2018年8月6日(月)
「『ETF』(上場投資信託)は概念的には上場株式の先物取引("futures")に近い。」、
という点について指摘をした昨日のコメント↓。
2018年8月5日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201808/20180805.html
>With a company with its expiry date, its paying a dividend to its shareholders means that its prospects are dark.
>会社に満了期日がある場合は、会社が株主に配当を支払うことは会社の将来の展望は暗いということを意味しているのです。
現在の会社制度では、会社の満了期日を定めるということはしないわけですが、上記の結論は逆から言えば、
会社に満了期日がない場合において、「会社の将来の展望は明るいにも関わらず会社が株主に配当を支払う。」
ということはあり得る、ということになるわけです。
その理由は、結局のところ、「会社に満了期日がない場合は、株式の本源的価値の最大化を定義できない。」からなのです。
会社に満了期日がない場合は、理論上は、株式の本源的価値は無限大なのです(利益が会社内に無限に積み上がっていくから)。
ですので、会社に満了期日がない場合は、事業継続の途中で会社が支払う配当も含めた形で株主の利益の最大化を達成していく、
という業務執行(受託者責任の遂行)が経営者(受託者)には求められるわけです。
会社に満了期日がない場合は、連続増配は経営者の先行きへの自信を示している、という見方はやはり正しいのです。
また、会社に満了期日がある法制度の場合は、株主は会社の清算日に残余財産の分配を受け取ることのみを目的に出資を行うことが
理論上の前提になりますので、仮に会社が事業継続の途中で配当を支払いますと、それは将来の展望は暗い、という意味なのです。
将来の展望が明るい場合は、株式の本源的価値の最大化を達成するべく、経営者(受託者)は利益を社内で再投資し続けるはずです。
それから、現在の会社制度の議論ですので「会社に満了期日はない」ということが議論の前提になりますが、
今日紹介している2018年7月14日(土)付けの日本経済新聞の記事についてですが、「会社に満了期日はない」場合は、
内部留保の金額や増加額・増加割合では株式の本源的価値の絶対額や変動は計れない、ということになります。
会社に満了期日がない場合は、会社が配当を支払うことは、将来の展望が暗いことを意味している場合もあれば
将来の展望について経営者が自信を持っていることを意味している場合もあるのです。
会社に満了期日がない場合は、会社が配当を支払うことは、
明るい兆候を意味している場合もあれば暗い兆候を意味している場合もあり、それはケースバイケースなのです。
そのどちらなのかは有価証券報告書を分析するなど、より詳細な財務分析を行わなければ分からないことなのです。
同様に、配当性向の高低と会社の将来の展望の明暗は関係がありません。
経営者(受託者)が株主の利益の最大化を達成するべく、最善の配当政策を決定した、というに過ぎません。
配当性向が高いから良い経営とも言えませんし、配当総額が多いから良い経営とも言えないわけです。
逆に、配当性向が低いから良い経営とも言えませんし、配当総額が少ないから良い経営とも言えないわけです。
会社に満了期日がない場合は、内部留保の最大化は株主の利益の最大化を必ずしも意味しないわけです。
なぜならば、株主が内部留保(利益)を受け取る日自体が到来しない(少なくとも確定はしていない)からです。
会社に満了期日がある場合と比較すると、ない場合は、「株主の利益」の意味・定義が著しく複雑・不明確になってしまうのです。
会社に満了期日がない場合は、投資家から見ると、株式が変動利の「永久債」に類似した有価証券になってしまうのです。
会社に満了期日がない場合は、理論的には、株式の本源的価値の算定はできない、と言わねばならないと思います。
Dividend payout ratio.
配当性向