2018年9月16日(日)



2018年9月12日(水)日本経済新聞
地銀株PBR、0.4倍割れ 際立つ割安感 低金利で収益低迷続く しぼむ再編、投資家敬遠
市場点描 マーケットの話題
金融所得課税上げ、市場は懸念
(記事)




2018年9月13日(木)日本経済新聞
長崎2行統合で地銀協会長 承認「特別な審査結果」 「先例」見解は否定
(記事)



「『株式の取得価額』は、連結子会社化の結果生じる経営上のシナジーの大きさ(金額)に影響は与えない。」という点と、
「事業継続途中の貸借対照表の純資産の金額は、会社の解散価値(株式の本源的価値)を表すわけではない。」、
という点について指摘をした昨日のコメント↓。

2018年9月15日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201809/20180915.html

 

 


【コメント】
昨日のコメントでは、元来的な・簡略な株式会社制度を想定し、会社の解散価値(株式の本源的価値)について考察を行いました。
会社の解散価値についての記事がありましたので紹介をし、一言だけコメントを書きたいと思います。
紹介している2018年9月12日(水)付けの日本経済新聞の記事の冒頭には、地方銀行株の動向(株価水準)について、
全ての地銀が解散価値を下回る状態が続いており、PBR(株価純資産倍率)の平均は0.4倍未満である、と指摘されており、
本文中にはより詳細に次のように書かれています。

>大半の地銀の財務は健全だ。
>それでも株価が上昇しないため、1株当たり純資産と比べるとPBRは全上場地銀で1倍を下回り、8割では0.5倍以下だ。
>PBRは1倍以下だと現状で企業を解散してもお釣りがくるという状態で、平均で0.4倍というのは異常といえる。
>全上場銀行株でも1倍を上回るのは、セブン銀行とあおぞら銀行だけだ。
>解散価値を下回る割安ならば本来は買収の思惑も高まる。

この記事を読んで、全ての地方銀行のPBR(株価純資産倍率)が1倍未満の状態になっている、と知って驚きました。
さらに、地方銀行だけではなく銀行全てで言っても、
セブン銀行とあおぞら銀行を除く全ての銀行のPBR(株価純資産倍率)が1倍未満の状態になっている、と知ってさらに驚きました。
PBR(株価純資産倍率)が最も低い銀行は高知銀行であり、0.19倍とのことです。
地方銀行を中心に、銀行株のほとんどが株価が著しく低い水準で推移している状態にあるわけです。
銀行株のPBR(株価純資産倍率)が1倍未満の状態になっている理由については私には分からないのですが、
昨日も書きましたように、貸借対照表の純資産の金額は、会社の解散価値(株式の本源的価値)を表すわけではありません。
したがって、たとえPBR(株価純資産倍率)が1倍未満の状態であろうとも、
株価が解散価値を下回って推移をしている、ということを意味しているわけでは決してないのです。
記事には、地方銀行を取り巻く競争環境について次のように書かれています。

>地銀は低金利によって厳しい事業環境が続く。

地方銀行の収益性は今後も低迷し続けると市場の投資家は判断しており、さらに、
地方銀行は当期純損失を慢性的に計上するようになり、その結果、長期的には平均して純資産の60パーセントが失われるであろう、
と市場の投資家は予想をしている、と株価の動向を分析するべきだと思います。
例えば、高知銀行は、当期純損失を慢性的に計上するようになる結果、長期的には純資産の81パーセントが失われる、
と市場の投資家は予想をしている、と株価の動向を分析するべきだと思います。
例えば、当期純損失を計上する結果、高知銀行が遠い将来の時点において合計して現在の純資産の金額の81パーセントを失うと、
その時PBR(株価純資産倍率)はちょうど1倍になるわけです。
市場の投資家が会社の解散の時のことまで予想し株式の取引に織り込んでいるとすると、そのような分析ができると思います。
現時点の貸借対照表の純資産(純資産の簿価)ではなく、遠い将来の解散時の貸借対照表の純資産(純資産の簿価)
のことを市場の投資家が予想し織り込んでいるとすると、そのような分析ができると思います。
現時点の貸借対照表の純資産(純資産の簿価)は決して会社の解散価値を表さないのですが、
市場の投資家が予想する遠い将来における解散時の貸借対照表の純資産(純資産の簿価)は会社の解散価値を表すのです。
理論的には、市場の投資家は、各自が予想を行った会社の解散価値に基づき株式の取引を行っているだけなのです。
現時点の純資産の金額から計算するとPBRは0.19倍かもしれませんが、市場の投資家にとっては、実はPBRは1倍なのです。