2015年6月19日(金)


2015年6月19日(金)日本経済新聞
プレミア前期 分配金621円増
(記事)



2015年6月18日
プレミア投資法人
平成27年4月期 決算短信(REIT)
ttp://www.pic-reit.co.jp/site/file/tmp-uwe5S.pdf

決算説明資料
ttp://www.pic-reit.co.jp/site/file/tmp-UXqNZ.pdf

 

借入金・投資法人債一覧
ttp://www.pic-reit.co.jp/ja_cms/finance/money.html

 



【コメント】
「決算説明資料」には、プレミア投資法人の「有利子負債の状況」が記載されています(18/48ページ)。
プレミア投資法人のサイトには、「借入金・投資法人債一覧」のページがあり、
より具体的な借入金・投資法人債の状況が記載されています。
借入先を見ますと、プレミア投資法人は非常に多くの銀行から資金を借り入れており、
合計すると18の金融機関から資金を借り入れている状態です。
さらに、プレミア投資法人は投資法人債も発行しています。
投資法人債の引き受け手は、「有利子負債の状況」や「借入金・投資法人債一覧」には記載されていませんが、
資金を貸し付けている上記の金融機関以外の法人や個人その他が引き受けているのではないかと思います。
なぜなら、金融機関が資金を貸し付けるのであれば、そのまま貸付金の形で貸し付けるであろうからです。
債券というのは、小口に分割することに意味があります。
小口に分割する必要がないのなら、わざわざ債券の形は取らないであろうと思います。
そうしますと、各投資法人債の引き受け手はどれも一定数以上に多いであろうと考えられます。
簡単に言えば、借入金だけでも18金融機関から借り入れており、さらに、
投資法人債の形でも非常に多くの引き受け手から資金を調達している、という状態であるわけです。
なぜこの点が気になっているのかと言えば、負債による資金調達というのは調達先を多様化する必要はあるのだろうか、
とふと思ったからです。
もちろん、複数の金融機関からお金を借り入れてはならないという法律も経営上の理由もないわけですが、
何と言いますか、1つの金融機関から借り入れるだけで済むのなら、それに越したことはないのではないだろうかと思ったわけです。
借入先を分散するメリットというのは全くないように思いますし、
債券を発行して資金調達先をさらに細かく分散するメリットというのも全くないように思ったわけです。
投資法人の事業の特性を踏まえれば、確かに負債の金額が相対的に巨額になりがちであるのだろうとは思います。
それでも、Aという金融機関はお金を貸してくれなかったが別のBという金融機関ならお金を貸してくれた、
ということは、融資リスクの観点からは絶対にないと言えるわけです。
良しも悪しくも、銀行業というのはどの銀行も同じことをしているわけですから。
そういったことを考えますと、銀行に貸し出しのための十分な手許現金がなかったというのなら話は別ですが、
理論上は、借入金は1つの銀行だけで賄えるはずですし、実務上も借り入れのための手続きは何かと楽なのではないかと思ったわけです。
プレミア投資法人は地方の銀行からも資金を借り入れているようですが、
東京で借りたお金は地方では使えないということは一切ないわけですから、
たとえ地方で物件の取得・運営を行う場合であっても、地方の地元の銀行から資金を借りないといけないわけではないわけです。
1つの銀行から資金を借り入れるだけで事足りるならば、やはりそれに越したことはないと思います。
この論点は、負債だけではなく、結局のところ、資本に関しても当てはまるでしょう。
株主の数は少なければ少ないほどよい、というようなことは経営上は言えるように思います。
1人の株主から資金を調達するだけで済むのなら、それに越したことはないわけです。
その株主からだけでは十分な資金を調達し切れないから、他の株主からも資金(資本)を出してもらうために、
新株式を発行せざるを得ない、というだけなのです。
負債も資本も、「The fewer, the simpler.」(人数が少なければ少ないほど管理が簡単だ。)と言ったところでしょうか。

 

 



2015年6月19日(金)日本経済新聞
ツガミ、自社株取得枠12億円 資本効率の改善めざす
(記事)





関連コメント

2015年6月16日(火)
http://citizen.nobody.jp/html/201506/20150616.html

 


【コメント】
2015年6月16日(火)に三菱瓦斯化学株式会社についてコメントしましたが、このコメントの意味が少し分かりづらかったかもしれません。
「自社株買いが本当に株主の利益になるのなら、自社株買いに応じる株主は誰もいないはずなのです。」の意味は、
「自社株買いが長期的に株主の利益になるのなら、このたびの自社株買いに応じる株主は誰もいないはずだ。」という意味なのです。
公正な価格よりも著しく低い価格、極端な話、無償で会社が一定規模の自社株買いを実施するとしましょう。
その自社株買いに他の株主が応じてくれれば、残りの株主は必ず得をするでしょう。
なぜなら、利益剰余金や会社の現金は一切減少しないのに、株式数だけが減少することになりますから、
結果、残りの株主の1株当たりの利益額や議決権割合は必ず増加するからです。
しかし、そのような自社株買いに応じる株主が果たしているでしょうか。
絶対にいないでしょう。
記事の文脈を踏まえれば、三菱瓦斯化学株式会社がこのたび実施した自社株買いには、応募する株主が非常に多数いたようです。
そのことは、その自社株買いの条件自体は応募する株主に非常に有利なものだった、ということを意味するのだと思いますが、
それは裏を返せば、応募しない株主にとってはその自社株買いの条件は不利なものとなり得る、ということではないでしょうか。
要するに、一部の株主から株式を買い戻すということそれ自体が、既に株主間の平等に反し得る、ということだと思います。
会社に利益剰余金は1つしかありません。
パイは1つだけなのです。
株主間でパイの奪い合いをするというのは、株主平等の原則や株式会社の理念に反するのではないでしょうか。
仮に自社株買いを所与のこととするならば、全株主から同じ買取価額で一定割合ずつ、
という考え方を行わざるを得ないと思います。
「株主」(shareholders)といった場合には、「総体としての株主」を指す場合と「一部の株主」を指す場合の両方がある、
という点に注意が必要です。

 


Conceptually speaking, the stock repurchase should be made only through a meeting of shareholders.
"Through a meeting of shareholders" means
that a company should buy the treasry shares back from all of the shareholders equally.
Can a company pay a dividend personally?

概念的に言えば、自社株買いは株主総会を通じてしか行えない、ということになります。
「株主総会を通じて」とは、会社は全ての株主から平等に自己株式を取得しなければならない、という意味です。
配当金を個別対応で支払うことができるでしょうか。