2017年12月7日(木)



小樽ベイ、民事再生法申請 負債280億円

 商業施設「ウイングベイ小樽」を運営する小樽ベイシティ開発(小樽市)は7日、
札幌地裁に民事再生法の適用を申請し、受理された。
負債総額は約280億円。5日にイオン北海道から債権を引き継いだファンドのルネッサンスキャピタル(東京・千代田)が
スポンサーとなり、事前に再建シナリオのあるプレパッケージ型の破綻処理で素早い再建を目指す。
 小樽ベイは総合スーパーのマイカル(現イオンリテール)などの出資で1991年に設立。
99年に商業施設「マイカル小樽」(現ウイングベイ小樽)を小樽市内に開業した。01年、マイカルに連鎖する形で
民事再生法の適用を申請。05年に再生手続きは終了したが、一部債務は残り、支援企業を探していた。
(日本経済新聞 2017/12/7 18:10)
ttps://www.nikkei.com/article/DGXMZO24383240X01C17A2TJ1000/

 


小樽ベイシティ開発/旧「マイカル小樽」運営、民事再生を申請

帝国データバンクによると、小樽ベイシティ開発は12月7日、札幌地裁へ民事再生法の適用を申請した。
負債は2017年2月期で約249億200万円。負債額は、道内では今年に入って最大の規模。1991年11月の設立。
マイカルグループのほか、道内有力企業の出資によりJR小樽築港駅貨物ヤード跡地の再開発事業として
大型複合商業施設建設を目的としてスタートし、
1999年3月に商業施設「マイカル小樽」(現・ウイングベイ小樽)をオープンした。
マイカル小樽は、初期投資額600億円内外といわれる延床面積34万m2の大型複合商業施設で、ショッピングセンターのほか、
シアター、アミューズメント施設などさまざまな業態を集積した。
物販施設には、マイカルグループが運営する百貨店やスーパーなどが入居するなどしていたが、収益の柱となる物販部門が
バブル崩壊後の消費の冷え込みなどから苦戦を余儀なくされたことで、年間の施設総売上高目標には届かず、
購買量拡大が課題となっていた。
このため不採算テナントの早期の交代や店舗のリニューアルを行い、集客・購買量アップに努めるなど改善に取り組んでいたが、
2001年9月、マイカルグループ中核のマイカルが東京地裁に民事再生法の適用を申請(その後会社更生法に移行)する事態となり、
グループ企業として展開していた自社も東京地裁へ民事再生法の適用を申請することとなった。
2002年7月には再生手続きの認可決定を受け、以降は資産売却を進める一方、2003年3月には施設名称を「ウイングベイ小樽」に
変更、小樽市内や道内有力企業からの資本参加を得るなどして再スタートを切り、再生手続きは2005年3月に終結に至っていた。
しかしその後、別除権の優先弁済を巡り、一部大口債権者が債務を大幅に圧縮したうえで一括完済する方向にあったものの、
一方ではスポンサー候補と最終的な合意に至らず、弁済計画の見直しを迫られる事態となっていた。
2度にわたる札幌地裁への特定調停によって債務の圧縮を図ったが、返済は計画通りに進まず、
今年12月に入って企業再生ファンドのルネッサンスキャピタルが、
債権者から債権を買い取り、経営再建に向け支援することが明らかにされていた。
(流通ニュース 2017年12月07日)
ttp://www.ryutsuu.biz/topix/j120731.html

 



小樽ベイ、再生法申請 再建へ会社分割 ファンドが支援

 【小樽】小樽市築港の大型商業施設「ウイングベイ小樽」を運営する小樽ベイシティ開発(小樽、OBC)は7日午前、
札幌地裁に民事再生法の適用を申請し、受理された。関係者によると、負債総額は約280億円。
来年2月をめどに、債務返済に当たる旧会社と、施設運営の新会社に分割。
OBCへの支援を表明している中小企業再生ファンドのルネッサンスキャピタル(東京)が新会社の主要株主となり、
再建を図る計画だ。
 OBCは、2001年に破綻したマイカルの前身のニチイ、JR北海道、北海道中央バスなど5社が出資し1991年に設立。
99年にウイングベイ小樽の前身の「マイカル小樽」を開業したが、
マイカルの破綻で運転資金の融資が途絶え、2001年、民事再生法適用を申請した。
(北海道新聞 12/07 17:20 更新)
ttps://www.hokkaido-np.co.jp/article/149739

 

 


イオン北海道株式会社が株式会社小樽ベイシティ開発に対して有する債権を企業再生ファンドに譲渡したという事例を題材に、
「『確定債権』は現金だが『これから確定する債権』は現金ではない。」、という点について考察を行った昨日のコメント

2017年12月6日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201712/20171206.html


 



【コメント】
昨日関連するコメントを書いたばかりだったのですが、
本日、株式会社小樽ベイシティ開発が札幌地裁へ民事再生法の適用を申請した、とのことです。
株式会社小樽ベイシティ開発は、実は2001年9月27日にも民事再生法を適用した過去があり、
2007年まで民事再生手続きを進めていましたので、これで2度目の民事再生法の適用申請となったようです。
株式会社小樽ベイシティ開発の当時の親会社だった株式会社マイカルが2001年9月14日に民事再生法を申請したことに連鎖し、
その約2週間後の2001年9月27日に株式会社小樽ベイシティ開発も民事再生法の適用を申請した(負債総額約492億円)、
という過去が株式会社小樽ベイシティ開発にはあるわけなのですが、
これが恋愛ならば、同じ小売業ということで「恋も2度目なら」という考え方もあり、2回目もいいのかなあ、と思うわけですが、
企業再生の手続きは1度目で全て完了して欲しい、と債権者の立場からは見えるはずです。
また、「特定調停」という企業再生のための法手続きもあるようです。
東京商工リサーチの最新ニュースのページには、この辺りの経緯とその後の推移について詳しく書かれていますので、
2001年9月27日以降の株式会社小樽ベイシティ開発についての記述を引用し紹介したいと思います↓。


【北海道】大型商業施設管理運営 (株)小樽ベイシティ開発 北海道で今年最大の倒産 民事再生法申請 負債総額:約280億円
(東京商工リサーチ 2017.12.07)
ttp://www.tsr-net.co.jp/news/tsr/20171207_02.html

> その後、再生計画に則り債務弁済を行う一方、日本政策投資銀行を筆頭債権者とする担保付債権を
>(株)ポスフール(現:イオン北海道(株)、TSR企業コード:010157050、法人番号:4430001015958、札幌市白石区)が
>一括取得したことで約194億円の債務が残された。
>これの返済が進まなかったため、19年8月に特定調停を申請し約29億円まで債務圧縮の合意を得た。
>しかし、スポンサーを確保できず、金融機関から資金調達が進まなかったため、21年1月に調停を取り下げた。
>22年11月、再度特定調停の申し立て合意を得ものの、期日までに弁済金を用意できず不履行となっていた。
> この後もテナント誘致を行う一方で新たなスポンサー獲得や売却交渉を進めていたが、
>企業再生ファンドのルネッサンスキャピタル(株)(TSR企業コード:298060450、法人番号:8010001127123、東京都千代田区)が
>スポンサーとして名乗りを上げ、29年12月5日、イオン北海道が保有する
>債権188億円1500万円(貸付金:129億1200万円、敷金保証金の返還請求権:約59億300万円)を取得していた。

 



それで、昨日書きました「『確定債権』は現金だが『これから確定する債権』は現金ではない。」という点について、
一言だけ追記をしたいと思います。
私は昨日、会計上は両社が意図している取引は行えない(両社は意図している効果を完全には得られない)、と書きました。
その理由として、次のように書きました。

>その理由は、イオン北海道株式会社が株式会社小樽ベイシティ開発に対して支払う賃料債務は確定債務ではないからです。

経営上両社が行いたいことは理解できるのですが、会計上は債権と債務の相殺とはならない、と指摘し、次のように書きました。

>意図されている取引は、経営上は”相殺”かもしれませんが、会計上は「債権放棄」と「賃料を0円にすること」なのです。

基本的には、私が昨日書いた考え方になると思うのですが、昨日書きましたコメントを踏まえた上で、
昨日書いた内容に間違いはないだろうかと、今日もこの論点について考えていたわけです。
特に、昨日書き巻いた次の1文について、どのように考え方を整理すればよいだろうかと考えました。

>1つの対応策としては、賃料の支払期日を合意の上当初の期日よりも遅らせることで敢えて「未払賃料」勘定(負債)を計上し、
>債権勘定と「未払賃料」勘定とを相殺する、ということをすれば、結果的には意図している取引が行えることにはなります。

確かに、昨日は上記のように書いたわけなのですが、何かすっきりしないな、と感じるものがあるわけです。
例えば、”相殺”のため、作為的に賃料を費用計上した場合は損金となり、債権放棄をした場合はその損失額は損金にならない、
ということであれば、誰だって賃料の費用計上を選択するわけです(誰もが意図的に「未払賃料」勘定を計上する方を選ぶはず)。
企業会計上の影響(企業会計上計上される損失額)が同じならば、損金とするため、全ての企業が賃料を費用計上するわけです。
つまり、債務の金額を企業が任意に選択できるというのはおかしいのではないか、と思ったわけです。
一言で言えば、正道の「債権と債務の相殺」とは何か、という点について今日は考えていたわけです。
そうしますと、昨日書きました論点に加え、追加的な新しい結論に今日は辿り着きました。
それは、「債権と債務を相殺できるのは、理論的には金融債権と金融債務の場合のみである。」という結論です。
逆から言えば、「たとえ確定している債権や債務であろうとも、商債権や商債務では相殺はできない。」という結論になります。
金融債権とは貸付金や債券のことであり、金融債務とは借入金や社債のことです。
商債権とは売掛金や受取手形のことであり、商債務とは買掛金や支払手形のことです。
法律上は同じ確定債権・確定債務でも、絶対的な確定度合いが金融債権・金融債務と商債権・商債務とでは異なるわけです。
このたびの事例では、イオン北海道株式会社は「未払賃料」勘定の金額を相殺のため変動させる、と言っているわけです。
では、相殺を行うために、「借入金」勘定を変動させることなどできるでしょうか。
つまり、金融債権・金融債務は絶対的に確定しているわけです。
一方、商債権・商債務は、確かに法律上も会計上も確定はしているものの、このたびのイオン北海道株式会社の事例のように、
相殺のため、相手方と合意の上、発生・認識の直前まで債務の金額を任意に変えることができる、という側面があるわけです。
これは煎じ詰めれば、「実際には現金を相手方には支払わないと分かっている。」から、このような経理操作ができるわけです。
その意味において、現金支出が先に来る「確定債権」(現金支出により債権が確定する)と
現金収入が先に来る「確定債務」(現金収入により債務が確定する)には、「価額の絶対性」があると言えるわけです。
それらと比較すると、現金収入や現金支出が後に来る商債権・商債務には、「価額の絶対性」が相対的にはないわけです。
昨日は、相殺における正道と邪道の線引きとして、「通常の取引(当初の契約通りの取引)」という言葉を用いましたが、
今日は、「仕入先への販売(販売先からの仕入れ)」を考えみますと、さらに理詰めで考えて導き出した結論になるのですが、
「金融債権・金融債務か否か」がより絶対的な線引きになる、という結論に辿り着きました。