2017年12月4日(月)
改正放送法の概要と改正事項の例
NHK受信料制度等専門調査会
第三回会合資料
ttps://www.nhk.or.jp/pr/keiei/seido/pdf/shiryou003.pdf
放送法の改正について書いたコメント
2017年11月18日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201711/20171118.html
【コメント】
2017年11月18日(土)のコメントでは、NHKが2019年にテレビ放送をインターネットで同時に流す常時同時配信を開始する
計画となっているということについて、次のように書きました。
>テレビ局は、放送法に定められている既存の放送設備(地上のアンテナなど)のみを用いて番組を放送することが認められている、
>ということなのではないか(所定の放送設備以外の手段・媒体による番組放送は禁止されているのではないか)と思いますが、
>テレビ局所有のサーバーを用いて番組を配信することを認めるような放送法の改正が現在進められているようです。
この時は、放送法の改正内容をあまり考えずにコメントを書いてしまったのですが、
今日紹介している記事を読みますと、この時のコメントは間違っているのかもしれないと思いました。
今日紹介している記事には、次のように書かれています。
>将来的には、NHKの放送を同時刻にインターネットで見られる「常時同時配信」も実現する方向。
>この際、テレビを持たず契約していない世帯にどう課金するかなどは結論が出ていない。
この記述を読み、NHKがテレビ放送をインターネットで同時に流す常時同時配信を開始すると、
受信料の取り扱いが問題になる(だから、放送法を改正する)、ということなのかもしれないなと思いました。
そこで放送法の改正内容について調べるために、「NHK
放送法 改正」というキーワードで検索してみました。
すると、紹介している上記の資料がヒットしました。
この資料を読みますと、現時点でも、電気通信役務利用放送法に基づき、
NHKの放送を同時刻にインターネットで見られる「常時同時配信」を行うこと自体は可能、ということになるようです。
ただ、現在インターネット上で視聴できるNHKの番組は、個別に料金を支払う有料放送や無料の再放送(再送信)
という位置付けになるようなのですが、放送と同時にインターネットでも番組を配信すると、
放送と同時配信との間に区別がなくなるため、受信料の取り扱いが問題になる、ということのようです。
番組の再放送(再送信)は、無料でインターネット上で閲覧する視聴者がいても問題はないが、
放送と同時配信になると、インターネット上で番組を閲覧する視聴者の受信料が問題になる、ということのようです。
放送法の改正では、放送と同時配信する場合にインターネット上で番組を閲覧する視聴者にも
受信契約の義務があることを法律上明確にすることが議論されていたようです。
その後、2017年11月26日に参議院本会議で放送法の改正は可決・成立した、とのことです。
2017年11月18日(土)のコメントで私が書きました内容は間違っていたと思います。
ただ、「受信契約の義務があるか否か」は、現行では受信機(テレビ)が世帯(家)にあるか否かで判断されるわけですから、
NHKがテレビ放送をインターネットで同時に流す常時同時配信を開始すると、
新・放送法上は、パソコンを所有している人全員に「受信契約の義務がある」という取り扱いになるわけです。
より正確に言えば、新・放送法上は、
インターネットを利用している人全員に「受信契約の義務がある」という取り扱いになるわけです。
現行の取り扱いでは、「受信機(テレビ)は世帯(家)にあるがNHKは一切見ない。」という人にでも、
「受信契約の義務がある」ということになります。
また、現行の取り扱いでは、「受信機(テレビ)は世帯(家)にはないが、パソコン上でテレビ放送を視聴できる状態にある人」
にも「受信契約の義務がある」(パソコン上でNHKを見る見ないは関係ない)ということになります。
チューナー付きパソコンを持っているだけで、「受信契約の義務がある」ということになります。
簡単に言えば、NHKを見る見ないは関係ないがないわけです。
受信機(テレビ)であれパソコンであれ、NHKの放送(同時配信も含む)を視聴できる状態にある人に
「受信契約の義務がある」、という取り扱いになるわけです。
私の記憶と理解が正しければ、NHKの「受信契約の義務」には過去次のような変遷があったと思います。
概ね1999年以前→家にテレビがあれば「受信契約の義務がある」
概ね2000年以降→家にテレビがなくても、パソコン上でNHKの番組を見ることができれば「受信契約の義務がある」
(つまり、視聴できるパソコンが結局のところ受信機(テレビ)と同じという取り扱いになった。)
新・放送法施行後→NHKのウェブサイトを閲覧できる状態にあれば「受信契約の義務がある」
(同時配信を視聴するか否かやNHKのウェブサイトにアクセスするか否かは契約義務とは関係がない)
従来も現在でも、家に受信機(テレビ)があれば、たとえ「私はテレビは見ない。私はアダルトビデオしか見ない。
これはアダルトビデオ再生専用機だ。」といくら主張しても、「受信契約の義務がある」わけです。
同様に、新・放送法施行後は、パソコン(やタブレットやスマホ等々)とインターネットに接続できる環境がありさえすれば、
たとえ「私はメールと文字だけの新聞記事くらいしか見ない。動画は一切見ない。NHKのサイトなど今まで一度も見たこともない。」
といくら主張しても、「受信契約の義務がある」、ということになります。
パソコン所有者「わいはNHKは見ないんや。受信料は払わん。すごいやろ、無線LAN導入しとるんや。」(Wi)
NHK受信料集金者「放送法が改正されまして。」
パソコン所有者「はい。払います。」(Fi)
これが、「Wi-Fi」という用語の由来です。
というのは冗談ですが。
受信機(テレビ)の現在の世帯普及率を考えれば、「受信機(テレビ)はないがパソコン等とインターネット接続環境はある。」
という世帯というのは現実にはほとんどないのではないかと思います。
そういう意味では、新・放送法の施行に伴い「受信契約の義務がある」人が急増する、ということは現実にはないと思います。
したがって、新・放送法の施行は、ほとんどの視聴者には影響はない、と言っていいと思います。
紹介している記事では、放送法により受信料契約を義務付けることは憲法が保障する「契約の自由」に反するか否かが
裁判における最大の争点となっている、と書かれています。
この問題点は、NHKと民放の相対性(両者はどの程度同じでありどの程度違うのか。収益構造の違い等)とも関連があるのですが、
受信機(テレビ)を家に設置するか否かは視聴者の自由なので、受信機(テレビ)を家に設置した時点で契約義務を受諾したもの、
という考え方になるように個人的には思います(つまり、憲法が保障する「契約の自由」は十分に守られているはずです)。
例えば、「私は民放のみを視聴する目的で受信機(テレビ)を家に設置している。」と視聴者が主張し出すとキリがないのですが、
人は受信料契約の義務を負うことを前提に受信機(テレビ)を設置するものだ、という考え方に分があると個人的には思います。