2019年2月1日(金)


今日は、昨日のコメント(武田薬品工業株式会社が米国預託証券をニューヨーク証券取引所に上場させたという事例)
に一言だけ追記をしたいと思うのですが、今日は次のような過去の一連のコメントのリンクを集めたページを作成しました。
昨日までは過去のコメントのリンクを毎日書いていたのですが、冗長ですので、1ページのまとめることにしました。
今日からは次のページに過去のリンクを追記していきたいと思います。


2018年12月18日(火)のコメントで、ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、
「有価証券の上場には4つのパターンがある。」という資料を作成し、以降、集中的に証券制度について考察を行っているのだが、
2018年12月18日(火)から昨日までの各コメントの要約付きのリンクをまとめたページ(昨日現在、合計45日間のコメント)。↓

各コメントの要約付きの過去のリンク(2018年12月18日(火)〜)
http://citizen.nobody.jp/html/201902/PastLinksWithASummaryOfEachComment.html


今日書きたいことというのは、シャイアーとの経営統合に伴う米国預託証券の発行・割当についてです。
昨日も引用しましたが、昨日紹介しました2018年12月20日(木)付けの日本経済新聞の記事には、次のように書かれています。

>シャイアー株主は受け取る新株を日本の武田株かADSで選択できる。

また、昨日紹介しました2019年1月11日(金)付けの日本経済新聞の記事には、次のように書かれています。

>旧シャイアーの株主は5割超がグローバルな機関投資家だった。
>その中には投資対象を欧州株や米国株に限定しているファンドもあり、受け取った武田株を売却する可能性がある。

論点を一言で言いますと、@「武田薬品工業株式」を希望するシャイアー株主に武田薬品工業株式を割り当てるのは容易だが、
A原株式の「米国預託証券」を希望するシャイアー株主に「米国預託証券」を割り当てるのは、
実は非常に"tricky"(扱いにくい)である、ということです(悪く言えば、株式の交換に「ごまかし」があると言えます)。
次のような概念図を書いてみましたので、理解のヒントにして下さい。

「武田薬品工業株式会社は、一旦預託銀行であるニューヨークメロン銀行に武田薬品工業株式を割り当てる流れになる。」

A原株式の「米国預託証券」を希望するシャイアー株主の会計処理や税務上の取り扱いはまだ合理的な説明が付けられますが、
武田薬品工業株式会社と預託銀行であるニューヨークメロン銀行の会計処理や税務上の取り扱い(それぞれの発行価額や取得原価等)
については合理的な説明は付けられないと思います。
また、現在、株主名簿上は、武田薬品工業株式会社の筆頭株主は預託銀行である米国のニューヨークメロン銀行になると思います。
たとえシャイアー株主が受け取った「米国預託証券」をニューヨーク証券取引所で売却しても、
株主名簿上は武田薬品工業株式会社の株主は預託銀行である米国のニューヨークメロン銀行のままなのです。


It is not an issuer itself in Japan but a depositary bank in U.S. that issues an American Depositary Receipt.

米国預託証券を発行するのは、日本にいる発行者自身ではなく、米国にある預託銀行なのです。