2017年5月28日(日)
2017年4月13日(木)日本経済新聞
議決権行使で「謝礼」 コメダ、総会活性化めざす
(記事)
2017年4月12日
株式会社コメダホールディングス
当社株主総会における議決権行使の促進策に関するお知らせ
ttp://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1457875
「キャプチャー」
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議決権の行使者に関する関連コメント
2017年5月20日(土)
http://citizen.nobody.jp/html/201705/20170520.html
>金融庁は近く改定する機関投資家の行動指針(スチュワードシップ・コード)で、総会での議案賛否を開示するよう求める。
と書かれていますが、議案への賛否の個別開示を要請することで資産運用会社の判断の透明性を高める狙いがあるようです。
また、資産運用会社の一部は既に個別開示を始めている、とのことです。
しかし、資産運用会社による議案への賛否の個別開示にはほとんど意味がないと私は思います。
なぜならば、資産運用会社は自社の意思に基づき議決権を行使するとは限らないからです。
端的に言えば、資産運用会社は、資産の運用を託した投資家(委託者)の指図に基づき議決権を行使することも多いのです。
つまり、数多くの投資家(委託者)それぞれの意思・意見の総和が集約されて、資産運用会社は議決権を行使するだけなのです。
結局のところ、会社にとって意味があるのは、「議案に対し合計何票の賛成票が投じられ合計何票の反対票が投じられたか?」
だけなのです。
各株主がどのような意思・意見・判断があってそのように票を投じたのかは全く重要ではないわけです。
少なくともそのことは会社法制度の範疇外のことであるわけです。
ですので、市場の投資家にとっても、資産運用会社がどのような議決権行使をしたのかはほとんど意味がないのです。
委託者が資産運用会社にどのような指図をしたのかは、委託者と資産運用会社との間の問題に過ぎないわけであって、
そのこと(当事者間の投資信託契約の内容)についてあれこれ問うのは、会社法制度上も証券制度上もおかしいわけです。
他の言い方をすれば、資産運用会社の議決権行使は投資信託契約の結果なのです。
投資信託契約は、会社にも市場の投資家にも関係がないことのはずです。
個別開示とは言いますが、その議決権行使の背景には数多くの投資家(委託者)の意思・意見・判断・指図等があるのです。
ですので、「私はこの議案に対しこのような議決権行使をしました。」という開示には意味がないのです。
さらに言えば、仮に個別開示をするとしますと、「ではなぜこの議案に対しそのような議決権行使をしたのか?」
という点について誰もが知りたくなる(もしくは、そのことを知ることに意味がある)わけですが、
その問いの答えは株主の数だけあるでしょう(つまり、株主毎の固有の事情がある)。
その点について開示しだすとキリがないと思いますし、
またそもそも株主に「ではなぜこの議案に対しそのような議決権行使をしたのか?」を問うのが会社法制度ではないと思います。
証券制度の観点から見ても、その理由を問うても意味はないでしょう(会社の問題ではなく株主の問題だから)。
資産運用会社は上場企業という前提ではないはずです(そういう議論ではないはずです)。
証券制度が情報開示を要請するべきなのは上場企業に対してであってその株主に対してではないはずです。
証券制度上、上場企業には詳細な情報開示が要請されるべきですが、株主に情報開示を要請してどうするのでしょうか。
機関投資家の行動指針が他の株主(市場の投資家)に関係があるのでしょうか。
資産運用会社が適切な議決権行使をしないことの問題点は、資産運用会社とその委託者等との間の問題であって、
上場企業の問題点では全くないわけです(つまり、その問題点はそもそも市場の投資家には全く影響がないこと)。
機関投資家の行動指針(スチュワードシップ・コード)と呼ばれるものは、
そもそもの話として「情報開示とは何か?」を根本的に履き違えているように思います。
情報開示を行うのはあくまで上場企業であって株主(市場の投資家)ではないのです。
以上の議論を図に描いてみましたので参考にして下さい。
「なぜその議案に対しそのような議決権行使をしたのか?」と株主に問うのは意味がないと分かるはずです。
「議決権に関してあるのは票の集計だけです。意思を問うことはしません。」
↓
「株主甲の議決権行使内容」(賛成票xxx票、反対票xxx票)
↓
賛成票も投資家3名の合算の結果、反対票も投資家3名の合算の結果、というだけ。
つまり、株主甲の議決権行使内容の開示にはほとんど意味がない。
他の言い方をすると、株主甲の議決権行使は株主甲の意思や投資方針とは関係がない、ということ。
株式会社コメダホールディングスの事例も、理解の1つのヒントになるのではないかと思い紹介しました。
株式会社コメダホールディングスはあくまで「株主」(株式の所有者)に対し株主優待を付与するわけです。
議決権行使が「株主の委託者」の指図によるものであることを理由に「株主の委託者」に株主優待を付与したりはしないわけです。
会社に見えるのは、「株主」(株式の所有者)だけなのです。
株式会社コメダホールディングスは「なぜ議決権行使をしたのですか?」とは誰にも問わないわけです。
同様に、「なぜその議案に対しそのような議決権行使をしたのか?」と理由を問うてどうするのだろうかと思いました。
機関投資家の行動指針(スチュワードシップ・コード)に関連する議論というのは、
会社法制度から見ても証券制度から見ても的外れなこと(両方の制度の範疇外のこと)を言っているように私には思えます。
Who exercises a voting right?
誰が議決権を行使するのか?
From a stanspoint of a company, it is not a truster of a shareholder but
the shareholder himself
who exercise a voting right.
From a standpoint of
a company, the opinion of shareholders
is reflected in the result of the
exercise of voting rights.
So, from a standpoint of a company,
a
shareholder means only a owner of a share (or a holder of the ownership of a
share).
In other words, from a standpoint of a company, what kind of contract
a shareholder makes with someone
has nothing to do with the company.
会社の立場から見ると、議決権を行使するのは株主の委託者ではなく株主その人なのです。
会社の立場から見ると、株主の意見というのは議決権行使の結果に表れるものなのです。
ですので、会社の立場から見ると、
株主というのは株式の所有者(すなわち、株式の所有権者)のみを意味するのです。
他の言い方をすると、会社の立場から見ると、株主が他の誰かとどのような契約を締結しているかは会社には関係がないのです。
With what kind of intention a shareholder exercises his voting rights
is almost meaningless.
株主がどのような意思を持って議決権を行使するのかはほとんど意味がありません。
A company doesn't say to a shareholder, "Why did you exercise your voting
rights in this way?"
The questoin is out of the range of the Companies Act
system.
会社は株主に「あなたはなぜこのような議決権行使をしたのですか?」とは問わないのです。
その問いは、会社法制の範囲外のことなのです。