2018年3月15日(木)



2018年3月15日(木)日本経済新聞
東証通さず個人も株売買 0.1円単位 有利な取引も カブコムなど参入 透明性確保が焦点
(記事)





2018年3月14日(水)日本経済新聞
「グリーンシート」終幕 非上場株取引20年 新市場整備で登録激減
(記事)


 



2018年3月15日
カブドットコム証券株式会社
米モルガン・スタンレーのグローバル電子取引システムの利用契約を締結
〜機関投資家向け株式注文執行システムSORを個人投資家へ提供〜
ttps://kabu.com/company/pressrelease/20180315_1.html

>当社採用のSOR(スマート・オーダー・ルーティング)とは
>当社が採用するSORは東京証券取引所(東証)や私設取引システム(PTS)など複数の市場の板状況を確認し、
>執行コストを最小限に抑え、かつ、約定率を最大化することを目指して自動的に判定し、
>株式売買注文の発注を行うシステムです。


SOR(スマート・オーダー・ルーティング)注文
ttps://kabu.com/item/sor/default.html

>SORはSmart-Order Routingの略称で株式の発注システムの機能です。
>主な機能としては東京証券取引所やPTS(私設取引システム)など複数の市場から最良気配やその株数を検索して、
>市場を自動的に選びまた自動で注文を分割して売買を執行するシステムのことです。

>PTS取引とは
>PTSはProprietary Trading Systemの略称で、
>投資家が証券取引所を経由せずに株式などを売買できる「私設取引システム」のことです。
>現在、日本でのPTSは2市場のみで、チャイエックス・ジャパン株式会社が運営する「チャイエックスPTS(Chi-X)」と
>SBIジャパンネクスト証券株式会社が運営する「ジャパンネクストPTS(JNX)」があります。
>当社ではSOR注文を利用した場合のみ、2つのPTS市場に取次ぎを行います。

 


「相対取引による購入や売却もまた、証券制度上保護されてよい『投資家の利益』(投資機会)ではないだろうか。」、
という点について書いた時のコメント↓。

2018年3月7日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201803/20180307.html


 


【コメント】
紹介している本日2018年3月15日(木)付けの日本経済新聞の記事には、
ネット証券各社が個人投資家向けに東京証券取引所を通さない株式の売買サービスを相次いで拡充している、と書かれています。
従来は、機関投資家等の大口投資家向けに提供を行っていたサービスであるわけですが、
個人投資家に対しても提供を開始する計画となっているとのことです。
あまり良い意味は込められていないようですが、この種の株式の売買は「ダークプール」と呼ばれているとのことです。
「ダークプール」の綴りは"dark pool"なのだと思いますが、
私は最初"dark pool"とは「一般に知られていない買い注文と売り注文の集まり」といったニュアンスなのだろうと思いました。
しかし、英和辞書を引きますと、"pool"には「共同管理、共同利用、共同利用のための予備」という意味があるようです。
"pool"の意味がこの意味なのだとしますと、"dark pool"とは、
「一般には知られていないが、一部の投資家のみが共同利用する証券取引所とは別の株式売買の場」
といったニュアンスになるのかもしれないなと思いました。
検索してみますと、「ダークプール」は「代替執行市場」とも呼ばれているようです。
「代替執行市場」とは、取引所以外の取引市場全体を表す言葉とのことです。
"dark pool"とは、"alternative trading system"(代替取引システム)のことだ、という説明もありました。
「ダークプール」とは、「一般には知られていない共同利用(のための予備システム)」というニュアンスなのだと思います。
「ダークプール」の仕組みについては、今日紹介している記事とカブドットコム証券株式会社のプレスリリース、
そして2018年3月7日(水)に紹介している2018年3月7日(水)付けのの記事を参考にしていただきたいのですが、
システム利用者(証券会社を通じて株式の取引を行う投資家)の立場から言えば、簡単に言えば、
「ダークプール」とは、「私設取引システム」(PTS(Proprietary Trading System))の機能拡張版であると言えると思います。
今日紹介している記事には、取引内容や約定までの過程に関連する「ダークプール」の問題点が多数指摘されているわけですが、
今日紹介していますカブドットコム証券株式会社のプレスリリースを読む限り、投資家が「ダークプール」を利用しても、
「ダークプール」が例えば顧客の発注価格よりも高い価格で株式を買うであったり顧客の発注価格よりも低い価格で株式を売る、
などという事態は生じないようです(それどころか、顧客により有利な価格での取引をシステム上提示できるようになるようです)。
「ダークプール」を利用すると個人投資家の利益が害される(機関投資家に有利だ)、ということはないように思いました。
また、2018年3月7日(水)のコメントでも書いたことなのですが、「ダークプール」を利用すると必然的に生じることなのですが、
「上場株式の取引価格さらには上場株式の市場価格が複数ある」ということの問題点について、今日も考えてみました。
証券制度として(投資家保護の観点から)、投資家に対し「購入する機会」と「売却する機会」とを最大限提供するために、
投資家が買い注文と売り注文を出せる場所は一箇所に集中させるべきである、という考え方はやはりあると思います。
すなわち、「全ての取引は市場内で行なわれなければならない。」、という考え方はやはり正しいとは思います。
ただ、理論上も実務上も、「投資家は売り注文を出しさえすれば市場で所有株式を売れるというわけではない。」、
というのもまた真なのです。
なぜならば、投資家が株式を売るためには、市場に買い手(買い注文を出す投資家)が必要だからです。
たとえ投資家が現在の株価と同じ価格で売り注文を出し続けても、何日も何週間も買い手が現れない、
ということは理論上も実務上もあり得ることなのです。
投資家に対し「売却する機会」が提供されていること(株式市場が用意されていること、売り注文に応じる体制は整っていること)は、
「投資家はいつでも所有株式を売ることができる」ということを必ずしも意味しないのです。
投資家には、ある「売りたい価格」というものが投資方針としてあるはずだからです。
投資家は、所有株式を100円で売りたいと思っても、100円で買うという人が現れない限り、100円で売ることはできないのです。


人は、不特定多数の投資家に所有株式を売るという場合は、できる限り高い価格で株式を売ろうと考えるわけですが、
特定の相手(知り合い等)に所有株式を売るという場合は、この人にであれば低廉な価格で株式を譲っても構わない、
と考えるということは現実にはあるわけです。
証券投資の理論上は、人に感情や人付き合いや日々の生活や引退や寿命はないのですが(これらは理論の範疇外のことでしょう)、
現実の証券投資には、人に感情や人付き合いや日々の生活や引退や寿命があるわけです。
その際に、「投資家は、低廉な価格で株式を購入する機会を特定の相手にだけではなく市場の全投資家に与えなければならない。」
という考え方は、理論上はともかく、現実の証券投資にはそぐわないものがあると思います。
「証券投資に関する平等性」が証券制度上求められるのは、投資家ではなく、発行者の方ではないだろうかと漠然と思いました。
純粋に投資家間の取引に関しては、「証券投資に関する平等性」は証券制度上求める必要はないように思いました。
なぜならば、投資家間の株式の取引が他の投資家の利益を害するということはあり得ないからです。
現実を踏まえた上での1つの案としては、やはり証券制度上「相対取引を認める。」ではないだろうかと思いました。
最後に、2018年3月14日(水)付けの日本経済新聞の記事についてですが、1文目の冒頭から言葉が矛盾しているなと思いました。
「非上場株を取引するグリーンシート市場」という言葉は、市場や上場という観点から言えば、完全に矛盾だと思います。
ほとんど同じ意味ですが、記事には「非上場株市場」という言葉も書かれています。
「市場で取引をすることができる株式」のことを「上場株式」と呼ぶわけです。
グリーンシートに登録されている時点で、その株式は紛れもなく「上場株式」なのです。
日本には、「非上場株市場」として、グリーンシートの他に、「株主コミュニティ」という市場があるとのことです。
本来の意味とは異なりますが、「株主コミュニティ」という響きも「ダークプール」に似たものがあると思います。
今回グリーンシートは"close"(終幕する)とのことですが、
「株主コミュニティ」という言葉を見て、"open closed investors"という一見矛盾した言葉を思い付きました。
"open closed investors"とは「出入り自由な自給自足の出資者達」という意味です。
"open"には様々な意味がありますが、
ここでは主に「公開の、 出入り[通行、使用]自由な、(プロ・アマの別なしの)オープンの」という意味で用いています。
"closed"にも様々な意味がありますが、
ここでは主に「自給(自足)の、 (機械や回路やシステムが)循環式の」という意味で用いています。
ここでは"closed"に「閉鎖的な、排他的な、非公開の」という意味は込めていません。
記事によりますと、「株主コミュニティ」に登録している会社は、不特定多数の個人を勧誘できないことになっています。
一方で、「コミュニティ」に入るためには運営する中小証券会社に口座を作る必要があるのですが、
運営する中小証券会社に口座を作るのは誰もが全く自由にできるわけです(口座開設に資格や制限はない)。
以上のこと踏まえますと、「株主コミュニティ」において、仮に出資者(株主)が株式の譲渡を行うとしたら、
一定の範囲内の投資家(中小証券会社に口座を開設した投資家)のみにしか株式を譲渡できない、ということになるわけです。
狭い社会・狭い範囲で(同じ顔ぶれの投資家間で)互いに株式のやり取りをしている様が頭に浮かんだわけです。
一方で、広い社会にいるある投資家が、その狭い社会に入ること自体は全く自由であるわけです。
その投資家は、口座開設も自由にできますし、口座解約も自由にできるわけです。
非上場企業の場合とは異なり、あたかも上場企業であるかのように、誰でも会社の株主になることができるわけです。
そして、口座解約時には、所有株式はその狭い社会にいた誰か(出資者の誰か)に譲渡することになるわけです。
株式への出資が狭い社会内で自給自足しているような状態にあり株式が出資者間を循環している様が頭に浮かんだわけです。
英語のネイティブが聞いてすぐに意味が分かる(イメージが湧く)かどうかは分かりませんが、
"open closed investors"(「出入り自由な自給自足の出資者達」)という言葉を思い付きました。

 



Even if investors are permitted to trade listed shares only in the market,
an investor can't always sell his listed share in the market.
For an investor's selling his listed share in the market requires
another investor in the market at that time who happens to want to purchase the listed share
at the same price as the placed sell order.

たとえ投資家は市場内でしか上場株式の取引が認められていないとしても、
投資家は必ずしも所有している上場株式を市場で売却できるとは限らないのです。
というのは、投資家が所有している上場株式を市場で売却するためには、
出されている売り注文と同じ価格でその上場株式を購入したいと考えている別の投資家が、
その時に偶然にも市場にいることが必要だからです。

 

Investors can trade shares in the Green Sheet market because the shares are listed as the ones tradable in the market.
That is to say, shares tradable in the Green Sheet market are exactly "listed shares."

投資家は、市場に流通している株式として一覧表に載っているからこそ、
グリーンシート市場で株式の取引を行うことができるのです。
すなわち、グリーンシート市場で取引可能な株式というのは、まさに「上場株式」なのです。

 

I have once heard that a native speaker of English can easily understand
the meaning of a sentense "You give love a bad name."
But, I couldn't and can't understand it clearly
not because I have a guilty conscience but perhaps because I am a native speaker of Japanese.
By the way, even a native speaker of English can't easily understand
the meaning of a phrase of my own making "open closed investors" without any explanations, I suppose.
The reason for it is that both "open" and "closed" have a lot of meanings in them.
For reference, I have heard that the meaning of a sentense "You give love a bad name." is a "forbidden love."

英語を母国語とする人は、"You give love a bad name."という文の意味が簡単に分かるとかつて聞いたことがあります。
しかし、私にははっきりとはその意味が分かりませんでしたし今でも分かりません。
おそらくその理由は、私はやましいところがあるからではなく、私は日本語を母国語としているからでしょう。
ところで、英語を母国語とする人でさえ、私の造語である"open closed investors"の意味は
何らの説明なしには簡単には分からないと思います。
その理由は、"open"にも"closed"にも非常に多くの意味があるからです。
参考までに、"You give love a bad name."という文の意味は、「禁じられた愛」とのことです。