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2016年10月15日(土)



今日は、2016年10月12日(水) に書きました「火災保険」について、一言だけ追記をします。

2016年10月12日(水)
http://citizen.nobody.jp/html/201610/20161012.html

2016年10月12日(水) に「火災保険」について書いたわけですが、
今日は、被保険者が受け取った「受取保険金」は、税務上益金であるべきなのか、それとも、益金ではないと考えるべきなのか、
について一言だけ書きたいと思います。
2016年10月12日(水) に、特種東海製紙株式会社の記事と一緒に紹介しようと思ってその時は忘れてしまっていたのですが、
「受取保険金」についてイオン九州株式会社の記事がありましたので紹介します。

 

2016年9月22日(木)日本経済新聞
イオン九州、一転黒字に
(記事)



2016年9月21日
イオン九州株式会社
特別利益の計上および業績予想の修正に関するお知らせ
ttp://aeon-kyushu.info/files/management_news/1222/pdf.pdf

 

記事には、イオン九州株式会社が受け取った保険金について

>損壊した店舗について、保険金10億円を特別利益に計上した。

と書かれています。
プレスリリースには、

>第1四半期において震災関連費用11 億81 百万円を特別損失として計上しておりましたが、
>第2四半期において前述の地震保険の受け入れ10 億4百万円、
>及び2016 年7月22 日にお知らせいたしました固定資産の譲渡益12 億82 百万円を特別利益として計上いたします。

と書かれています。

 



店舗に関し、損失を計上した期(2017年2月期第1四半期)と受取保険金を計上した期(2017年2月期第2四半期)とがズレています。
この点は、保険会社にも保険金支払いのための手続きがあるでしょうから、実務上は問題はありません。
企業会計上、損失は早めに計上するべきなのですから、損失計上が間違っていたわけではないと言えるでしょう。
また、保険金の支払いについて、イオン九州株式会社が保険会社より通知を受けたのが「2016年9月21日」だったのだとすると、
イオン九州株式会社が保険会社から保険金を実際に受け取るのは「2016年9月21日」以降の日、ということになりますので、
受取保険金を計上するのは、正しくは「2017年2月期第3四半期」ということになります。
第2四半期末日(2016年8月31日)の時点では、まだ保険会社より通知を受けていないわけですから、
2017年2月期第2四半期に受取保険金を計上するのは間違いです。
少し話がわき道にそれましたが、それらの点は置いておくとして、私が保険に関して気になっているわけなのですが、それは、
災害を受け保険金を受け取った場合、できる限り利益や損失を計上しないような考え方はないものだろうか、と思っているからです。
災害や対象資産の再調達の影響を自分から切り離したいからこそ、人は保険に入るわけです。
保険金を受け取ったから利益計上だ、では保険の理念にも反するように思うわけです。
この点については、2016年10月12日(水) に紹介した教科書には(「火災保険の処理」)、

>火災の発生による損失と保険金の受取りは因果関係はあるものの、別個の取引なのでそれぞれ総額で計上します。

と書かれていまして、私も確かにその通りだとは思います。
イオン九州株式会社が保険金10億円を特別利益に計上するという会計処理には問題はないわけです。
ただ、自分なりに、何かいい会計処理方法なり取り扱い方法なりないだろうかと考えているわけです。
ただ、会計上の話をすると、「貸借対照表上の資産の未償却残高」と「実際に受け取る保険金額」と「対象資産の再調達価額」とは、
全てが異なっているわけです。
ですので、保険金を受け取った結果、仮に損失と相殺するにしても、一定度の利益が計上されるのは会計上は致し方ない、
ということに会計上はなるわけです。
それで、では税務上の取り扱いで何か工夫できる点はないだろうか、と考えていたのですが、
受取保険金の税務上の取り扱いとして、「対象資産の再調達価額」で線を引く、というのはどうだろうか、と思いました。
すなわち、「対象資産の再調達価額」までの受取保険金額は非課税、
「対象資産の再調達価額」を超える受取保険金額(差額部分)は益金、と考えるわけです。
保険の目的を鑑みれば、「対象資産の再調達価額」までの保険金を受け取ったとしても、
受け取った保険金を益金と捉えるのは間違いであると思うわけです。
なぜなら、その受取保険金はまさに対象資産の再調達のために必要なお金だからです。
しかし、「対象資産の再調達価額」を超える受取保険金は、必要な金額を超えるお金を受け取っていることになるわけですから、
その部分については寄付金を受け取ったものと見なし、益金とする、という考え方はどうだろうかと思ったわけです。
「実際に受け取る保険金額」と「対象資産の再調達価額」が一致していればよいのですが、
私が思うに、「実際に受け取る保険金額」の方が「対象資産の再調達価額」よりも大きくなることが多いと思います。
実費だけの支払いであれば、「実際に受け取る保険金額」と「対象資産の再調達価額」とは一致すると思いますが、
保険理論的には、保険金は実費という考え方をするのではなく、保険金額は契約締結時に決まっているもの、と考えると思います。
なぜなら、そのように考えないと、保険会社は保険料の設定ができない(災害発生確率なども勘案することでしょう)からです。
ですので、「対象資産の再調達価額」を超える受取保険金額(差額部分)のみを益金と見なす、という方法を考えてみました。

 


参考までに、会計処理の教科書から、「保険積立金」の部分をスキャンして紹介します。


保険積立金

「スキャン1」

 

「スキャン2」




2016年10月12日(水) に書きました内容と今日書きました内容は、どちらも「掛捨て方式」について私は書いたわけです。
「掛捨て方式」の場合に、支払う保険料と受け取る保険金の税務上の取り扱いが論点となるわけです。
「積立方式」の場合は、理論的には、支払った保険料は損金とはなりませんし、
満期が到来した時に受け取る返戻金も益金とはなりません。
ただ、「積立方式」において、それまで支払った保険料の合計額よりも多くの金額の保険金を受け取った場合は、
理論的には、超過している部分については益金になると思います。
その理由は、超過している部分については寄付金という捉え方になるからです。

 



From a standpoint of an insuree, an insurance received should be a non-taxable income in some case.

被保険者の立場から言えば、ある場面においては受取保険金は税務上益金算入されない所得であるべきなのです。

 


One idea is that an isurance reveived up to the amount of the "re-purchase value" of an object is non-taxable,
and an isurance reveived over the amount of the "re-purchase value" of an object is taxable.
That is, in the latter case,
an isurance reveived less the amount of the "re-purchase value" of an object
is regarded as a donation from a insurance company, therefore the portion is taxable.

対象物の「再調達価額」の金額までの受取保険金は税務上非課税とし、
対象物の「再調達価額」の金額を超過する受取保険金は税務上益金とする、という考え方もあります。
つまり、後者については、受取保険金から対象物の「再調達価額」の金額を減じた金額は、保険会社からの寄付金であると見なし、
したがって、その部分は益金になるわけです。

 


The reason why the amount up to the "re-purchase value" of an object is non-taxable is
that the amount is a "necessary expense" for re-purchasing an object.
This is also merely my personal opinion, though.

対象物の「再調達価額」までの金額は非課税である理由は、その金額は対象物を再調達するための「必要経費」だからです。
これもまた、私個人の意見に過ぎませんが。

 


The reason why I consider that an insurance received should basically be non-taxable is
that an insuree makes an insurance contract not for the purpose of acquiring profits.

受取保険金は基本的には非課税であるべきだと私が考えている理由は、
被保険者は利益を獲得するために保険契約を締結するわけではないからです。