2016年12月31日(土)



昨日のコメントに一言だけ追記をします。

2016年12月30日(金)
http://citizen.nobody.jp/html/201612/20161230.html

昨日は、「公開買付が不成立に終わった場合に応募株主に決済代金を支払うことは金融商品取引法上認められるのか否か?」
という点について書きました。
投資家保護の観点から、昨日は、公開買付が不成立の場合に公開買付者が応募株式を買い付けることは投資家の利益に資する、
という結論に行き着いたわけです。
それで、昨日は主に「応募株主」の利益保護の観点から議論をしたわけですが、
逆に「応募をしなかった株主」の利益保護の観点から議論を進めることもできるのかもしれないなと思っているところです。
つまり、「公開買付が不成立の場合に公開買付者が応募があった株式を買い付けることは『応募をしなかった株主』の
利益を害することになるのか否か?」という議論が可能なのではないかと思うわけです。
昨日は、公開買付が不成立の場合に公開買付者が応募があった株式を買い付けることは『応募株主』の利益を害することにならない、
という結論に行き着いたわけです。
支配株主の誕生は公開買付の結果に過ぎず、成立不成立に関わらず応募株主は株式を買い付けてもらいたいという意向があるはずだ、
というのがこの結論の根拠であるわけです。
しかし、仮に公開買付が不成立の場合に公開買付者が応募があった株式を買い付けることは「応募をしなかった株主」の
利益を害することになるのであれば、それはもう一方の立場から見た場合の投資家保護の観点に反することになるでしょう。
公開買付に応募をしなかったということは、「応募をしなかった株主」は、@買付価格に納得していないか、もしくは、
A公開買付者が支配株主になるのに反対であるか、のどちらかでしょう。
買付価格に納得しなおかつ公開買付者が支配株主になるのに賛成なのであれば、株主は公開買付に応募をするはずでしょう。
「応募をしなかった株主」は、@買付価格に納得していない、もしくは、A公開買付者が支配株主になるのに反対である、
のどちらかであるという状況の時に、公開買付が不成立であったにも関わらず公開買付者が応募があった株式を買い付けることは、
「応募をしなかった株主」の利益を害することにつながらないだろうか、と思ったわけです。
公開買付が不成立に終わったということで、公開買付者が支配株主になるという事態は結果避けられたわけですが、
応募かあった株式を買い付ける結果、公開買付者が一定規模の議決権を所有する大株主になることに変わりはないわけです。
公開買付が不成立に終わったのであれば、公開買付者は応募があった株式を買い付けるべきではない(大株主になって欲しくない)、
と「応募をしなかった株主」が主張したくなるという状況は考えられると思います。
また、買付価格についても、応募をしなかったということは買付価格を低いと判断していることになるわけですが、裏を返せば、
「公開買付者にその買付価格で対象者株式を買い付けてもらいたくない。」
と「応募をしなかった株主」は考えていた、という見方もできるのかもしれないなと思いました。
ただ、そもそも公開買付は全株主を対象した相対取引という側面があります。
ある株主が公開買付者に株式を売ることを他の株主が妨げる(それは自分の利益が害されることになると主張する)ことはできない
わけですし、その際の株式の譲渡価額は低いので公開買付者は不当に低い価格で対象者株式を取得している(だから譲渡を認めない)、
と他の株主が主張することもできないわけです。
そうしますと、結局のところは、「公開買付が不成立の場合に公開買付者が応募があった株式を買い付けることは
『応募をしなかった株主』の利益を害することにならない。」という結論に行き着き気がします。
結局、この場合「応募株主」の利益も「応募をしなかった株主」の利益も害されない、という結論に行き着くと思いました。