分の所有議決権の個数が分からないことになります。
会社法や定款で定めた場合は、株主は会社を信頼するという考え方になりますが、
上場規則で定めた場合は、投資家保護の観点から別途議決権の個数の計算に関する担保が証券制度上求められるように思います。
「こうでなければ投資家の利益は保護されない。」、と考えてルールを定めるのが上場規則です。
証券制度や上場規則は、その前段階として、会社制度(会社法)に必然的に依存する部分があるわけです。
会社制度(会社法)とは無関係に証券制度や上場規則があるわけではないわけです。
会社制度(会社法)の趣旨から言って依存してよい点については証券制度や上場規則は依存しますが、
会社制度(会社法)にない事柄については、証券制度で担保を図る、という考え方になると思ったわけです。
私が今言っていることは、市場の投資家の立場から見ると分かりやすいかもしれません。
投資家から見ると、会社法に規定がある場合は、長期保有の際に議決権の個数が増加することについては、
会社制度上の保証があると思えるわけですが、上場規則のみに規定がある場合は、
長期保有の際に議決権の個数が増加することについては、何らの保証もないように思えるわけです。
「実務上、上場企業がそんなことするわけないじゃないか。」というのは性善説に立った考え方でしょう。
証券制度というのは、会社制度以上に性悪説に立つことが求められるのではないでしょうか。
また、理論的枠組みとしても、その上場規則では、証券取引所が株主名簿に関与している、と感じるわけです。
「1株式=1議決権」と決まっている場合は、証券取引所は株主名簿に関与せずとも投資家の利益を保護できるのです。
会社制度上担保されている部分については証券制度もその担保を信頼し依存もしますが、
会社制度上担保されていない部分については証券制度が別途担保する仕組み整えなければならない、と私は思うわけです。
一言で言えば、「会社法に規定があるというのは証券制度上も本質的な意味がある(証券制度はその規定に依存できる)。」わけです。
「発行者を信じてよいのは会社法に規定がある事柄のみである。」という言い方ができると思います。
「会社と株主との関係」と「発行者と投資家との関係」は異なる、と考えるのが証券制度である、と言い方もできると思います。
投資家の利益保護に重点を置いた諸施策を追加的に講じるのが証券制度であり上場規則だと私は思います。
簡単に言えば、証券制度も会社法の規定を前提にしていると言えますので、
会社法に規定がない場合は証券制度により投資家から見て担保されていると見えるだけの仕組みを整える必要があるわけです。
「株主名簿の管理者を変える」というのは会社制度上も非常に大きな変更点になりますので、整合性や厳密性を求めるならば、
証券取引所の上場規則だけで長期保有の場合は株主が行使できる議決権の個数が増加すると定めることは
実は現実には不可能なことだと言わねばならないと思います。
会社法に定めるとは、証券制度から見ると発行者や株主名簿管理人を少なくともその点に関しては無条件に信頼する、
という意味なのです。

 

 


それから、昨日のコメントでは、次のように書きました。

>現在のアメリカ証券制度では、証券取引所間の上場規則の相違が実は非常に大きい、ということなのではないかと思います。

このことと少しだけ関連があると言えると思うのですが、紹介している記事には次のようなことが書かれています。

>他の取引所の上場銘柄も自由に扱えるルールもあり、新興勢が参入しやすい。

今日書きました議論を踏まえますと、
ある証券取引所の上場規則では投資家保護が十分に図られているが他の証券取引所の上場規則では投資家保護が十分には計られていない、
という事態が生じ得る、ということになります。
そうしますと、極端な話ですが、同一上場銘柄に関して、
ある証券取引所では取引が認められるが別の証券取引所では取引が認められない、ということがあり得るということになります。
市場の多様性を追求するのも1つかもしれませんが、証券取引所間で上場規則に差異があるのは理論的にはおかしいのでしょう。
それから、記事には「シカゴ・オプション取引所」という証券取引所が載っています。
「CBOE」と略されるようですが、運営会社は「Cboe Global Markets, Inc.」であるとのことです。
「CBOE」の「B」は何を意味するのだろうかと思ったのですが、次のサイトに答えが載っていました。


シカゴ・オプション取引所(CBOE)
(iFinance マーケット用語集)
ttps://www.ifinance.ne.jp/glossary/market/mar191.html

>英語名:Chicago Board Option Exchange(CBOE)


それから、正確な英語ではなく、率直に言えば間違った英語なのですが、次のような英文がある英和辞書に載っていました。

A variety of hooks are used, each for a different kind of fish.
(魚の種類によって使用される釣り針はいろいろである。)

文法的には間違っているのですが、紹介している記事に即してなぞらえて書くならば、次のような英文になるのかもしれません。

A variety of securities exchanges are used in U.S., each for a different kind of issuer.
(米国では発行者の種類によって使用される証券取引所はいろいろである。)

 

 


Fundamentals of an issuer on the secrutities system have already been determined by the Companies Act, actually.

証券制度上の発行者の基礎的部分は、実は会社法で既に決まっているのです。

 


The securities system presupposes the prescriptions of the Comanies Act, actually.
In other words, the securities system  places its reliance on the prescriptions of the Comanies Act.
If the securities system intends to protect interests of investors
against matters which the Companies Act doesn't prescribe,
the securities system itself must construct an new additional mechanism at least in that field.

実は、証券制度は会社法の諸規定を前提にしているのです。
他の言い方をすれば、証券制度は会社法の諸規定に依存をしているのです。
証券制度が会社法には規定がない事柄に対して投資家の利益を保護しようとするならば、
少なくともその分野に関しては証券制度は自分自身が新たな追加的な仕組みを構築しなければなりません。