2016年9月16日(金)
2016年9月15日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201609/20160915.html
昨日は関税の免税店についてコメントを書いたわけですが、今日は消費税の免税店について一言だけ書きます。
昨日、税務当局は、関税を課税するに際して、海外から国内に商品を持ち込もうとしている人は、
一消費者として商品を持ち込もうとしているのか輸入業者として商品を持ち込もうとしているのか区別は付かない、
と書いたかと思います。
それで、法理的には、該当する商品を国内に持ち込む際には一律に関税を課税する、ということになるわけです。
この考え方は、消費税に関しても当てはまるのではないかと思います。
つまり、日本にある消費税免税店は、商品を購入する人が、購入した商品を国内で使用・消費するのか海外で使用・消費するのかは
分からない、と言えると思います。
現行の消費税法では、外国人が商品を購入する際には消費税は課税しない、という考え方になっているようです。
ですので、訪日観光客(外国人)が消費税免税店で買い物をすると消費税がかからない、という取り扱いになるわけです。
確かに、訪日観光客(外国人)が消費税免税店で買い物をする際には、
レジでパスポートを始めとする身分証の提示を求められるでしょう。
しかし、訪日観光客(外国人)が商品を買ったからと言って、その商品が海外で使用・消費されるとは限りません。
長期滞在の結果、訪日観光客(外国人)が日本国内で使用・消費するかもしれないわけです。
また、理屈では、自分が買うと消費税がかかるからという理由で、日本人から頼まれてお金を渡され、
訪日観光客(外国人)が代わりに消費税免税店で頼まれた商品を買い、そしてその日本人に手渡す、ということも考えられます。
その場合は、消費税免税店で販売された商品は完全に日本国内で使用・消費されることになるわけです。
つまり、日本人に頼まれ訪日観光客(外国人)が代わりに買ったら消費税がかからない、というのはおかしいわけです。
>非居住者が事業用又は販売用として購入することが明らかな場合は、免税販売対象外になります。
とは書かれています。
まず最初に、居住者に頼まれ非居住者が代わりに商品を購入することは、
「事業用」にも該当しませんし「販売用」にも該当しない、ということになると思います。
また、そもそもの話として、消費税免税店は、非居住者が、事業用又は販売用として購入しているのか、それとも、
お土産や帰国後の自分用に購入しているのか、はたまた居住者に頼まれて購入しているのか、知る術は全くないわけです。
したがって、消費税法上、「非居住者」に対する販売である場合には消費税を免税する、という考え方をやめるべきでしょう。
すなわち、誰に対する販売か(販売の対象者)とは全く無関係に、事業者は販売に関して一律に消費税を課するべきなのです。
また、理論的には、消費税という税目は、流通段階の最上流の段階から消費者から消費税を徴収するということを前提にしています。
各流通段階において事業者が販売先から消費税を受け取るのは、消費者が消費税を負担するという大前提があってのことなのです。
非居住者からは消費税は受け取らないとなりますと、消費税の負担者が流通段階からいなくなるということを意味するわけです。
そのことは、消費税理論の根幹が崩れてしまうことを意味するのです。
結論を端的に言いますと、消費税の理論上(消費税の基本概念から言って)、
非居住者からは消費税は受け取らないということ自体ができない、ということになるのです。
消費税理論は、川上から川下までの全流通段階で税率は同じ、というこを前提にして成り立っているものです。
非居住者からは消費税は受け取らないということは、小売事業者から消費者への販売にかかる消費税率は0%だ、ということです。
現実には・実務上は、確かにお店が非居住者から消費税を受け取らないということはできると言えばできるわけですが、
実はそれは消費税の理論の根幹が破綻した取り扱いだ、と言わねばならないのです。
この点、かつての物品税であれば、非居住者に対する例外的な取り扱いは容易であったと言いますか、
少なくとも理論上は何の問題もないことであった、と言えるでしょう。
かつての物品税法では、非居住者は物品税の対象外である、という取り扱いはなかったのではないかと思います。
例えば、訪日観光客(外国人)が高級レストランで食事をするという場合、レジでパスポートなどを見せれば物品税が免除される、
などという取り扱いはなかったと思います。
しかし、非居住者は物品税の対象外である、と定めることは、物品税の理論上はおかしなことではない、と言えると思います。
その理論的理由は、一言で言えば、物品税は小売段階のみの課税だからです。
物品税は小売段階のみの課税だからこそ、居住者からは物品税を徴収し非居住者からは物品税を徴収しないという取り扱いをしても、
理論上の破綻はないわけです。
物品税の場合も、物品税の対象となる財やサービスを誰が購入したのかは全く関係なく一律に課税をするべきではあるわけです。
なぜなら、物品税逃れのため、居住者に頼まれて非居住者が代わり商品を購入する、という事態が想定されるからです。
ただ、そういった細かな論点を除くと、理論的には、対象品によって、また、対象者によって、税率を変える、
という取り扱いをすることは、物品税では理論的には間違ってはいないのです。
これが、税制度を設けるに当たり、付加価値という考え方をベースにしているのか否かの違いなのです。
端的に言えば、物品税と消費税とは全く異なる理論・全く異なる基本概念を基にして構築されているのです。
一消費者の立場から見ると、どちらも同じではないのか、と思ってしまうかもしれませんが、実は両者は根源的に異なるのです。
他の言い方をすると、消費税の場合は事業者に仮払消費税が必ずあり、物品税の場合は事業者に仮払物品税は一切ない、となります。