2018年8月24日(金)


2018年8月24日(金)日本経済新聞
長崎地銀 来年4月統合 ふくおかFG・十八銀 公取委が承認
(記事)



2018年8月24日(金)日本経済新聞
円滑借り換えメド 長崎地銀再編 県内統合モデルに
(記事)




2018年8月24日
株式会社ふくおかフィナンシャルグループ
株式会社十八銀行
株式会社ふくおかフィナンシャルグループと株式会社十八銀行の経営統合に関する公正取引委員会の審査結果の受領について
ttp://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS07869/4f667b96/4d2a/4c89/a8d6/259993d9f65f/140120180824400573.pdf
ttps://www.18bank.co.jp/news/topics/pdf/2018/topics024_tougou.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)
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「従業員は『債権者』であり『社外』の人物である。」という点について考察を行った昨日のコメント↓。

2018年8月23日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201808/20180823.html


 


ふくおかFG・十八銀、来年4月統合 新銀行の責任重く


 経営統合が承認されたふくおかフィナンシャルグループ(FG)と十八銀行は24日、福岡市内で会見を開いた。
ふくおかFGの柴戸隆成社長は「これからが本番だ。地域経済の発展、取引先のサポートに全力を尽くしたい」と述べた。
地元企業からは早速、経営支援の充実を求める声があがっている。
地域からの協力があって悲願が成就した経緯を踏まえると、新銀行が背負う責任は重い。
 両社は10月に株式交換契約を締結し、12月に臨時株主総会を開いて正式に決める。統合後も県内で適正な競争環境を
維持することを目的に「長崎県内中小企業向けの新規実行金利」など、複数の指標を定期的に開示する体制を今年度中に整える。
 2019年4月1日にふくおかFGと十八銀が経営統合。1年後にふくおかFG傘下の親和銀行と十八銀が合併し新銀行が誕生する。
株式の交換比率といった詳細は今後詰める。重複する約50の店舗を統廃合し、500人規模の人員を捻出する。
 審査突破の決め手となった顧客の借り換え支援を決断するまでに時間を要したこともあり、統合の基本合意から2年半がたった。
これについて十八銀の森拓二郎頭取は「借り換え支援はなんとかやらずにすまないかと考えて長期間かかった。
専門の窓口も作ったが苦情はなかった。支持してもらえたと思う」と話した。
 地元自治体からは歓迎の声も。
長崎県市長会の田上富久会長も「地域に安定した金融インフラが存続する道筋が見え安堵した」とコメントした。
 ただ、両社には地方創生の実現という次のハードルが待ち構える。離島の新上五島町でスーパーなどを展開する
中村興産(長崎県新上五島町)の中村繁男社長は「現在取り組んでいる地元産の養殖マグロを活用した観光活性化は
初めての試みで課題は少なくない。頼れる存在であって欲しい」と話す。
 長崎経済同友会の代表幹事で協和機電工業会長の坂井俊之氏は「金融機関は地域のイノベーションを支える大事な存在だ。
統合でコンサル機能の充実が期待できる」と話した。
 一方で「2つの地銀が1つになり選択肢がなくなってしまう。
中長期的には金利が上昇してしまうという懸念は払拭できない」(IT関連企業)と依然、慎重な声もある。
公正取引委員会の深町正徳企業結合課長も、2度にわたり実施した企業アンケートの自由記入欄で
「心配だという人が多かった」ことを明かした。ふくおかFGと十八銀にはこうした懸念の払拭に
真摯に取り組むことも求められる。(新井惇太郎、三島大地、古宇田光敏)

 


●記者会見 一問一答
 3社の首脳の記者会見での主なやり取りは以下の通り。
 ――統合効果をいかに発揮しますか。
 柴戸社長「足元では従来の店舗での取引が重荷になっており、フィンテック企業などの参入もある。
将来の環境変化に対応するために重複店舗は統廃合して、利便性を維持したまま顧客サービスに振り向ける」
 ――どのように企業を支援しますか。
 柴戸社長「我々の貸し出しが地域の成長の肝となる。単なる融資に留まらず、コンサルティング営業や
ビジネスマッチングなどの支援にも力を入れる」
 親和銀行の吉沢俊介頭取「新しい産業を興すことも、個別の企業の可能性を引き出すこともある。磨けば光るものがたくさん
あると思うが、現状は専門的なサポートなどができる行員が限られている。それが統合で可能性が広がる」
 ――経営統合のために債権譲渡にまで踏み切ったことへの思いは。
 柴戸社長「債権譲渡については(強制されるのではとの)誤解があった半面、統合をなし遂げて欲しいと協力的な顧客もいた。
貸出金を他行に持って行くのは苦渋の決断だった」
 ――長崎では「福岡の銀行になるのでは」という懸念もあります。
 森頭取「統合は長崎のために役に立つ銀行を作るためのもので、親和銀と同じベクトルに向かっている。
人口減少で衰退している長崎の希望のためには、我々が融合して同じ目的のために力を尽くす必要がある」
(日本経済新聞 2018/8/24 21:05)
ttps://www.nikkei.com/article/DGXMZO34579630U8A820C1LX0000/

 

 



2018年8月24日(平成30年8月24日)
公正取引委員会
株式会社ふくおかフィナンシャルグループによる株式会社十八銀行の株式取得に関する審査結果について
ttps://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h30/aug/180824.html


> 公正取引委員会は,株式会社ふくおかフィナンシャルグループ(法人番号9290001028986)(以下「FFG」という。)による
>株式会社十八銀行(法人番号7310001000829)(以下「十八銀行」という。)の株式取得(以下「本件株式取得」という。)について,
>FFGから独占禁止法の規定に基づく計画届出書の提出を受け,審査を行ってきたところ,FFG及び十八銀行が申し出た
>問題解消措置を講じることを前提とすれば,一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと認められたので,
>FFGに対し,排除措置命令を行わない旨の通知を行い,本件審査を終了した。

>第1 本件の概要
> 本件は,長崎県に本店を置き銀行業を営む親和銀行等を子会社に有するFFGが,同業を営む十八銀行の株式を取得し,
>議決権の50%を超えて取得することを計画しているものである。

>第2 本件の経緯
>平成28年6月8日 株式取得に関する計画の届出の受理(第1次審査の開始)
>平成28年7月8日 報告等の要請(第2次審査の開始)
>平成30年8月15日 全ての報告等の受理
>         (意見聴取の通知期限:平成30年11月14日)
>平成30年8月24日 排除措置命令を行わない旨の通知

>第3 結論
> 当委員会は,FFG及び十八銀行が当委員会に申し出た問題解消措置を講じることを前提とすれば,
>本件株式取得が一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した
>(審査結果の詳細については別紙参照)。

 



(印刷用)(平成30年8月24日)株式会社ふくおかフィナンシャルホールディングスによる
株式会社十八銀行の株式取得に関する審査結果について
ttps://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h30/aug/kiketsu/180824.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)



(平成30年8月24日)本件審査の概要図
ttps://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h30/aug/kiketsu/180824-2.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)



(平成30年8月24日)別紙資料
ttps://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h30/aug/kiketsu/180824-3.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)

 

 



【コメント】
概念的には、両者は債権債務関係にあるという点において、従業員と会社との関係は銀行と会社との関係と同じなのです。
株式会社甲が株式会社十八銀行から資金を借り入れている(株式会社甲は株式会社十八銀行の融資先・貸出先だ)としましょう。
この時、株式会社十八銀行は「私は株式会社甲の社員です。」などとは当然言わないわけです。
株式会社十八銀行にとって株式会社甲は、金銭消費貸借契約先というだけであり、
株式会社十八銀行は株式会社甲の社内の関係者というわけでは決してないわけです。
銀行は金銭消費貸借契約の相手方(融資先・貸出先)の社名が記載された名刺を持ったりはしませんし、
また、銀行は金銭消費貸借契約の相手方(融資先・貸出先)のことを「勤務先」と表現したりはしないわけです。
同様に、従業員は、雇用関係における債権者というだけであり、社内の関係者というわけではないのです。
それから、取締役や監査役と会社との関係について、昨日は次のように書きました。

>理論上の考え方になりますが、例えば監査役は監査役の職務を遂行した報酬(対価)を支払えと会社に主張できますが、
>取締役は取締役の職務を遂行した報酬(対価)を支払えと会社に主張できないのです。
>その理由は、取締役と会社(株主)とは委任関係だからです。
>取締役と会社(株主)とは「この職務を遂行したらこの金額の対価を支払う。」という関係ではないのです。

昨日書きましたように、取締役と会社(株主)との関係は委任関係である(両者は委任契約を締結する)わけですが、
では監査役と会社(株主)との関係はと言いますと、会社法の条文上は「準委任関係」となっています(会社法第330条)。

>(株式会社と役員等との関係)
>第三百三十条 株式会社と役員及び会計監査人との関係は、委任に関する規定に従う。

取締役と会社(株主)との関係と比較すると、取締役と会社(株主)との関係は直接的な委任関係にあるとは言えないのですが、
両者の関係に関しては法律上の委任に関する規定が適用される、ということで「準委任」という表現になっているわけです。
株主が株主総会において選任する会社機関と会社(株主)との関係は全て、会社法上は「委任関係」であると規定されています。
民法理ではなく商法理上は、委任関係における職務の対価については、その報酬が認められるのが原則となっています。
逆に民法理は、委任関係における職務の対価については、その報酬が認められないのが原則となっています。
現実を無視して理論上だけの考察を行いますと(純粋に論理のつながりだけを考えますと)、
委任関係における職務の対価については、その報酬は認められない(委任関係は無報酬である)という考え方になると思います。
ただ、監査役と会社(株主)との関係は会社法の条文上は「準委任関係」となっているものの、
会社の業務執行を行うか否かという点において取締役と取締役以外の会社機関とではそれぞれの立ち位置が根本的に異なるわけです。
その意味では、例えば監査役を誰にするのかについては株主が株主総会で選任するとしても、
監査役と会社(株主)との関係は委任関係ではなく請負関係であると整理をするべきなのではないかと思います。
すなわち、監査役と会社(株主)とは請負契約を締結する、と整理をするべきなのではないかと思います。
「監査報告書の提出」という労務の成果の給付(仕事の完成)を目的とする契約(請負)を、
監査役と会社(株主)とは締結をするべきなのです。
このように考えますと、監査役は会社にとって債権者であるということが明確になると思います。
逆から言えば、会社法理上は、取締役は労務の成果の給付(仕事の完成)を目的としていない、ということになります。
極端なことを言えば、理論上は取締役は会社に対し何らの義務も負っていないのです。
取締役にあるのは、会社(株主)からの信頼と期待だけなのです。
この点において、取締役と会社(株主)との関係は、他の会社機関と会社(株主)との関係とは決定的に異なっているのです。