2016年12月16日(金)


2016年12月3日(土)日本経済新聞
深セン・香港証取が相互取引を開始
(記事)


2016年12月5日(月)日本経済新聞
深セン A株投資可能に 香港と相互取引開始で 東洋証券など
(記事)


2016年12月6日(火)日本経済新聞
深セン・香港で株相互取引が開始 中国本土株、売買容易に
(記事)




過去の関連コメント

2016年8月17日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201608/20160817.html

 



【コメント】
深セン証券取引所と香港証券取引所とで相互取引が可能になる、という記事です。
この事例については、2016年8月17日(水) のコメントで言い尽くしていると思います。
2016年8月17日(水) のコメントを読み返していただければと思います。
この事例を理解するポイントを一言で言えば、要するに、「各証券会社の対応証券取引所が拡大することになった。」となります。
この事例は、記事に記載されているような「証券会社間の相互取引」とは全く異なる点に注意が必要です。
中国本土の証券会社は今までは、深セン証券取引所と上海証券取引所への窓口のみを提供してきたのですが、
2016年12月5日(月)からは香港証券取引所への窓口も提供することになったわけです(証券取引所への提供窓口が増加した)。
同様に、香港の証券会社は今までは、香港証券取引所への窓口のみを提供してきたのですが、
2016年12月5日(月)からは深セン証券取引所と上海証券取引所への窓口も提供することになったわけです。
これは、証券会社の対応範囲(対応証券取引所)が拡大することになった、ということなのです。
証券取引所間がシステムで接続されて株式の相互取引が可能になった、ということはでは全くないわけです。
日本国内で例えて言うならば、例えば福岡に地場証券会社があるとして、今までは地元福岡証券取引所に上場している
株式しか取り扱ってこなかった(福岡証券取引所への窓口しか提供していなかった)のだが、
これからは新たに東京証券取引所に上場している株式も取り扱うようになった(東京証券取引所への窓口も提供するようになった)、
という状況と全く同じであるわけです。
制度の改正により変わったのは、証券取引所ではなく、証券会社(の対応)の方なのです。
もちろん、証券取引所も、今までは窓口の提供を認めてこなかった証券会社にも新たに窓口の役割を認めることになるわけですから、
その意味では証券取引所も一定度は変わったと言えるわけですが、
このたびの制度改正の一番中心にある部分というのは、証券会社の対応の拡大である、という見方をしなければならないと思います。

 


それから、改めて2016年8月17日(水) の記事にあります「株式相互取引のイメージ」を見ますと、
中国本土の投資家は従来から、深セン証券取引所と上海証券取引はもちろん、香港証券取引所の株式も取引できた、
ということなのだとうかとふと思いました。
逆に、香港の投資家は、香港証券取引所は言うまでもありませんが、
上海証券取引所の株式は取引できたが深セン証券取引所の株式は取引できなかった、
ということなのだとうかとふと思いました。
2016年8月17日(水) の記事には、

>中国政府は2014年11月、上海と香港の間で株式相互取引を解禁した。

と書かれていますが、中国本土の投資家は、深セン証券取引所と上海証券取引は言うまでもありませんが、
2014年11月以降は香港証券取引所の株式も取引できた、ということになる気がします。
つまり、中国本土の投資家に取っては、2016年12月の制度改正は実は何の意味もなかった(以前からできた)、
ということになるような気がします(中国本土の「証券会社」の対応状況だけの話になりますので)。
私のこの理解が正しいなら、2016年12月の制度改正は、香港の投資家に大きなメリットがあった、ということになると思います。
理解の助けのため、「個人投資家にとっての利用可能証券取引所の増加の推移」という表を作成しましたので、参考にして下さい。
中国本土に個人投資家の知り合いがいれば、「2014年11月から香港証券取引所の株式の取引ができるようにならなかったか?」と、
国際電話か電子メールで尋ねたいところなのですが、残念ながらいませんので推論だけをしているところです。
もしあなたに中国本土に個人投資家の知り合いがいるのであれば、
「2016年12月からではなく2014年11月から香港証券取引所の株式の取引ができるようにならなかったか?」と、
国際電話か電子メールで聞いてみてください。
「是的。」(Yes.)と返事が返ってきたら、私の理解が正しいということです。


「個人投資家にとっての利用可能証券取引所の増加の推移」

(PDFファイル)

 

(キャプチャー画像)




The reform of the security system at December, 2016 is beneficial
not to investors in the Chinese mainland but to those in Hong Kong.

2016年12月の証券制度の改正は、中国本土の投資家にとって有益なのではなく、香港の投資家にとって有益なのです。

 



また、2016年8月17日(水) の記事には、図「株式相互取引のイメージ」にも書かれていることですが、

>投機マネーの急激な流入を防ぐため、香港から深センへの買越額に1日当たり130億元(約2000億円)、
>深センから香港への投資には105億元(約1600億円)の上限を設ける。

と書かれています。
しかし、証券取引所から証券取引所へ現金が移動するわけではありませんので、この考え方はおかしいと思います。
株式の取引の結果、現金はあくまで投資家(買い手)からから投資家(売り手)へ移動するのであって、
証券取引所から証券取引所へ現金が移動するわけではありません。
どう表現すればいいかわかりませんが、現金のやり取りは1証券取引所内で完結する、と言えばいいと思います。
株式の取引の結果、例えば香港証券取引所から深セン証券取引所へ現金が移動することはないのです。
証券取引所と証券取引所が接続されている様子を想像しますと、証券取引所間を現金が移動するかのようなことが
イメージできてしまいますが、どのような株式の取引を行っても、証券取引所から証券取引所へ現金が移動することはないのです。
株式の取引は、証券取引所にいる投資家と投資家との間で行われるのです。
現金が証券取引所から証券取引所へ移動することはないのです。

 



それから、今日アップロードしている記事のファイル名は「duplex stock exchange.」(二重の証券取引所)としたのですが、
このたびの事例にはあまりふさわしくないファイル名にしてしまったと思います。
「株式1銘柄について証券取引所が複数ある」という意味合いでこのファイル名にしたのですが、
このたびの事例ではあくまで「株式1銘柄について証券取引所は1つのみ」という状況かと思います。
つまり、深セン証券取引所の株式と香港証券取引所の株式とが相互に重複上場を果たす、というわけではないわけです。
この時は記事をスキャンして取り急ぎファイル名だけ付けたわけなのですが、記事の見出しだけを読んで、
「株式1銘柄について上場している証券取引所が複数ある(上場している全銘柄が自動的に重複上場する)」という状況を
勝手にイメージしてしまいましたので、このようなファイル名をつけてしまったところです。
インターネットで検索しますと、「重複上場」は英語で、
「duplicate listing」、「multiple listing」、「dual listing」、などと訳すようです。
「このたびの証券制度の改正は、重複上場では全くない。」という点は改めて強調しておきたいと思います。
ANAホールディングス株式会社が重複上場(普通株式の上場廃止)を廃止する、という記事がありましたので紹介します。
2016年8月17日(水) のコメントでも書いたことですが、重複上場は株式の公正な価格形成(買い注文と売り注文の集中・拮抗)を
阻害することになります(1箇所に集めるべき売買注文が分散してしまう)ので、理論上は一切認めるべきではないと思います。
また、海外の証券取引所に株式を上場させる場合は、預託証券の形を取るしかない(海外への株式の直接上場はできない)と思います。
なぜなら、法理的には、日本の会社法は日本国内でしか効力を持たないからです。
外国にいる投資家が日本の会社法に基づいて発行された株式を所有している状態というのを観念できないわけです。
海外への株式の上場に関しては、私的な契約の積み重ねにより(海外における預託証券の発行・流通という手段により)、
仮想的な株式所有状態を作り出すしかないと思います。
また、東京証券取引所が開いている時間帯とロンドン証券取引所が開いている時間帯は完全に異なると思います。
株式そのものの上場であれ預託証券の上場であれ、海外への上場は結局重複上場の場合と同じ問題が生じると思います。
つまり、国内における株式の上場と海外における預託証券の上場の両方の上場がありますと、
株式の公正な価格形成(買い注文と売り注文の集中・拮抗)が実現しないことになります。
買い注文と売り注文は当然1箇所に集めなければならないわけですが、各証券取引所が開いている時間帯が異なっていますと、
買い注文と売り注文が完全に分散してしまうわけです。
他の言い方をすると、理論上、投資家は一様である(投資家に区別はない)はすなのに、海外との重複上場を行っていますと、
「日本の投資家」と「英国の投資家」といった具合に投資家の間に区別が生じてしまうわけです。
言わば、投資家によってANAホールディングス株式会社株式を取引できる時間帯が異なる、という状態が生じてしまうわけです。
この問題を解決するためには、論理的に考えれば、煎じ詰めれば、証券取引所を24時間開けておくという方法しかないと思います。
証券取引所を24時間開けておけば、論理的には、
日本時間の9時から15時までの間は英国の投資家はANAホールディングス株式会社株式の取引ができない、
という状態を解決することができるわけです。
証券取引所を24時間開けておくことは現実的ではない(それでは買い注文と売り注文の時間的分散を招くことにもなる)ならば、
やはり論理的には、預託証券も含めた重複上場自体を認めるべきではない、という結論になると思います。

 



ANAホールディングス株式会社が重複上場(普通株式の上場廃止)を廃止する、という記事です↓。

 

2016年12月2日(金)日本経済新聞
ロンドンに上場廃止申請 ANAHD
(記事)



2016年12月1日
ANAホールディングス株式会社
ロンドン証券取引所における当社株式の上場廃止申請に関するお知らせ
ttp://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1423528

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)




According to this press release, concerning ANA Holdings Inc.,
the security which is listed on the London stock exchange is not a depositary receipt but a share itself.
It is a company itself who isuues a share, but it is a securities company who issues a depositary receipt.

このプレスリリースによると、ANAホールディングス株式会社に関しては、
ロンドン証券取引所に上場している証券は、預託証券(DR)ではなく、株式そのものとのことです。
株式を発行するのは会社自身ですが、預託証券(DR)を発行するのは証券会社なのです。

 

The derivation of the word "date" with a girl is the original meaning of a date (i.e. day and time).
So, buyers and sellers should meet at a given time and place.
"24 hours" can probably not be a given time.

女の子とデートするの「デート」の語源は、date の元々の意味(すなわち日時)なのです。
ですので、買い手と売り手は所定の時刻と場所で会わなければならないのです。
「24時間」では所定の時刻にならないでしょう。