2016年6月8日(水)


2016年6月8日(水)日本経済新聞
春秋
(記事)



【コメント】
広辞苑に「部活」という言葉が採用されたのは、なんと1991年出版の第4版からであるそうです。
昔は「部活」ではなく「部活動」と言っていた(第3版以前の広辞苑には「部活動」と載っていた)ということなのでしょうか。
言われてみると、確かに、一般には「○○活動」という言い方をするように思います。
「部活」というふうに、「活」の一文字だけで表現しますと、何かの省略形のように感じます。
「活を入れる」という慣用表現はありますが、それ以外は「活」の一文字で何かを表す使い方はしないようです。
従来からの正しい日本語は「部活動」なのに、
「部活」という省略した言葉が広辞苑に載るというのは珍しいことだったのかもしれません。
ところで、日本語と辞書ということで今日改めて思ったのですが、
「野性」という日本語の対義語は何になるだろうか、と思いました。
インターネットやオンライン辞書などで検索しても、「野性」の対義語は見つかりません。
「野性的」の対義語として「都会的」という言葉が載っていたくらいです。
「野性」の対義語が「都会」というのはやはり何か違うなあと思い、自分なりに対義語を考えてみました。
すると、辞書には載っていませんが、私見になりますが、「野性」の対義語が思い浮かびました。
「野性」の対義語は「社会性」です。

 

The antonym of "wild" is "socialized."

「野性」の対義語は「社会性」です。

 

英文中の単語を形容詞ではなく名詞で表現するなら、

The antonym of "wild nature" is "being socialized."

となろうかと思います。
意味は全く同じです。
”「野性的な性質」の対義語は「社会化されていること」です。”となります。

 

 


2016年6月2日(木)のコメントについて一言コメントします。
 
2016年6月2日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201606/20160602.html

この事例では、「みなし配当課税」が論点になっているわけですが、
いまいち「みなし配当」の考え方がしっくり理解できないな、と思います。
2016年6月2日(木)のコメントでは、「みなし配当課税」の理論的矛盾点について書きましたが、
今日は税法上の「みなし配当課税」を所与のこととし、現行の定めについてコメントしたいと思います。
2016年6月2日(木)のコメントの最後に、

>In this case, cash which a shareholder receives is
>considered as a dividend earned which is treated as a non-taxable income.
>
>この場合、株主が受け取る現金は、税務上益金不算入として取り扱われる受取配当金であると見なされるのです。

と書きました。
この点について後日改めて考えていまして、よく考えてみると何かおかしいなと思いました。
受取配当金が税務上益金不算入として取り扱われるのならば、税務計算として、
始めから上記の式に従って「みなし配当金額」を計算する必要はないのではないか、と思いました。
なぜなら、益金不算入、益金算入、損金不算入、損金算入という4つの考え方は、
企業会計上の利益額から税務上の課税所得額を算出する際の考え方に他ならないからです。
他の言い方をすると、税務上の「みなし配当金額」というのは、企業会計上(会社法上)の利益額とは全く無関係に、
直接に税務上の課税所得額を算出する計算方法なのですから、
「みなし配当金額」に益金不算入という概念は始めからないからです。
さらに他の言い方をすれば、益金不算入、益金算入、損金不算入、損金算入という4つの考え方は、
企業会計上(会社法上)の利益額(収益と費用)と税務上の課税所得額(益金と損金)との「差額」について表現する概念であって、
「みなし配当」のように、
企業会計上(会社法上)の利益額(収益と費用)の計算過程と税務上の課税所得額(益金と損金)の計算過程が
ここまで根本的に異なっている場合は、既に企業会計と税務会計の「差額」という概念ですらないわけです。
「差額」ではなく、別個に計算した、と言わねばならないのではないでしょうか。
理論上は、税務上の課税所得額は、企業会計上の利益額から計算します。
理論上は、これは益金、これは損金、と言って、税務上の課税所得額を直接に算出するわけではないわけです。
もちろん、これは益金、これは損金、と言って、税務上の課税所得額を直接に算出することもできるのですが、
理論上の話になりますが、理論上は、まず先に企業会計上の利益額を計算し、
それから、両方の定めの取り扱いの差異を洗い出す形で、益金不算入、益金算入、損金不算入、損金算入を全項目に渡り行い、
全項目の金額を調整していく形で、税務上の課税所得額を算出する、という流れになっているわけです。
企業会計上の利益額から、益金不算入、益金算入、損金不算入、損金算入により差異の部分を調整することで、
税務上の課税所得額を算出する、という流れ(そのような計算プロセス)になっているわけです。
この計算過程の前提として、企業会計上の会計処理方法と税務上の会計処理方法とが、基底部分では同じであることが必要なのです。

 


例えば、親会社が100%子会社から配当金を100円受け取った、とします。
この取引は、企業会計上も税務上も同じ「100円の受取配当金」です。
しかし、この「100円の受取配当金」は、企業会計上は100円の収益なのですが、
現行税法上はこの「100円の受取配当金」は益金にはならないわけです。
このような場合に、”現行税法上の受取配当金100円の取り扱いは企業会計上の利益額から見て益金不算入だ”、と表現するわけです。
この「100円の受取配当金」は益金不算入ですので、
企業会計上の利益額から100円引き算することによって税務上の課税所得額を算出するわけです。
別の典型的な例を示せば、会社がある人物に100円寄付金を支払った、とします。
この取引は、企業会計上も税務上も同じ「100円の現金を支払った」です。
しかし、この「100円の現金を支払った」は、企業会計上は100円の費用なのですが、
現行税法上はこの「100円の現金を支払った」は損金にはならないわけです。
このような場合に、”現行税法上の寄付金100円の取り扱いは企業会計上の利益額から見て損金不算入だ”、と表現するわけです。
この「100円の現金を支払った」は損金不算入ですので、
企業会計上の利益額から100円足し算する(足し戻す)ことによって税務上の課税所得額を算出するわけです。
理論上は、決して法人税法上の課税所得額を直接計算したりはしません。
理論上は、法人税法上の課税所得額は、必ず企業会計上(会社法上)の利益額(税引前当期純利益)から算出します。
益金と損金から直接計算できるではないか、と言われるとまさにそうなのですが、申告書がそうなっていると言えばいいでしょうか。
以上のように、「企業会計上の利益額から税務上の課税所得額を算出する」という計算プロセスを経ることができるためには、
企業会計上の会計処理方法と税務上の会計処理方法とが、基底部分では同じでなければならないわけです。
ところが、「みなし配当」のように、企業会計上(会社法上)の収益額と税務上(法人税法上)の益金額とが概念からして違う、
となりますと、他の言い方をすると、
「みなし配当」に関する企業会計上(会社法上)の収益額と税務上(法人税法上)の益金額との間に全く関連性がない、となりますと、
もはや「益金不算入」という概念・調整方法では課税所得額を算出できないわけです。
「みなし配当」を受け取ったことによる課税所得額は、企業会計上(会社法上)の収益額とは全く無関係に算出するしかない、
ということになろうかと思います。
それで私は最初に、税務上の計算としては上記の式に従って「みなし配当金額」を計算する必要はそもそもない、と書いたわけです。
なぜなら、受け取った「みなし配当金額」は最初から益金ではないからです。
法人税法上の課税所得額を算出するために、まず「みなし配当金額」を計算し、
企業会計上(会社法上)の受取配当金額から「みなし配当金額」を引き算する(益金不算入だから)、
という計算方法・計算過程は全く論理的ではないわけです。
なぜなら、企業会計上(会社法上)の受取配当金額と法人税法上の「みなし配当金額」とは
全く関係がない(計算過程が完全に異なる)からです。
さらにそもそもの話をすれば、「みなし配当」というのは税法上のみの取り扱いです。
ここでいう「みなし配当」というのは、株主の立場からすれば、ただの株式の売却(株式売却益の獲得)です。
株式売却益の金額とみなし受取配当金の金額とを一体どうやって調整できるというのでしょうか。
例えば、受取配当金は法人税法上は益金ではないというのなら、それはそれで1つの考え方でしょう。
受取配当金に関する企業会計上(会社法上)の取り扱いと法人税法上の取り扱いの差異は、「永久差異」というだけです。
しかし、「みなし配当」関する企業会計上(会社法上)の取り扱いと法人税法上の取り扱いの差異は、
「永久差異」という表現・概念をはるかに超えており、差異も何も両者はもはや関連自体がない、と言わねばならないでしょう。

 



大切なことなので繰り返しますが、
「企業会計上の利益額から税務上の課税所得額を算出する」という計算プロセスを経ることができるためには、
企業会計上の会計処理方法と税務上の会計処理方法とが、基底部分では同じでなければならないわけです。
企業会計上の会計処理方法と税務上の会計処理方法とが、基底部分で同じでない場合は、
簡単に言えば、益金不算入、益金算入、損金不算入、損金算入という調整方法では調整できない、
ということになってしまうわけです。
会社法上の利益額と法人税法上の課税所得額とを、益金不算入、益金算入、損金不算入、損金算入という調整方法では調整できない、
というのは、率直に言えば、法人税法上の課税所得額の算出過程の根幹が崩れてしまっている
と言わねばならないと思います。
法人税法上の課税所得額は、実は法人の益金額と損金額から直接算出できるわけですが、
法人税の申告の手続き上は、会社法上の利益額をベース(計算の起点)にして、
益金不算入、益金算入、損金不算入、損金算入という調整方法で調整することで、間接的に算出することになっています。
この辺り、実務上の煩雑さを考えれば、「法人税法上の課税所得額は、法人の益金額と損金額から算出する」でよいのではないか、
と思うわけです。
しかし、企業会計理論と税務理論から考えますと、株式会社制度の構築の上では、理論的にはやはり、
企業会計上の会計処理方法と税務上の会計処理方法とは整合していなければならない(基底部分では同じでなければならない)、
という設計思想があるのだと思います。
これは考えてみますと当たり前のことだと思います。
会社法上の取り扱いと法人税法上の取り扱いとが全く異なる、という方がおかしいでしょう。
それで、会社法上の取り扱いと法人税法上の取り扱いとは本来的には同じなのだ、という理論的背景があるので、
つまり、会社法上の取り扱いと法人税法上の取り扱いとの間には本来的には差異はないはずなのだ、という理論的背景があるので、
他の言い方をすれば、本来的には企業会計上の税引前当期純利益が法人税法上の課税所得額のはずだ、という理論的背景があるので、
会社法上の取り扱いと法人税法上の取り扱いとが異なってしまうことが現実的には起こり得ますので、
その点のみ、益金不算入、益金算入、損金不算入、損金算入という調整方法で調整する、
という論理立て・制度構築になっている、のだと思います。
理論的には、本来的には企業会計上の税引前当期純利益が法人税法上の課税所得額のはずなので、
法人税法上の課税所得額は、企業会計上の税引前当期純利益がベース(計算の起点)になっているのだと思います。
以上のような理論的背景があって、
「企業会計上の利益額から税務上の課税所得額を算出する」という計算プロセスになっているのだと思います。

 


ここからは以上のコメントの補足になるのですが、
益金不算入、益金算入、損金不算入、損金算入という言葉の意味について確認をしておきたいと思います。
元来的には、益金不算入、益金算入、損金不算入、損金算入という言葉は、
企業会計上の会計処理方法と税務上の会計処理方法との「差異」(差異の調整)に関して述べたものなのです。
理論上も実務上も、「益金ではない」と「益金不算入」とは概念として全く異なるのです。
理論上も実務上も、「損金ではない」と「損金不算入」とは概念として全く異なるのです。
煎じ詰めれば、やはり正確に言えば、理論上も実務上も、「益金である」と「益金算入」とは概念として異なりますし、
理論上も実務上も、「損金である」と「損金算入」とは概念として異なるわけです。
「益金である」は、法人税法のみで完結している概念です。
しかし、「益金算入」は、
企業会計上の収益があって初めて成立する概念(すなわち、企業会計上の収益から足し算も引き算もしなくてよい、という意味)
であるわけです。
もう一度繰り返しますが、企業会計上の会計処理方法と税務上の会計処理方法との「差異」を調整するための概念が、
益金不算入、益金算入、損金不算入、損金算入という4つの概念なのです。
しかし、法人税法のみでも、益金不算入、益金算入、損金不算入、損金算入という言い方をすることがあります。
例えば、法人税法上、「益金ではない」と「益金不算入」とを同じ意味で使うことがあります。
法人税法を見ますと、小見出しとして、例えば「受取配当等の益金不算入」という文言があります。
これなど、「益金ではない受取配当等」というような意味かと思います。
法人税法の条文の文言として、”所得の金額の計算上、益金の額に算入しない。”であったり、
”所得の金額の計算上、損金の額に算入する”といった書かれ方がされているわけです。
これらを見ますと、「益金ではない」と「益金不算入」は法人税法上同じ意味であり、
「損金ではない」と「損金不算入」は法人税法上同じ意味である、ということになります。
この辺り、字面が全く同じですので、意味を混同してしまいそうになりますが、
元来的には、やはり、益金不算入、益金算入、損金不算入、損金算入という言葉は、
企業会計上の会計処理方法と税務上の会計処理方法との「差異」(差異の調整)に関して述べたものなのです。
「益金ではない」と「益金不算入」とは概念として全く異なるのです。
「益金ではない」には「益金ではない」という意味しかありませんが、
「益金不算入」には「所得の金額の計算上、企業会計上の利益額からその金額を引き算しなければならない。」
という意味が税務理論上当然に含まれるのです。
この点について逆から言えば、理論的には、法人税法では、「○○は益金ではない。」と定める必要は全くないのだと思います。
法人税法では、「○○は益金である。」とだけ定めればよいわけです。
法人税法で「○○は益金である。」と定められている収益以外の収益は自動的・法理的に「全て益金ではない。」、
という解釈になると思います。
もちろん、益金の漏れのない捕捉のため、不明な収益は包括的に寄付金とみなす旨の定めは結局必要だとは思いますが、
法人税法でわざわざ「○○は益金ではない。」と定めていることに少し違和感を感じたところです。
ただ、益金ではない収益というのは基本的にはないため、特段に明記している、ということなのかもしれませんが。
いずれにせよ、最後は少し脱線しましたが、元来的には、益金不算入、益金算入、損金不算入、損金算入という4つの概念は、
企業会計上の会計処理方法との関係から生じたものだ、という点を理解しておくべきだと思います。