2016年4月21日(木)
2016年4月21日(木)日本経済新聞 公告
臨時株主総会招集のための基準日設定公告
美樹工業株式会社
(記事)
2016年4月15日
美樹工業株式会社
臨時株主総会招集のための基準日設定に関するお知らせ
ttp://www.mikikogyo.co.jp/ir/pdf/pre/pre160415.pdf
関連資料
2016年3月9日
美樹工業株式会社
第54期
定時株主総会招集ご通知
ttp://www.mikikogyo.co.jp/ir/pdf/soukai/syosyu2015.pdf
過去の関連するコメント
2016年4月20日(木)
http://citizen.nobody.jp/html/201604/20160420.html
【コメント】
美樹工業株式会社は、2016年6月29日(水)に臨時株主総会を開催する予定となっています。
それで、臨時株主総会を招集する手続きの1つとして、臨時株主総会招集のための基準日の設定を行い、
そしてその旨公告を行っているわけです。
それで、臨時株主総会招集のための基準日の設定に関し、美樹工業株式会社は、
2016年4月15日(金)付けで「臨時株主総会招集のための基準日設定に関するお知らせ」というプレスリリースを発表し、
2016年4月21日(木)付けで「臨時株主総会招集のための基準日設定公告」という公告を行ったわけです。
昨日のコメントで、株式会社光通信は、「○○公告」という開示と「○○お知らせ」という開示の2種類の開示を行っているが、
タイトルで判断するわけでは決してないが「公告」と付いている方は会社法が根拠法の公告であり、
「公告」と付いていない方は会社法が根拠法の公告ではなく任意開示に過ぎない、という点について書きました。
公告というのは、会社法に従い、官報に掲載するか日刊新聞紙に掲載するか電子公告を行うかしなければなりません(法定開示)が、
公告ではない発表というのは、情報開示そのものは法律に基づくわけではない(発表方法・形態も全く自由)任意開示、
という位置付けになるわけです。
そういったことを考えますと、
2016年4月15日(金)付けの「臨時株主総会招集のための基準日設定に関するお知らせ」というプレスリリースはやはり任意開示であり、
2016年4月21日(木)付けの「臨時株主総会招集のための基準日設定公告」という公告はやはり法定開示(会社法に義務付けられた開示)、
であるということになり、法律という観点から見ると両者には決定的な違いがあるということになるわけです。
2016年4月15日(金)付けの「臨時株主総会招集のための基準日設定に関するお知らせ」というプレスリリースは、
極端に言えば、美樹工業株式会社は発表しなくてよいものなのです。
一方、2016年4月21日(木)付けの「臨時株主総会招集のための基準日設定公告」という公告は、
美樹工業株式会社は必ず発表しなければならないものなのです。
仮に、美樹工業株式会社が、「臨時株主総会招集のための基準日設定公告」という公告を行わなかったならば、
招集手続きに瑕疵があるということになり、臨時株主総会そのものが無効になります。
その場合、美樹工業株式会社が2016年6月29日(水)に臨時株主総会でどんな決議を取っても法的に無効です。
監査役も選任されませんし、退任監査役に退職慰労金も贈呈できません。
開示文書のタイトルは「に関するお知らせ」か「公告」かの違いしかありませんが、法的効力は根本的に異なるのです。
というより、「に関するお知らせ」の方には何の法的効力もないのです。
これは電子公告だといくら会社が主張しても通らないのです。
2016年4月15日(金)付けの「臨時株主総会招集のための基準日設定に関するお知らせ」というプレスリリースには、
後の公告日や公告方法まで記載されており、
美樹工業株式会社は情報の早期開示に非常に積極的な会社であるという印象を持ちますが、
会社法上は特段、後の公告日や公告方法を事前に発表する必要はないわけです。
美樹工業株式会社は上場企業ですが、金融商品取引法上、会社法に基づく公告に先立ち早期開示の意味合いで事前に公告について
開示を行わなければならない、などという定めはないわけです。
改めて考えてみますと、上場企業がウェブサイト上で行っているプレスリリースの発表の大半は実は法的効力はない任意開示、
ということなのだと思います。
もちろん、情報開示に積極的である点をアピールする目的もあるのでしょうから、ウェブサイトでたくさんのプレスリリースを
発表することはよいことなのですが、法律の観点から言えば、大半は何らかの法手続きと関連がある開示ではないわけです。
それから、このたびの美樹工業株式会社のように、定時株主総会開催からわずかしか経っていないのに臨時株主総会を招集する
という点について考えてみますと、基準日設定公告日から基準日を経て株主総会開催日までの期間が優に2ヶ月以上となりますと、
例えば、会社に緊急の議題が生じた場合などには、「定時株主総会の基準日設定公告日から株主総会開催日までの間」に、
臨時株主総会の基準日設定公告日が入る、ということもあるのではないかと思います。
さらに極端な場合を考えれば、定時株主総会を開催する前に、後から招集手続きに入った臨時株主総会を先に開催する、
ということも考えられるです。
定時株主総会の、基準日設定公告日は3月15日、基準日は3月31日、招集通知送付日は6月15日、開催日は6月30日、
の日程だったのだが、4月に入り会社に緊急に問題が発生したため、
臨時株主総会は、基準日設定公告日は4月1日、基準日は4月15日、招集通知送付日は4月15日、開催日は4月30日、
という日程で緊急に株主総会を開催したい、という場面は想定はできるわけです。
このような場合、株式の譲渡を考えれば、古い株主がより後の株主総会に出席する(新しい株主は後の株主総会に出席できない)、
という時間に関する一種のパラドックスが生じるように思います。
定時株主総会は、取締役の任期の関係上、前倒しが実務上は難しいこともあると思います。
つまり、臨時株主総会での議案と併せて、定時株主総会を当初の日程よりも前倒しして開催するということは、
会社法上はできなくはないと思います(開催日の訂正に関する公告なども行わなければならないのだと思います)が、
毎年のスケジュール(取締役の任期等)を鑑みれば、やはり臨時株主総会は定時株主総会とは別に開催する方がよいのだと思います。
上記の設例で言えば、3月31日の株主は4月30日の株主総会には出席できず、
また、4月1日の株主は6月30日の株主総会には出席できない、ということになり、
新旧の株主と新旧の株主総会との間に時間的な食い違いが生じることになります。
ただ、これは、基準日と株主総会とが一対一に結び付いているため、致し方ないことなのだと思います。
基準日と開催日の関係上、基準日と株主総会を各々交換し、4月30日の臨時株主総会に出席できるのは3月31日の株主、
代わりに、6月30日の定時株主総会に出席できるのは4月1日の株主とする、
という定め方・時間的な辻褄合わせはできないわけです。
このような基準日と株主総会日に関する一種のパラドックスの原因は、
煎じ詰めれば、基準日と株主総会日との間に期間を空け過ぎていることなのだと思います。
3ヶ月間と言いますと、1年間の4分の1にもなります。
私見になりますが、通信インフラや公共交通インフラが十分に充実している現在であれば、
2ヶ月もあれば株主総会の開催は十分に可能ではないかと思います。
この場合でも、株主が議案を吟味する時間は最大で2ヶ月間取れます。
2ヶ月間という時間は株主が議案を吟味する時間として十分ではないかと思います。