2018年2月14日(水)
2018年2月13日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201802/20180213.html
昨日は、減耗を生じさせずに製造を成し遂げることは現実にはどうしても不可能な場合の会計処理について、次のように書きました。
>理論的には、製造過程上不可避的に発生する原材料の減耗は、
>「製造原価」の中の(「経費」ではなく)「材料費」(「直接材料費」)を構成することになると思います。
その理由として、製造する上で不可避的に発生し製品完成のために直接的に要する原材料だからである、と書きました。
この会計処理について、今日改めてインターネットで検索してみますと、異なる結論が記載されていました。
この論点は、原価計算(工業簿記)における「棚卸減耗」という原材料の滅失についての会計処理に関する議論になります。
「棚卸減耗」の会計処理については、次のサイトが最も分かりやすくまとまっていると思いましたので、紹介し引用します。
棚卸減耗の計算
(日商簿記1級テキスト(工業簿記・原価計算))
ttp://boki1.blog23.fc2.com/blog-category-9.html
>棚卸減耗は、正常な原因で生じるものと、異常な原因で生じるものの2つに大きく分けられます。
>
>1. 正常な原因で生じた棚卸減耗
> 正常な原因とは、製品の製造上必要やむを得ないものであり、予測の範囲内にある原因という意味です。
>「原価性のある棚卸減耗」と表現することもあります。
> このような場合、製品の製造コストの一部と考えることができます。
>したがって、以下の仕訳を通じて間接経費として処理します。
>(借)棚卸減耗費 *** (貸)材料 ***
> 製造間接費 *** 棚卸減耗費 ***
>
>2. 異常な原因で生じた棚卸減耗
> 異常な原因とは、自然災害(地震、水害など)や人的災害(火災、盗難など)などの原因、
>あるいは製品の製造活動における予測を超えた原因という意味です。「原価性のない棚卸減耗」と表現することもあります。
> このような場合、製品の製造コストとして処理するのは不適切であるため、
>以下の仕訳を通じて損益決算書上、特別損失として処理することになります。
>(借)棚卸減耗費 *** (貸)材料 ***
材料費の定義について
(管理会計論 講義復習ブログ@ 材料費会計 -
東京CPA会計学院)
ttps://cpa-net.jp/post-20151126.html
>物品を消費することによって発生する原価が材料費ですので、
>棚卸減耗費は材料勘定から出ますが、物品の消費ではないので経費に分類される点に注意です。
いくつかの解説サイトを見てみたのですが、どの解説でも、
棚卸減耗費は「材料費」で処理するのではなく「経費」で処理する、という旨の記述ばかりであると思いました。
その根拠としては、会計基準の規定としては、「原価計算基準」の「費目別計算における原価要素の分類」に、
「たな卸減耗費は間接経費である。」旨、はっきりと明記してある(原価計算における明文の規定がある)ことが挙げられます。
私は昨日は、「原価計算基準」の規定については調べなかったのですが、
「原価計算基準」上は棚卸減耗費は「間接経費」になるとのことです。
ただ、「なぜ棚卸減耗費は『間接経費』になるのか?」という理論的な点についてもう少し知りたいと思いました。
理論的な点について書かれてある解説はほとんどないのですが、一つの例として、次のような解説サイトがありました。
材料棚卸減耗費の処理(暗記不要の簿記独学講座【簿記革命】)
ttps://ameblo.jp/dokuboki/entry-11287914391.html
>減耗によりなくなった材料が特定の製品に使われたと分かることはないので
私が思うに、この記述(理由)は逆であるように思います。
つまり、「減耗によりなくなった材料がどの製品の製造に用いられたかは分かる。」、ということではないかと思います。
今議論しているのは、「正常な原因で生じた棚卸減耗」に関してであるわけですが、上の方で引用していますように、
この文脈で言う「正常な原因」とは、製品の製造上必要やむを得ないものであり、
予測の範囲内にある原因という意味である(つまり、どの製品の製造過程において生じた減耗なのかは明確である)わけです。
結局のところ、この文脈で言う「正常な原因」により生じた減耗なので、その減耗は「原価性のある棚卸減耗」、
というふうに考えるのだと思います。
したがって、理論的には、この文脈で言う「正常な原因」により生じた棚卸(原材料)減耗費は「直接材料費」を構成する、
という結論になる(「原材料の減耗」と「製造製品」とが一対一に対応している(一意に関連付く)と言える)と思います。
「異常な原因」で生じた棚卸減耗費は、製造原価を構成するのではなく、「期間損益」(特別損失)として処理することになります。