2017年1月2日(月)
建築(田中土建工業株式会社)
ttp://www.tanaka-dk.co.jp/construction/index.html
リノベーション・アフターメンテナンス(田中土建工業株式会社)
ttp://www.tanaka-dk.co.jp/renovation_after_maintenance/index.html
不動産
ttp://www.tanaka-dk.co.jp/real_estate/index.html
建設業会計についての昨日のコメント
2017年1月1日(日)
http://citizen.nobody.jp/html/201701/20170101.html
>建設業を営んでいる会社では、完成工事未収入金、未成工事支出金、未成工事受入金、工事未払金の4つが必然的に大きくなるのです。
と書きました。
今日紹介しています田中土建工業株式会社の決算公告の財務諸表も、建設業会計に基づいた財務諸表です。
田中土建工業株式会社の財務諸表では、完成工事未収入金、未成工事支出金、未成工事受入金、工事未払金の4つが開示されています。
建設業の特性を踏まれば、これらは当然の開示であると思います。
ただ、昨日の新菱冷熱工業株式会社とは逆に、
損益計算書に用いられている勘定科目は建設業会計で用いるべき勘定科目とは異なっています。
建設業会計では、完成工事高、完成工事原価、完成工事総利益、という勘定科目を用いなければならないのですが、
田中土建工業株式会社の財務諸表では、営業収益、営業費用、営業利益(売上総利益がない)、という勘定科目になっています。
一言で言えば、貸借対照表で用いられている勘定科目と損益計算書で用いられている勘定科目との間に整合性がない、
ということになります。
ただ、昨日の新菱冷熱工業株式会社の財務諸表でもありましたように、
損益計算書では勘定科目をまとめて表示しているのであろういうのは分かります。
昨日の新菱冷熱工業株式会社同様、今日の田中土建工業株式会社も複数の事業を営んでいます。
田中土建工業株式会社は建築事業(建設事業)も営んでいるんですが、
リベノーション・アフターメンテナンス事業(建物の価値向上のための改修工事)や
不動産事業(建物の管理・運営に関するアドバイスや賃貸事業)も営んでいます。
会社の総収益額に占める割合としては、完成工事高が一番大きいのは間違いないと思いますが、
リベノーション・アフターメンテナンス事業と不動産事業による収益額も一定割合あるのでしょう。
それで、損益計算書で用いる勘定科目としては、完成工事高にまとめてしまうのではなく、
良く言えば広い範囲を含む、悪く言えば漠然とした「営業収益」という勘定科目を用いているのだと思います。
それから、上記「リノベーション・アフターメンテナンス」のページを見ますと、
リノベーション・アフターメンテナンス事業では、会社と顧客とは工事請負契約を締結する、と書かれています。
そうしますと、リノベーション・アフターメンテナンス事業で獲得した収益に関しても、
総収益額を表現するためには「完成工事高」勘定を用いるべきであろうと思いました。
つまり、私は最初、建築事業とは異なり、リノベーション・アフターメンテナンス事業では、
会社は工事施工者の仲介・斡旋のみを顧客に行うのだろうと思ったのですが、正しくは会社と顧客と工事請負契約を締結します。
仲介・斡旋のみの場合は収益は手数料ということになる(少なくとも勘定科目は「完成工事高」にはならない)
と思ったのですが、実は会計処理方法・用いるべき勘定科目は、この事業においても建設業会計に基づく必要があるようです。
改修工事と聞きますと、建物自体の建設とは正反対に、小規模・短期間・少額費用・単一工事施工者、といった工事を
私は頭に思い浮かべてしまったのですが、改修工事といってもその内容は顧客の希望や諸条件によるのでしょうし、また、
業界の商慣習として、どんなに小規模な改修工事であっても、工事施工者が工事請負契約を顧客と締結することはない、
といった業界慣習があったりするのかもしれません。
つまり、顧客と工事請負契約を締結するのは、あくまでも昨日の新菱冷熱工業株式会社や今日の田中土建工業株式会社のような
総合的な建設業者(工事施工者に取り次ぐだけの場合もある等)である、というような業界慣習があるのかもしれません。
建設業は本来的に多くの協力会社(工事施工者等)と協力して工事を進めていくという事業特性がありますので、
小規模な改修工事であっても建設業者が請け負う、という形になっているのでしょう。
そうしますと、たとえ改修工事であっても(例えば建設会社は工事施工者に工事依頼を取り次いだだけであっても)、
建設会社がそこで獲得した収益に用いるべき勘定科目は「完成工事高」勘定、ということになるのだと思います。
次に、不動産事業に関しては、建物の管理・運営に関するアドバイスや自社所有建物の賃貸事業ということですので、
建設会社がそこで獲得した収益に用いるべき勘定科目は「受取手数料」勘定や「不動産アドバイス業収益」勘定や
「受取賃貸料」勘定ということになるでしょう。
ただ、一般論を言えば、「完成工事高」勘定というのは
まさに「引き渡した建物の総額」(買い手からするとまさに「建物の取得価額」)を表しています。
つまり、「完成工事高」勘定というのは非常に大きな金額になるわけです。
「完成工事高」勘定の大きさというのは手数料やアドバイス料や賃貸料の金額に比べれば非常に大きいわけです。
田中土建工業株式会社の場合、不動産事業の規模が他の事業に比べてどれくらい大きいのか次第ではありますが、
「事業の総収益額」という観点から言えば、不動産事業の総収益額は割合で言えば非常に小さいのかもしれません。
いずれにせよ、田中土建工業株式会社では、会計処理に建設業会計を適用する事業が相対的に多いのだけは確かでしょう。
つまり、建築事業とリノベーション・アフターメンテナンス事業には建設業会計を適用することになりますし、
不動産事業には建設業会計は適用しない、という会計処理になるのだと思います。
内訳をどの程度開示するべきかは煎じ詰めれば「金額」で判断することになるわけです(金額が大きい=重要性が高い)が、
昨日と同じ指摘になりますが、貸借対照表で建設業会計に基づいた内訳開示を行うのであれば、
損益計算書においても建設業会計に基づいた内訳開示(「完成工事高」等の開示)を行うべきであると思います。
貸借対照表では建設業会計を適用するが損益計算書では建設業会計を適用しない、などという考え方はないわけです。
開示のためのスペースの問題もあるのでしょうが、建設業会計で用いる勘定科目はどれも金額が大きくなりがちですので、
貸借対照表においても損益計算書においてもできる限り内訳を開示するようにするべきだと思います。