2016年7月22日
ヤフー株式会社
株式会社イーブックイニシアティブジャパン株券(証券コード3658)に対する公開買付けの買付条件等の変更に関するお知らせ
ttp://i.yimg.jp/images/docs/ir/release/2016/jp20160722.pdf
>3.買付条件等を変更する理由
>当社は、2016 年6月10
日から本公開買付けを開始いたしましたが、本公開買付けの開始後における
>対象者の株主の皆様による本公開買付けへの応募状況及び今後の応募の見通し等を総合的に考慮して、
>慎重に検討した結果、本公開買付けに応じて売付け等がなされた株券等の総数が本公開買付けの買付予
>定数の下限に達しない可能性があることから、2016
年7月22 日、本公開買付けに係る買付け等の期間
>(以下「公開買付期間」といいます。)を2016 年8月15 日まで延長し、公開買付期間を合計45
営業日
>とする本買付条件等変更を行う旨を決定いたしました。
過去の関連コメント
2016年6月15日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201606/20160615.html
【コメント】
ヤフー株式会社は、2016年6月10日付けで公開買付開始公告を行ったのですが、
買付期間の延長を行うことにしたので、2016年7月23日付けで公開買付条件等の変更の公告を行っているところであるようです。
当初は2016年7月22日(金)までの予定であったのですが、2016年8月22日(月)まで期間を延長することにしたようです。
ただ、その延長の理由というのが、少しおかしいようにも思います。
延長の理由は、端的に言えば、公開買付への応募数が公開買付の買付予定数の下限に達しない可能性があるから、とのことです。
下限に達しないと判断した背景としては、公開買付への応募状況及び今後の応募の見通し等を総合的に考慮した、と書かれています。
ただ、一般論として、公開買付者は「公開買付への応募状況」を買付期間中に知ることはできるのだろうか、と疑問に思います。
公開買付に先立ち、公開買付者は特定の大株主と応募契約を締結していたのだが、
その大株主はまだ応募をしていないという連絡を本人から受けた、というのであれば、
公開買付成立のためそして大株主の説得のため、買付期間を延長するということはあるとは思います。
つまり、特定の大株主と応募契約を締結している、という場合であれば、
本人との交渉の中で「その大株主の公開買付への応募状況」というのは分かると思うのですが、
一般株主に関しては、公開買付者は「公開買付への応募状況」を買付期間中に知ることはできないと思います。
買付期間中に「買付け等の決済をする金融商品取引業者」(公開買付代理人)に尋ねても、
「買付け等の決済をする金融商品取引業者」(公開買付代理人)は応募状況について答える義務はないように思います。
公開買付への応募が少ないので買付期間を延長するという事例はこれまでも実際にいくつかあったと思うのですが、
よくよく考えてみますと、公開買付者は「公開買付への応募状況」を買付期間中に知ることはできないと思います。
金融商品取引法にも、公開買付者に「公開買付への応募状況」を通知するというような定めはないのではないだろうかと思います。
「買付け等の決済をする金融商品取引業者」(公開買付代理人)は、決済の部分だけを担当するのだと思います。
個々の応募に関しては関与はしない、という位置付けなのだと思います。
「買付け等の決済をする金融商品取引業者」(公開買付代理人)は、株主に対し応募について推奨もしないし反対もしない、
という位置付けなのだと思います。
他の言い方をすると、「買付け等の決済をする金融商品取引業者」(公開買付代理人)は、
公開買付者にとっても株主にとっても中立な立場でなければならないのだと思います。
公開買付代理人と聞きますと、「買付け等の決済をする金融商品取引業者」は公開買付者側の立ち位置ではないか、
すなわち、公開買付者の利益を代表しているのではないか、と思われるかもしれませんが、
公開買付に関しては、決済代金の保管を始めとする完全に中立的な立場にいるべき存在なのだと思います。
ですので、「公開買付への応募状況」を公開買付者に教えると、中立ではなくなる(公開買付者に有利になる)、
ということになりますので、「買付け等の決済をする金融商品取引業者」(公開買付代理人)は、
「公開買付への応募状況」を教えることは決してしないと思います。
もちろん、応募を検討している一般株主から問い合わせがあっても、
「公開買付への応募状況」を株主に開示してはならない、ということになると思います。
公開買付者が応募契約を締結している大株主に対して、契約通り応募したかどうかを尋ねるのは自由だとは思いますが。
公開買付は、応募状況は分からないまま、「買付価格」一本で応募の可否が決まる、という株式売買方法になるのだと思います。
また、通常、公開買付者は一般の株主のことは全く知らない、という状況で公開買付は行われるものだと思います。
公開買付者が対象会社から事前に株主名簿を入手するということは、法理的にはないわけです。
その意味でも、公開買付は「買付価格」一本で応募の可否が決まるという株式売買方法になると思います。
公開買付に関しては基準日が設定されない理由というのは、公開買付自体は対象会社には関係がないからです。
対象会社の株主名簿を持っているのは、対象会社自身です。
そして、対象会社は株主名簿を公開買付者に見せる義務はないわけです。
公開買付それ自体は、純粋に公開買付者と株主との間の取引です。
簡単に言えば、対象会社は公開買付者に協力する義務は一切ないのです。
公開買付者は、対象会社の株主を知らないまま公開買付を開始するのです。
他の言い方をすれば、買い手は、売り手が誰かを知らないにも関わらず、目的物を買うのです。
この非対称性は、通常は危険なものです。
しかし、株式に関しては、各株式は全てが同一のものなのです。
ですので、誰が株式の売り手なのかは買い手にとってほとんど重要ではないのです。
買い手にとって重要なのは、株主は株式を自分に売ってくれるのかどうかだけなのです。