2016年8月5日(金)


昨日2016年8月4日(木) に紹介した株式会社イトーキのプレスリリースを題材に、「公告」について一言だけコメントします。


2016年8月4日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201608/20160804.html

 

2016年8月3日
株式会社イトーキ
子会社である株式会社ダルトン普通株式(証券コード7432)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ
ttp://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1389460

2.買付け等の概要
(9)その他買付け等の条件及び方法
A 公開買付けの撤回等の条件の有無、その内容及び撤回等の開示の方法
B 買付け等の価格の引下げの条件の有無、その内容及び引下げの開示の方法
D 買付条件等の変更をした場合の開示の方法
(19〜20/23ページ)

 



プレスリリースを「公告」というキーワードで検索しました。
公開買付者である株式会社イトーキは、このたび実施する公開買付に関して、今後どのような公告を行う可能性があるか、
という点についての記述になります。
一言で言えば、買付け等の条件の変更(公開買付の撤回や買付価格の引き下げ等)が行われる場合に、
株式会社イトーキは追加的な公告を行う可能性がある、とプレスリリースでは言っているわけです。
買付け等の条件の変更に際し公告を行う場合は、「電子公告を行い、その旨を日本経済新聞に掲載します。」と書かれています。
ただし、「公開買付期間の末日までに公告を行うことが困難な場合は、府令第20 条に規定する方法により公表し、
その後直ちに公告を行います。」と書かれています。
「公開買付の開始」同様、「買付け等の条件の変更」もまた、対象者株主に必ず到達せねばならない情報であると言えるわけです。
買付価格を引き下げるのであれば判断を変え応募を取り止める、もしくは、
買付価格を引き上げるのであれば判断が変わり応募を行う、ということは当然に考えられることだからです。
つまり、対象者株主にとって、公開買付の「変更」は「開始」と全く同じ重要性を持つわけです。
その意味では、「買付け等の条件の変更の公告」は、
「公開買付開始公告についてのお知らせ」と全く同じ公告方法によらなければならない、と言わねばならないと思います。
プレスリリースには、株式会社イトーキは、「公開買付の開始」に関し、

>電子公告を行い、その旨を日本経済新聞に掲載します。(電子公告アドレス http://disclosure.edinet-fsa.go.jp/ )

と書かれています(10/23ページ)。
確かに、ここだけ読みますと、「買付け等の条件の変更の公告」は、
「公開買付開始公告についてのお知らせ」と全く同じ公告方法により行います、と株式会社イトーキは言っているわけです。
その意味では、株式会社イトーキが計画している追加的な公告の方法は、理論的にも正しい公告方法であるわけです。
ただ、ここで言っている「電子公告」というのは、EDINETに必要な書類を提出することを指していると思います。
EDINETに必要な書類を提出すること自体は、必要なPDFファイル(文書)が作成され次第できることだと思いますので、
電子公告の場合は、理屈では「公開買付期間の末日までに公告を行うことが困難な場合」というのは起こり得ないように思います。
いずれにせよ、EDINETに必要な書類を提出することをここでは「電子公告を行う」と言っているわけですが、
以前も書きましたが、そもそもEDINETに書類を提出することは公告ではないと私は感じます。
なぜなら、対象者株主は、EDINETに書類を提出すること自体を知らないからです。
官報もしくは日刊新聞紙に公告を掲載することを、公告と呼ぶのだと思います。
また、情報の到達可能性という意味では、公告ではなくやはり「個別の通知」が一番確実だと思います。
「個別の通知」に比べれば、官報に掲載する公告でさえも、情報の到達可能性は相対的に低いと言わねばならないと思います。

 

What you call a public announcement is passive, whereas individual notice is active.
In other words, a public announcement is relatively irresponsible, whereas individual notice is responsible.

いわゆる公告というのは消極的なものであり、個別の通知というのは能動的なものです。
他の言い方をすれば、公告は相対的に責任を果たせないものであり、個別の通知は責任を果たせるものなのです。