2018年8月14日(火)



2018年5月22日(火)日本経済新聞
現代自、再編を撤回 株主の反対根強く
(記事)




2018年6月14日(木)日本経済新聞
長江実業が買収提案 1.1兆円 豪ガス大手APAに
(記事)




「合併を行うか否かは株主が決めることであるが、株主提案権の行使により株主が会社に合併を提案するという場合は、
合併の相手方の株主にも是非を問うことが求められる(i.e. 合併の相手方にも同じ旨の株主提案権が行使されたものと考える)。」、
という点について指摘をした昨日のコメント↓。

2018年8月13日(月)
http://citizen.nobody.jp/html/201808/20180813.html


 



【コメント】
昨日は、株主が株主提案権の行使により会社に合併を提案するということについて考えました。
現行の会社法上は、合併の相手方にも同じ旨の株主提案権が行使されたものと見なすという考え方はないわけですが、
合併においては、存続会社の株主総会と消滅会社の株主総会の間には牽連性があるわけですから、
合併の当事会社の一方に対する株主提案権の行使は合併の当事会社の他方に対する株主提案権の行使をも意味する、
という考え方はないだろうかと昨日は考察を行ったわけです。
紹介している2018年6月14日(木)付けの日本経済新聞の記事が1つの理解のヒントになろうかと思いますが、
合併や買収の提案をするという時には、本質的には提案者は会社にではなく株主に対して提案を行わなければならないわけです。
株主提案権の行使を行える場面では、提案者は株主提案権を行使する方がより直接的でありより本質的なのです。
提案者は、株主提案権を行使することで、会社にではなく、本質的には実は株主に直接に提案をしていることになるのです。
株主が決めるべき事柄に関しては、提案者は会社にではなくできる限り株主に直接提案するようにするべきなのです。
それから、紹介している2018年5月22日(火)付けの日本経済新聞の記事についてですが、
現代モービスが組織再編計画について臨時株主総会で株主の承認を得る計画であったのだが開催直前に撤回をした、という事例です。
その理由は、株主を中心に反対論が根強く総会で承認を得るのが難しいと判断したから、とのことです。
しかし、韓国の会社法の規定は詳しくは知りませんが、理論的には、
株主総会の招集のための手続きが一旦開始された後は、会社は株主総会を開催することを任意に取り止めるということはできません。
なぜならば、そのようなことが認められるならば、会社は任意に株主総会の開催を中止できてしまうからです。
例えば、株主からの請求により会社は取締役を解任するための臨時株主総会を招集したのだが、
請求株主を中心に解任賛成論が根強いことが分かったので会社は株主総会の開催を撤回した、
という状況を想定してみるとこの事例のおかしさが分かるでしょう。
既存取締役の業務執行に関して、株主や投資家から批判的な意見がよせられてはいるものの、
「株主から十分に信頼と支持を得られているはずなので株主総会を開催し決議を取るまでのこともないと判断した。」、
などと問題となっている取締役が説明をしたところで、株主は納得はしないわけです。
一言で言えば、一旦招集した株主総会を途中で止めるという考え方などないのです。
端的に言えば、雰囲気や論や噂や憶測で物事を決定するのは間違いなのです。
株主の意見は議決権で決定するべきなのです。
このたびの現代モービスの事例でも、口うるさい一部の株主だけが再編計画に反対だっただけなのかもしれないわけです。
目立つことと大勢を占めることとは決してイコールではありません。
人は、目立つと錯覚してしまうのです。
「弱い犬ほどよく吠える」と言いますが、吠える犬は目立ちます。
このたびの現代モービスの事例において、仮に開催していれば株主総会議案は否決されていたという保証はどこにもないのです。
現代モービスは、招集手続き通り株主総会を開催し、淡々と議案について決議を取ればそれでよかったのです。
株主総会は、決議結果が全てなのですから。

 

A company can arbitrarily not cancel holding a meeting of shareholders
once a procedure for calling the meeting has begun.

株主総会の招集のための手続きが一旦開始された後は、会社は株主総会を開催することを任意に取り止めるということはできません。