2017年4月28日(金)



2017年4月27日(木)日本経済新聞
「上場の心得」受講対象広く 全取締役・監査役にも義務 東証がネット講座
(記事)





2017年4月27日
日本取引所自主規制法人
新規上場申請会社に対する上場審査におけるeラーニングの活用について
ttp://www.jpx.co.jp/corporate/news-releases/3020/20170427-01.html

 

上場会社向けeラーニング(東京証券取引所)
ttp://www.jpx.co.jp/equities/listed-co/seminar/e-learning/

 



有価証券上場規程(東京証券取引所)(公表日:平成29年2月10日、施行日:平成29年3月31日)
ttp://jpx-gr.info/rule/tosho_regu_201305070007001.html

>(公認会計士等)
>第438条
> 上場内国株券の発行者は、当該発行者の会計監査人を、有価証券報告書又は四半期報告書に記載される
>財務諸表等又は四半期財務諸表等の監査証明等を行う公認会計士等として選任するものとする。

 


第5章 会計監査人との連係 - 日本監査役協会
ttp://www.kansa.or.jp/support/el001_110707_03.pdf

「会社法の会計監査人と金融商品取引法の監査人との関係」



 

定款(株式会社東芝)(2016年6月22日改正)
ttp://www2.tse.or.jp/disc/65020/140120160831485518.pdf

「東京証券取引所ウェブサイト上のPDFファイル」



 

関連する過去のコメント

2017年4月26日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201704/20170426.html

 



【コメント】
2017年4月26日(水)に、株式会社東芝が「一時会計監査人」を選任する、ということの問題について書きました。
この論点に一言だけ追記をします。
まず、紹介している2017年4月27日(木)付けの日本経済新聞の記事についてですが、
この記事は、東京証券取引所(日本取引所自主規制法人)が、新規上場申請会社の経営陣に対して、
提供しているインターネット講座(eラーニング)を通じて「上場の心得」を学ぶことを要請している、という内容になります。
2017年4月27日(木)にこの記事を読んだ時は、株式会社東芝の経営陣もしっかり勉強をして、
会社の一存で「一時会計監査人」を選任することはできない、ということを学ぶべきだ、と思いました。
また、東京証券取引所も、上場企業において無限定適正意見が表明されない場合を想定して、
任意に「一時会計監査人」を選任することはできない旨、eラーニングでも教育をするべきだと思いました。
条文を解釈する時は、必ず「その条文が意味している背景」を踏まえなければならない、と思いました。
結論を端的に言えば、株式会社東芝は「一時会計監査人」を選任することはできず、
したがって、監査法人を変更することで無限定適正意見を受領することはできない、ということになります。
それで、今日は改めてこの論点について考えていたのですが、
金融商品取引法上の「独立監査人」は一体どうやって選任されるのだろうか、と思いました。
そして、株式会社東芝の取締役会決議で選任するのではないか、と思いました。
ただそれは、会社としては、会計監査人を独立監査人として追認する、という位置付けになるのではないだろうか、と思いました。
そのようなこを考えていますと、今日はあることに気付きました。
それは、金融商品取引法上の「独立監査人」は会社法上の「会計監査人」とは実は全く関係がない、という点です。
有価証券上場規程の第438条を読みますと、確かに独立監査人は会計監査人でなければなりません。
しかし、これは有価証券上場規程がそのように定めているだけであり、
金融商品取引法がそのように定めているわけではありません。
無限定適正意見がまさにそうであるように、上場廃止か否かは、煎じ詰めれば実は金融商品取引法で決まるわけです。
やや語弊がある言い方になりますが、上場廃止か否かは有価証券上場規程で決まるわけではないのです。
事の本質部分は、有価証券上場規程ではなく、金融商品取引法にあるのです。
そのことを考えますと、金融商品取引法に独立監査人の選任に関する規定がないのはおかしいな、と思ったわけです。
おかしいな、とは思ったのですが、この点について理詰めで考えてみますと、
その理由は、金融商品取引法上の「独立監査人」は会社法上の「会計監査人」とは関係がないからだ、と気付きました。
元来的には、金融商品取引法監査と会社法監査とは、全く別の監査なのです。
同一の監査法人が両方の監査を担当していること自体がおかしい、とすら言っていいくらい、
金融商品取引法監査と会社法監査とは趣旨・目的がそもそも異なるのです。
前者の目的はまさに投資家保護ですが、後者の目的は債権者保護と営業結果の報告です。
理詰めで考えてみますと、金融商品取引法上の「独立監査人」は金融監督当局が選任するべきなのだと思います。
それがまさに「独立」の意味ではないでしょうか。
究極的なことを言えば、会社自身が選任しているのに、会社から「独立している」、ではおかしいのではないでしょうか。
ただ、現実的なことを鑑み、現行の各種規定では、会社法上の会計監査人が金融商品取引法上の独立監査人を兼ねているわけです。
現行の取り扱いに沿って考えるならば、
「会社は金融商品取引法上の独立監査人として会社法上の会計監査人を選任しなければならない。」
と金融商品取引法に定めるべきだと思います。

 



At first, you must learn your mother tongue.

まず、国語を学びなさい。

 

It is true that an "independent auditor" itself on the Financial Instruments and Exchange Act
is elected only by a resolution of a board of directors,
but the auditor must be a "financial auditor" on the Companies Act.
After all, electing an "independent auditor" on the Financial Instruments and Exchange Act
amounts to electing a "financial auditor" on the Companies Act.
That is to say, electing an "independent auditor" on the Financial Instruments and Exchange Act
virtually requires a resolution of a meeting of shareholders.
But, as far as I can understand as of now, the Financial Instruments and Exchange Act itself requires
neither a "financial auditor" on the Companies Act nor a resolution of a meeting of shareholders
as an "independent auditor" written on the securities reports.
The regulations of the stock exchange only require
the consistency of an "independent auditor" on the Financial Instruments and Exchange Act
and a "financial auditor" on the Companies Act.
Ultimately speaking, an "independent auditor" on the Financial Instruments and Exchange Act
has nothing to do with a "financial auditor" on the Companies Act.
In the theory, this indicates that the audit on the Financial Instruments and Exchange Act
has nothing to do with the audit on the Companies Act.
Ultimately speaking, an "independent auditor" on the Financial Instruments and Exchange Act
must be elected exclusively by the financial administrative authorities.
It is quite natural that an "independent auditor" on the Financial Instruments and Exchange Act
is different from a "financial auditor" on the Companies Act in theory, actually.

確かに、金融商品取引法上の「独立監査人」自体は取締役会決議のみで選任されるのですが、
「独立監査人」は会社法上の「会計監査人」でなければならないのです。
結局のところ、金融商品取引法上の「独立監査人」を選任することは、
会社法上の「会計監査人」を選任することと同じなのです。
すなわち、金融商品取引法上の「独立監査人」を選任するためには、事実上株主総会決議が必要なのです。
ただ、現時点で私が理解している限りでは、各種有価証券報告書に記載される「独立監査人」としては、
金融商品取引法自体は、会社法上の「会計監査人」も株主総会決議も要求してはいないのです。
証券取引所の上場規則だけが、金融商品取引法上の「独立監査人」と会社法上の「会計監査人」とは一致していなければならない
ことを求めているのです。
究極的なことを言えば、金融商品取引法上の「独立監査人」は会社法上の「会計監査人」とは関係がないのです。
理論的には、このことは、金融商品取引法監査は会社法監査とは関係がない、ということを示しています。
究極的なことを言えば、金融商品取引法上の「独立監査人」は専ら金融監督当局が選任するべきなのです。
実は、理論上は金融商品取引法上の「独立監査人」が会社法上の「会計監査人」と異なっていることは全く自然なことなのです。